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フェントン・ハウス・ガーデンⅠ~イングリッシュ・ガーデンの旅 17

テーマ:イングリッシュガーデン
ハムステッドの森を歩いた後、体力と時間に余裕があって、しかもちゃんと辿り着けたらぜひとも行きたいと思っていた場所がありました。

01 外観

フェントン・ハウス。

ハムステッドの街中にあってこの街でもっとも古い建物なのだそうです。
1693年というから名誉革命の直後、ステュアート朝のメアリー2世・ウィリアム3世共同統治時代でございます。

02 エントランス

イギリスに行く前にはかなり庭園史と並行して英国史も勉強しましたが…。
それもすでに過去の遺物となりました。

でも、ここで復習。

英国庭園史的にはこの時代、フランスやオランダの影響を受けて流行した整形式庭園がやや下火となり、18世紀になって後にイングリッシュ・ガーデンの代名詞となる風景式庭園が誕生するまでの過渡的な時期でした。フランスからオランダを経て小振りになった整形式庭園は、イギリス人の好みにあったようです。
まして、田舎の地主のみなさんにそれほどの敷地がある筈もなく…
かくして、郊外のマナー・ハウスに居心地の良い、気持ちのよいこぢんまりとした庭園が誕生したのでした。

03 フェントン・ハウス

この日は確か水曜日。訪れたのは15時前。
まさにピタリと公開時間に訪れることができたのは天恵というべでしょう。

フェントンはかつての所有者からとった名前のようです。最後の所有者の死後、ナショナル・トラストの管理下に入りました。
とてもしっかりと丁寧に管理された素敵な庭です。

まずは案内図を…

フェントン・ハウス ガイドマップ


周囲をぐるりとレンガの塀に囲まれた庭園は、3(4)段構造のサンクン・ガーデンとなっています。
これがけっして広くない庭園にとてつもない奥行きと空間の拡がりとを与えています。

まず館の右手入口を抜けると庭園の東側に沿って北へと延びるイースト・テラス。

04 イースト・テラス01

右手の壁面植栽を見せながら、左手に目をやると庭全体の構造をそれとなく見下ろすことが出来ます。(勿論、細部はまだしっかりと隠されていますが)
この予習をさせながらたっぷり期待に胸躍らせてくれるという、洒脱な趣向が面白いと思いました。

05 イースト・テラス02

館からもその窓ごとに庭の景色がいろいろと楽しめそうですね。

05-2 イースト・テラスから館を臨む

わずかに下がって2段めに芝生の広い庭があり、その北にクロス・ボーダーと呼ばれるハーブ・ガーデンを経て、ローズ・ガーデンがあります。

06 ローズ・ガーデン

イースト・テラスとローン・ガーデンとの高低差がわずか1.2mほどであったのに対し、見ての通りローズ・ガーデンは2mほど下っていますから、ここにもサンクンの仕掛けが施されています。

07 ノース・テラス01

イースト・テラスを突き当たって左に折れると、ノース・テラス。
そのまた突き当たりにベンチが据えられてあって、とても気持ちの良い場所になっていました。

08 ノース・テラス02


階段を下ってサンクン・ガーデンの2段目に下ります。

左手にローズ・ガーデンを見て、クロス・ボーダー。

09 クロス・ボーダー


この時期まだ花は咲き揃っていませんが、ハーブたちが間もなく見頃を迎えようかという時季でした。

2段目の西側の縁を南北に貫くのが、スプリング・ボーダー。
こちらはすでに花盛りでした。

右手、1段下のベジタブル・ガーデンを見下ろす位置です。

17 スプリング・ボーダーからベジ・ガーデンを見る

左手にはローン・ガーデン。
円錐形に仕立てられた常緑樹は斑入りヒイラギでした。

18 スプリング・ボーダーからローン・ガーデンを見る

2色に分けられた芝生は、種類が違うのでしょうか?

