国際バラとガーデニングショウ01
テーマ:イベント
2010/05/10 08:48
毎年所沢の西武ドームでこの時期開催される「国際バラとガーデニングショウ」も今回は12回目です。
これまでも何度かお誘い頂いてきましたが、なかなかガーデニング・コンテストというものにうまく馴染めず、忙しい時期でもあったのでずっと避けて通ってきました。
今回は同業で親しくして頂いている(有)煉創の高橋さんから誘って頂き、彼の作品へのお手伝いという形で参加することとなりました。
全体デザインとハードの製作は高橋さん。
植栽設計とその施工はわたしという形です。
会場製作が5月8,9日の2日間に限られているため、事前にかなりの作り込みが必要です。
会場では短時間で組み立てられるようにハードは幾つかのパーツに分けて製作。
移動式クレーンで簡単に降ろせるよう、パネルにレンガタイルをはりつけて軽量化。
そして、仮組です。
植物の手配はMIYABIの富田さん。彼は他の出展者の依頼も受けながら、それでもわたしのわがままをいろいろ聞いてくださいました。
富田さんに用意して貰った樹木を仮組したハードと組み合わせて、全体のバランスや色調を考察。
そして、一昨日の8日、満を持しての会場入りです。
高橋さんはレンガタイルが移動で剥がれ落ちたり壊れたりしないかと心配で、ほとんど眠れなかったそうですが、どうにか無事に搬入することができました。
そして、製作。
この日は8時から22時までの持ち時間を目一杯使っての製作となりました。
が、それは高橋さんに任せてわたしは午後から別件の打合せや資材の調達。
高橋さんたち製作スタッフは睡眠不足を押しての作業で、かなり大変だったみたいです。
そして昨日、わたしの持ち分である植栽作業に入りました。
わたしの方のスタッフは中2の娘(小学生低学年の頃からアシスタントをしていますので、かなりの戦力です)と会場近くに住む姪の二人。
それでも、悪戦苦闘する他の出展者を尻目に17時には作業を終えることが出来ました。
さて、今回の作品のテーマとコンセプトです。
高橋さんのテーマは、作品中の車椅子を見て頂ければわかる通り、障害を持った方でも楽しんでもらえるガーデンです。
高橋さんには障害を持ったご家族がいて、このことはわたしの知る限り、彼のずっと一貫したテーマとなっています。
わたしの前任だったデザイナーの方が急病で参加できなくなったことがあり、それを引き継いだわたしは当初、その方のチョイスした植物を出来るだけ使って、彼の作りたかった庭を再現できればと思いました。
しかし、高橋さんや富田さんと話し合ううち、考えが変わって自分のスタイルを前面に出すことにしました。
以前に書いたブログ「風景」と、これは関係あります。
心の張りを失っていた私を奮い立たせてくれたのは植物でした。
その植物はけっして美しく優しいだけのものではなく、むしろインパクトのある、背中をどやしつけて励ましてくれるような、力強いものでした。
それは、つまりは植物の持つ「生命力」。
だから今回の作品でわたしは、高橋さんの作った器に、その「植物の生命力」を盛り込みたいと考えたのでした。
ベースになる色調はわたしに力をくれたベニカナメと菜の花の、アカ~銅葉色+イエローという補色の組合せ。
この色の組合せを至るところで反復させてもらいました。
そして選んだのも力強くたくましい植物たち。
デルフィニウムではなくてジキタリス、ペチュニアでなくガザニアといった風に…
グランドカバーを突き破って葉を拡げるホスタ、どこでも力強く繁殖して花を付けるセダムやエリゲロン、そしてトゲがあって少し危険なメギもここでは大切な構成要素です。
一見どこでもあるレンガのガーデンのようでありながら、奔放でたくましく、ちょっぴり攻撃的でなにより元気になれる…それが今回のコンセプトです。
これら元気な植物たちが、会場を訪れる皆さんの目を楽しませ、できれば心を踊らせることがことができれば、うれしいと思います。
賞ねらいの手の込んだ作品が多い中、煉創高橋さんの作品はどちらかというとおとなしくて、それが逆に異彩を放っているのですが、わたしはそれがとても気に入っています。
その作品のレンガワークを少しでも引き立てればと、頑張って植栽させてもらいました。
国際バラとガーデニングショウは12日から17日まで、6日間の開催となります。
近くにお住まいの方はぜひお立ち寄り頂き、感想などお聞かせ下されぱ幸いです。
ホームページもよろしければご覧下さい。
http://www.yui-garden.com/
早春の京都 Ⅱ
テーマ:ガーデン
2010/05/01 05:55
