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あえて、枕木の話 自戒の意をこめて

テーマ:思い
はっきり言って井出さんのせいでこの話題を取り上げます。

いえいえ、さすがにあそこまで面白いお話は出来ませんが、よろしければおつき合いください。

まず、古い写真で恐縮です。

神戸北町住宅地

1995年3月とあります。
神戸で造園屋の監督をしていたとき、北区の住宅地全体をこのスタイルで施工したことがあります。
RC擁壁と植栽とあとは枕木だけの外構です。
我が社で10棟ほど、他にも数社ほど入っていましたから全体では50棟以上ありましたでしょうか。
枕木の土留め、枕木の階段、枕木のスロープ、枕木のガレージ…
これが私が初めて枕木を使った現場でした。

枕木はさすがに国内産の新品でした。
材は今にして思えばたぶんケンパス。もちろんクレオソートに浸漬したもので、ご丁寧に発注者の某住宅メーカーの指導により切断面にはクレオソートの塗布が義務づけられていました。
もちろん、クレオソートの発ガン性が問題になっていなかった古き良き時代の話です。

若かった私にはこのコンセプトがとても斬新に思え(実際、当時とすればなかなか大胆な設計だったと思います)、枕木に憧れすら感じたものでした。

その後、関東に舞い戻って現在の秩父に居を構えた時、自宅の外構に苦慮した私は、もっとも安く購入できるマテリアルとして枕木を選択しました。

自宅旧ガーデン01

地元秩父鉄道の払い下げ品は、まだ枕木ブーム到来前夜であったこともあり、1本50円!
ただし、積み重ねられた山の中から欲しいものを自分で積み込み、崩した山はまたもとに戻すという条件付ではありました。
こうしておよそ300本の枕木を手に入れた私は、これを積み上げ、或いは埋込み、或いは敷き詰めて外構と花壇、デッキテラスを製作することが出来ました。砂や砂利、土まで入れても総工費20万という格安の庭が出来上がった次第です。
今と違い、かなりの良材もありました。まだ、どうかすると栗の枕木が混ざっていた時代です。その後、やはりケンパス主流の時代となるのですが、栗材は防腐剤がほとんど抜け落ちても芯までしっかりしており、さらなる耐久性を垣間見せてくれたものですが、ケンパスは中が素になり、どうかするとシロアリの巣窟となります。

自宅旧ガーデン02

そのようにして製作した庭とはおよそ10年付き合いました。
思えばこれが今の私には良い経験となったのかも知れません。
5年から10年。
それで中古枕木の寿命は終わります。
本来、耐用年数を過ぎたときから使用を始めるのですから10年なら上等と思うべきかも知れません。
さすがにシロアリの被害は受けませんでしたが、解体作業中に持ち上げた枕木はどれもボロボロでした。

その10年の間に、私は何軒か枕木を使ったガーデンを施工しました。

まず、今は無き秩父「花まつりの森」に製作したモデルガーデン。
これは、わが家と同じ秩父鉄道の払い下げ品です。

秩父モデルガーデン

その後、オーストラリア鉄道のレッドガム材枕木に限定して使用した期間がありました。
下記は渋谷のお宅からの依頼で製作したガーデンです。
住宅メーカーが途中まで枕木による外構を仕上げており、その続きを依頼されたとき私は迷いながらもそのレッドガム枕木を使った施工をおこなったのでした。

着工前。

渋谷A邸01

完了です。

渋谷A邸02

渋谷A邸03

レッドガムはそれ自体に耐久性があり、防腐剤を追加塗布することなく、その後の使用が可能ですが…
そう。それでもすでに耐用年数を終えた素材であることに変わり有りません。
ケンパスで5年のところをせいぜい10年、長くて20年…
出来れば50年、短くてもせめて30年。形状を保つ、のではなく美観がそれだけの期間保つものを使いたい、というのが今の「ガーデン工房 結 -YUI-」の基本姿勢です。
その基準からすれば中古枕木はやはり使えないと思っています。