19 ローン・ガーデン

そのローン・ガーデンから最初のイースト・テラスを見れば、ここが2重のボーダーになっていることがわかります。

20 ローン・ガーデンからイースト・テラスを見る


その南端、館の北面にやはり斑入りヒイラギのトピアリーが並ぶ小径があり、入り口付近に戻る階段が。

20-2 ヒイラギのトピアリー

サンクン・ガーデンの高低差がこのようにして様々な景色を生み出しています。


次回は最下層にある果樹園やベジタブル・ガーデンをご案内します。



よろしければ、ホームページもご覧下さい。
 http://www.yui-garden.com/























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昨年のしごと~熊谷S様邸

テーマ:しごと
昨年6月のしごと…

0様邸に続いて手がけたのが、S様邸でした。
いくらか後になって分かったことでしたが、それぞれのお嬢さんがクラスはべつでしたが同じバレエ教室に通っていて、今回の庭づくりがきっかけでふたつのご家族が親しくなられるというオマケ付でした。
夏の発表会にわたしたちが出掛けたのは言うまでもありません。

さて、着工前の様子です。

01着工前

敷地内は石がゴロゴロ、建物のGLに対してその正面部分は300mmほど下がっています。
もちろん埋め立ててフラットにしてしまえば使いやすくて安全なお庭になるのですが、このご家族は冬の寒さもも嵐もものともせずにキャンプに出掛ける超アウトドア一家。
予算も超過させたくなかったため、あえてそのままの形状でデザインして、自然な起伏のあるお庭にすることになりました。

でも、リビングの前のウッドデッキは必須要件でした。
するとデッキの天端と低い土地のレベルとの差は800mm以上になって、はなはだ危険なものになるし、かといってわざわざお庭を仕切って狭くするような手すりは取り付けたくない…

この最大の課題を一発逆転のアイデアでクリアしたのはご夫婦でしたが、それはまた後ほど。


まずは低い土地の排水を確保するため、透水層と透水パイプを敷設するところからお仕事は始まり、ウッドデッキの施工に入りました。

学校から早く戻ったお嬢さんが、バレエ教室に出掛ける前の僅かな時間に、いろいろ手伝ってくれました。
手練りのモルタル作りはすぐにマスターしちゃったみたいです。

02モルタル練り

デッキの床板張りは週末、ご家族全員でするというお約束も。
ウリンの床材張りは3つのドリルを使い分けての手間の掛かる仕事なのですが、ご主人は黙々とお一人で仕上げてくださいました。

03ウッドデッキ作り

それもお子さまのネジ渡しと木くずの掃除あってのことかもしれません。

そして、こちらの自転車置き場。

05自転車置き場

材料をこちらで準備し途中まで施工しておいて、あとはやはりご家族で仕上げていただきました。
もちろん予算を低く抑えるという目的もありましたが、ご家族で力を合わせて作ることに意味があったと思います。

そのようにして完成したウッドデッキ!

04-2ウッドデッキ2

800mmの段差を逆手に取った滑り台です。

04滑り台つきウッドデッキ

初めての滑り台の設計と施工には苦労しましたが、なんとかご近所でも人気の滑り台になりました。
ここではささくれが無く、表面の滑らかなウリンがその特性をいかんなく発揮しました。
この写真は最近撮ったものなので高麗芝が茶色くなっていますが、これもご家族で張られたものです。
滑り台から下りた先にクッションが欲しいと、そちらから順次張り足していくことになりました。
転落しても大ケガしないようにと、デッキの下にはラベンダーやローズマリーの茂みが出来る予定です。
転落しないように、という発想でないところがこのご家族らしくて素敵です。


アイデアと言えば車庫からアプローチに掛けての仕上げの方法…

当初は雑草の心配もあり、芝との間をレンガで見切って化粧砂利で収める予定でしたが、何となく引っかかるとの奥さま声でストップ。
時間を掛けて相談して、悩んだ挙げ句に提案したのがこちらでした。