続いては、金閣寺の庭園。
昨日ご紹介した銀閣寺と違ってやや乾いた風情は、銀閣寺が東山に抱かれた地形的な理由によるものか、単に天候の差でしたでしょうか…
園路の起伏も距離も、ひどくおとなしい金閣寺の散策はすでに閉園間際の頃でした。
そして、今回わたしが楽しみにしていたのが、重森三玲庭園美術館。
昨年夏には、東福寺の方丈庭園、竜吟庵の庭と、この昭和の作庭家の作品を2箇所見る機会を得ました。
やはり東山にあるこの庭園美術館は、三玲の旧宅を公開したもの。
完全予約制です。
これは江戸期の建物に三玲みずから設計した茶室を増築し、庭園をつくったそうです。
ご説明いただいた書院からの眺め…
石の組み方に独特のものがあって、昨年の東福寺以来、ファンになりました。
おそらくはわたし自身、けっして作ることのない庭ではありますが、このモダンと伝統のきわどいバランスの妙には、いつもドキドキさせられます。
それでいて眺めていてずっと飽きがこないのは、それだけ空間造形に隙がなく、上質なのだろうと思います。
こちらは様々に意匠が凝らされた茶室の内部。
建物の設計もまた、庭園とほとんど同じスタイルで貫かれていると感じました。
茶室からの庭の眺めです。
眺める角度でいろいろと表情を変化させるのは、やはり石庭の魅力ですね。
さて、今回最終日は伏見から宇治へとまわり、娘の希望では伏見の寺田屋(折りからの竜馬ブームで、ひどい混雑でした)、宇治の平等院、源氏物語ミュージアムを訪ねましたが、わたしのお目当ては伏見の御香宮にある小堀遠州の庭でした。
御香宮は、鳥羽伏見の戦いで新選組を主力とする幕府軍が布陣した伏見奉行所に相対する形で、官軍が陣営を構えた場所として知られています。
この日も宮参りの親子連れでとても賑わいでいましたが、その社務所の裏に江戸初期、伏見奉行として着任した小堀遠州が作庭した庭園のあることはあまり知られておりません。
お世辞にも広い庭とは言えませんが、少なくともその日はわれわれ親子の他に訪れる人もなく、静かでひっそりとした時間を過ごすことが出来ました。
今年の夏も出来ることなら早々に予定を入れて(かなり強引にやらないと無理ですので)、再び京都を訪ねたいと思っています。
ホームページもよろしければご覧下さい。
http://www.yui-garden.com/
昨日ご紹介した銀閣寺と違ってやや乾いた風情は、銀閣寺が東山に抱かれた地形的な理由によるものか、単に天候の差でしたでしょうか…
園路の起伏も距離も、ひどくおとなしい金閣寺の散策はすでに閉園間際の頃でした。
そして、今回わたしが楽しみにしていたのが、重森三玲庭園美術館。
昨年夏には、東福寺の方丈庭園、竜吟庵の庭と、この昭和の作庭家の作品を2箇所見る機会を得ました。
やはり東山にあるこの庭園美術館は、三玲の旧宅を公開したもの。
完全予約制です。
これは江戸期の建物に三玲みずから設計した茶室を増築し、庭園をつくったそうです。
ご説明いただいた書院からの眺め…
石の組み方に独特のものがあって、昨年の東福寺以来、ファンになりました。
おそらくはわたし自身、けっして作ることのない庭ではありますが、このモダンと伝統のきわどいバランスの妙には、いつもドキドキさせられます。
それでいて眺めていてずっと飽きがこないのは、それだけ空間造形に隙がなく、上質なのだろうと思います。
こちらは様々に意匠が凝らされた茶室の内部。
建物の設計もまた、庭園とほとんど同じスタイルで貫かれていると感じました。
茶室からの庭の眺めです。
眺める角度でいろいろと表情を変化させるのは、やはり石庭の魅力ですね。
さて、今回最終日は伏見から宇治へとまわり、娘の希望では伏見の寺田屋(折りからの竜馬ブームで、ひどい混雑でした)、宇治の平等院、源氏物語ミュージアムを訪ねましたが、わたしのお目当ては伏見の御香宮にある小堀遠州の庭でした。
御香宮は、鳥羽伏見の戦いで新選組を主力とする幕府軍が布陣した伏見奉行所に相対する形で、官軍が陣営を構えた場所として知られています。
この日も宮参りの親子連れでとても賑わいでいましたが、その社務所の裏に江戸初期、伏見奉行として着任した小堀遠州が作庭した庭園のあることはあまり知られておりません。
お世辞にも広い庭とは言えませんが、少なくともその日はわれわれ親子の他に訪れる人もなく、静かでひっそりとした時間を過ごすことが出来ました。
今年の夏も出来ることなら早々に予定を入れて(かなり強引にやらないと無理ですので)、再び京都を訪ねたいと思っています。
ホームページもよろしければご覧下さい。
http://www.yui-garden.com/