その後クレオソートの発ガン性が報じられるようになり、また、ホームセンターの中国産枕木の山からサソリの死骸が出てくるというニュースも流れました。
家庭菜園にはやはり「くそまみれ~」の枕木は使えません。
防腐剤を使わなければ使わないでシロアリ被害も問題となります。

安全性、衛生面と、今や社会通念上でも中古枕木の使用は許されない時代になりました。

わたしが二度と中古枕木を使うまいと決めて、それでもまだ5年。

素人ならともかく、プロがそんなものを使わないだろう、とタカをくくっていたところ、案に相違して現在も使われていることを知りました。その矢先の「庭ブロ」での井出さんとの出会いでした。
これから更にご教示いただき、共に闘って行くにあたり、単に「わたしは使っていません」では不足と思い、あえて私の「前科」を披瀝した次第です。

現在は以前このプログでも紹介したとおり、アマゾンウリン、セランガンバツ、レッドガムなどの新材を使っておりますが、まだまだラインナップは足りません。何より、安価なものを見つけたいと思います。
みなさんと情報交換ができればと考えています。









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ふるさと秩父まつりのガーデニング教室

テーマ:イベント
この週末、秩父市では広大な県立公園「ミューズパーク」を会場に、恒例の「彩の国ふるさと秩父まつり」が開催されました。
例年好評のこの催し、わたしは2日目の日曜日に出掛けたのですが、前日も曇り空ながらかなり盛況の様子が新聞地方版でも紹介されていました。
仕事を済ませ、それでも10時過ぎには会場入り出来たものの、すでに主な駐車場は満杯状態!
わたしは遠い駐車場からメイン会場まで10分近く掛けて歩くことになりました。

秋の秩父ミューズパーク

メインストリートのイチョウ並木も秋晴れの元で鮮やかに色づき、その下も駐車車両でいっぱいです。

ふるさと秩父まつり会場

このまつりは商工会議所、青年会議所、秩父広域市町村圏組合、ちちぶ農協、森林組合、ちちぶ花銀行などさまざまな団体が共催し、地元の名産品の販売や体験コーナー、アトラクション、コンサートやライブパフォーマンス、芸能など、一日楽しめるイベントです。

わたしの目当てはちちぶ花銀行のガーデニングフェア。
ここで、ガーデンインスティテュート講師の徳田千夏先生がガーデニング教室を開いてくださっています。

徳田千夏先生球根講座

徳田先生と秩父との縁は今から5年前まで遡ります。
わたしが、ちちぶ花銀行のお手伝いをした2004年の芝桜イベントの際、ガーデニング選手権に快く参加して下さり見事優勝されたのが最初でした。
以来、事あるごとに秩父を訪れては仕事にお力添えを頂いたり、毎年のガーデニング教室もボランティアみたいな条件であるにも関わらず今年で5回目を数えます。
今回のテーマは「球根」。
講義の後は実際に数種類の球根の植え付けの実技指導をされました。

徳田千夏先生

20名の定員枠は数日前までに埋まっていたということで、わたしのように取り巻いて耳をそばだてる人も大勢おりました。


ところで、このイベントでは普段なかなか顔を合わせられない、地元の仲間達と再会する機会にも恵まれます。

ガーデニングショップ「花工場」の丸山さんは2軒の店の店長でありながら、ちちぶ花銀行の実働部隊の中心、今回のガーデニング教室の世話役でもあります。
今回彼が引っさげてきたのは移動販売車「ガーデントラック」です。

ガーデントラックby花工場

「建築工房小笠原」さんとのコラボながら、仕上げはほとんど彼がやってしまうと言う器用さです。


「ミヤコウ」の社長さんもインターロッキング屋の本業の傍ら、何でもやってしまうアイデアマンでもあります。
透水性インターロッキングへの散水システムとか、現場で余ったインターロッキングの端材の再利用とか、毎年このイベントに様々なアイデアを持ち込んでは社員総出で会場を盛り上げています。

