また ひとり
また ひとり お世話になった職人さんが なくなった。
ウチで もっとも永く おつきあいして頂いた職人さんです。
僕が小学校に上がる前から 毎日のように材料を買いに来てくれて そして 僕が 店を始めてからは 多くの現場を 一緒につくってくれました。
親方として 多くの弟子を育てましたが そのほとんどの人が 「親方が 怒ったところ みたことねえ」というほど 温和な方でした。
最後は かなり 痛みをこらえていたそうですが やり残しの仕事を 一切残さず 亡くなりました。
遺影の近くに ぼろぼろになった モルタル木鏝と左官ハケが 遺品として 置いてありました。
その鏝を 握ると また 目頭が 熱くなってきました。
お世話になりました。ありがとうございました。
合掌
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