06枕木&真砂土のフロント1

ユーカリ・レッドガムの枕木(防腐処理無しの新材です)を並べて動線をはっきりさせてメリハリをつけ、後は真砂土を敷きならしてしっかりと転圧しました。

07枕木&真砂土のフロント2

下地がもともと安定していたせいもありますが、これが思いのほかしっかりして、クルマを入れてもかすかにワダチの跡が付く程度。雨が降っても流れず、これまでのように靴に泥が付くこともないし、お子さまが転んで怪我をすることもなく、おまけに雑草もほとんど生えてきませんでした。

なにより…

08枕木&真砂土のフロント3

ご自宅にひとつ、キャンプ場を作っちゃいましたねと、ご家族と一緒に笑ってしまいました。

この春には、ところどころにクリーピング・タイムなどを植えていくつもりです。


庭の片隅、隣地との境のブロックが少し無機的過ぎましたので、工事で掘り出した石を集めてミニ・ロックガーデンをオマケで作りました。

09ミニ・ロックガーデン1

ここで使ったセダムたちも、お庭のあちこちでこれまで奥様さまが育て、こぼれ種で増えたのを拾ってきたものです。

10ミニ・ロックガーデン2



昨年の夏の間中、時折こちらのお宅の前を通るたびに見かけた光景…

11水遊び

とても暑かったですからね。
そりゃあ、気持ちよかったと思います。



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昨日の雪

テーマ:暮らし
昨日はひさびさに関東地方のあちこちで積雪を記録しました。

東京で2センチ…
わが秩父地方は23センチと報道されました。
山沿いのわが家は1割増というところでしょうか?

雪景色01

さすがに目の前の県道は除雪車が出て塩カルもまかれますが…

雪景色02

敷地内はもちろん、枝道の町道や地区内の通学路の歩道は、自分たちで除雪しなければなりません。
従って雪景色を楽しむのもほんの束の間のこと。
今季3度めの雪かきです。

雪景色03

積雪が10センチを越えると地区の住民が招集されるのですが…

今では13戸にまで減ってしまったわが地区。
大半が年配者なのにも関わらず、担当する町道が500mほど、県道の歩道は片側だけですが1km近くもあります。
それでもみなさん、文句のひとつも言わず集まってこられます。

とーぜん、まだまだダントツの若手に属するわたしは頑張らなくてはなりません。
招集が掛かる前に早起きして、まずは歩道をクリア。

雪かき 歩道

人力ではとても無理と、以前地区のみんなで金を出し合って購入したタイヤショベルがありまして、今では何人かが運転出来るようになりましたが、それでも3人くらいが交替で乗ることになります。
これを使っても数時間を要する除雪作業ですから、人間だけでやるとなると気が遠くなります。

雪かき タイヤショベル

今の時期の雪ですから日中晴れるとほとんどが融けるのですが、それでも日陰部分は残りますし、残れば確実に夜間の凍結を起こします。
だから念入りに除雪しなくてはなりません。


今季、あと何回くらい雪がつもるだろうか…
などと、雪国のみなさんのご苦労のほんの何百分の一ほどを、ここ数日の間に経験している次第です。



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向井康治

ガーデン工房 結 -YUI-は、埼玉を起点に植物を中心に据えたガーデンデザインと設計・施工を仕事とする会社です。
ただし、面白い仕事であれば時には利益も距離感覚も忘れ去る脳天気ぶり。
だから、この仕事にはいつも様々な出会いがあります。人、植物、もの、本、言葉、音楽…。

結 -YUI- はネットワークです。
それは多彩な技術や知識を持った人々が持てる力を共有し合うこと。
人と自然界の美とが満を持して出会うこと。

わたしが文芸、農業、インド、土木、外構、アウトドアと巡ってきた先の到達点は、おそらくそれらみんなの要素を遺憾なく結集することのできる、小宇宙 「ガーデン」でした。

ガーデンデザイナーとして、ガーデナーとして、これまでの、そしてこれから先の「出会い」を余すことなくお伝え出来ればと思います。

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