ミヤコウさん

今回のテーマは「緑のカーテン」運動。太陽光発電もエコカーの購入も易々とできない庶民が、それでもCO2削減に参加する手だてとしてゴーヤを使った緑のカーテンを選んでシステム化、各家庭への設置のお手伝いをしながら、収穫したゴーヤの有効利用まで面倒を見るというのは、事業というよりほとんどボランティアに近いものがあります。

ミヤコウさん

お客さんに向かって熱く環境問題を語る彼は、生来のお祭り男なのでしょうね。


実はこうした面々がガーデニング教室の後、徳田先生を囲んで今後の事業について考える会合を持ったのですが、それはまた別の機会にとっておくとします。

秋晴れの暑いほどの快晴の空の下、とても楽しかった「ふるさと秩父まつり」でした。












東松山のガーデン 植栽編

テーマ:植物
さて、東松山のお宅もお庭のアウトラインが固まってきたところで、第2期の植栽作業です。

ガーデンの仕事をしていて、何が楽しいと言ったらもちろん全部楽しいのですが、特にこの植栽作業には捨てがたい魅力があります。
一瞬にして景色が変わり、お客様が喜んでくださり、こちらはこちらで様々な発見の連続です。

シマトネリコ

発見のその1。

樹にはその樹がもっとも美しく見える、絶対的な表の顔がありますね。それを見つける喜び!
それは僅かに角度や傾きが変わっただけで、容易に崩れてしまいます。
とても繊細な表情です。
もちろん樹はこの先、際限なく成長をしていく訳ですから、その都度その表情は変わっていくことでしょう。
だから、精一杯その姿を想像して、それでいて今が一番美しくなるように位置を決め、角度を決め、傾きを決めます。
わたしにいま出来る、精一杯のことです。

トウネズミモチ・トリカラー

サンカクバ、オリーブ、ベイリーズセレクト

発見のその2。

単独で植える時のその表情が、列植したり、組み合わせて植える段になると途端に一変します。
全体のバランスの中で樹が生き始めます。
そのために傾きを変えたり、角度を変えてあげたりすることが必要になる場合が出て来ます。
わたしが分かる、のではなく、樹が教えてくれるというその感覚。
そんな発見です。

トウネズミモチ 実

発見のその3。

思わぬ季節の変化を知らされます。
トウネズミモチの実は、つい先日まで淡い薄緑色でした。
それがいつの間にか、紫に色づき始めています。
季節がさらに進めば、これが黒に近い深~い藍色に変わります。
だから、この一瞬にしか出会えない色がここにあるのだと、とても嬉しく感じました。

お庭の仕事はこれから門柱の仕上げ、アプローチ、車庫と進んでいきます。
ここで植えた樹木がこの先どれだけ居心地よく感じてくれるか、それを見極めながらの作業となります。


あ、ところでマカダミアチョコのカラメリゼ!

見つけてきました。
何のことはない。箱ではなくて小袋のパックなら、どこにでも有ったのでした。

もちろん美味しく頂きながら、今朝図面を仕上げたCOZYでした。

カラメリゼ 小パック







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向井康治

ガーデン工房 結 -YUI-は、埼玉を起点に植物を中心に据えたガーデンデザインと設計・施工を仕事とする会社です。
ただし、面白い仕事であれば時には利益も距離感覚も忘れ去る脳天気ぶり。
だから、この仕事にはいつも様々な出会いがあります。人、植物、もの、本、言葉、音楽…。

結 -YUI- はネットワークです。
それは多彩な技術や知識を持った人々が持てる力を共有し合うこと。
人と自然界の美とが満を持して出会うこと。

わたしが文芸、農業、インド、土木、外構、アウトドアと巡ってきた先の到達点は、おそらくそれらみんなの要素を遺憾なく結集することのできる、小宇宙 「ガーデン」でした。

ガーデンデザイナーとして、ガーデナーとして、これまでの、そしてこれから先の「出会い」を余すことなくお伝え出来ればと思います。

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