ベイブレード
今日は 夢中で 働いた
昼ごはんも 食べず 休憩もとらず
週末に ひびかなければ 良いけど。
夢中で がんばっていたけれど 現場のとなりの家から 聞こえてくる これまた 夢中で 遊んでいる子供たちの声は 時折 耳に入ってきた。
「ゴーーーーシュート!」
なるほど ベイブレード つまり 現代版のベーゴマを やっているんだな。
今日は 学校が 代休なのか ずっと 夢中で やっている。
僕は 確か 「ちっちの・・・ち」 という掛声で ベーゴマを 回し始めたような記憶がある。
なるほど 掛声ひとつとっても 「ひらがな」表記してしまうのは 実に昭和な感じがする。
ベイブレードは 戦う場所も ポリカボネート製のような かっこいいものだが 僕たちは なんかの桶か たぶん 梅干しのような 漬物の樽に 布のようなものを 貼ってもらって やっていた。
僕は あまり ベーゴマは 得意ではなかった。
でも 大抵 ウチか となりのたっちゃん家で 遊んだ。僕は あまり 得意ではなかったので やりたくなかったのだか みんなは ウチで やることを 好んだ。
なぜなら ウチには 職業柄 工具が いっぱいあったから。
サンダーで ベーゴマの角を とがらせたり 金づちでたたいて 逆につぶしてみたり 一度 自分たちで ベーゴマを 最初から作ってみようとして 車のバッテリーを燃やして 中に入っている鉛を とりだしたこともあった。(結局 つくれなかったけれど・・・)
ベーゴマを回すヒモにも かなりの工夫をした。
結び目の位置は もちろん、サンドペーパーで毛羽立たせた方が良いとか 結び目を アロンアルファで 固めた方が良いとか 諸説あり 大概は 試してみたが あまり 強くならなかった。
あの頃は 負けたら そのベーゴマは 取られるのが 普通のルールだった。
だから 改造をして 負けないようにしたりもしたが やはり うまいやつは うまい。
でも 強い奴も 根こそぎ みんなのベーゴマを とるわけではなかった。
一度は ルールなので 取り上げるが そのうち また その戦利品の中から いくつか選んで 負けた子や弱い子に 「貸しだからな!」とか言って 分けてくれるのである。
もちろん お気に入りは 絶対に くれない。
それから 小さい子や はじめてやるような子は 俗に 「みそっかす」と呼ばれ 一緒に 遊んではくれるが 特別ルールが 存在した。たとえば みんなより 遅れて 投げてもよかったり うまいお兄さんが 助っ人で 回してくれたり などなど。
今日 聞き耳を 立てていると 専用パーツを 組み変えてみたり ベイブレードを 放す位置を 変えてみたり あるいは 妹のような子が 仲間に入ると 特別ルールになってみたり。
「ああ 同じなんだな 子供って」
彼らの 勝負を 観戦したい気分になった。