庭に公園を造る~羽生市K様邸 2011年夏~秋
テーマ:しごと
2013/01/22 05:01
行田市K様邸を終えてからしばらくして、こちらのお宅からお問い合わせがありました。
先のお宅とは奥様同士が姉妹でいらっしゃいます。
平たく言えば紹介して頂いた訳で、そしてそのご依頼とは…
庭にブランコを作って欲しい。できれば滑り台も、鉄棒も砂場も…
う~む。
以前、キャンプ場で木製の遊具を作った事がありました。
大きな樹を中心にツリーハウスの要領で何段かのウッドデッキを作り、
そこに滑り台やブランコやターザン・ロープを組み合わせました。
この場合はまだキャンプ場であって、きちんとメンテナンスをしたり安全管理をしたりするスタッフが常駐しているわけで…
それが個人のお宅の場合、万が一の場合の事を思うと、その責任には計り知れないものがあると思い、しばらく躊躇させられました。
そんなときに知ったのが奈良県は吉野の山中で地元の木材を使って遊具を作っている「自然工房ウッドウォームズ」という会社でした。
安全と防腐には万全の注意が払われ、知れば知るほど良心的で誠実な仕事ぶりが伝わってくる、そういった会社です。
そこでわたしはそこの製品を購入して頂くことを条件に、そのお仕事を引き受けることにいたしました。
遊具はお客さんに買いそろえて頂いて、わたしが作る。
ウッドデッキは同じ防腐処理をした国産杉材を使ってわたしが施工し、芝ではないグランドカバーということでヒメイワダレソウを全面に植え、お子様が元気に飛び回れるような、公園のような庭にすることとしました。
でも課題がもうひとつ。
スギナで一杯になるんです…と。
作業はスギナ対策からスタートすることになりました。
とはいえ、スギナは簡単に根こそぎ出来るもので無いことを、わたしはこれまでの幾度と無い戦いで思い知らされており、近頃ではその特性にむしろ惹かれるものさえ感じるほどになっておりました。
スギナは酸性土に好んで生育し、しかしその身体はアルカリ性。
自ら枯れて土壌を中和させつつ、やがて土の性質を変えてその場から消えていく。
研究不足で確かな話ではありませんが、ツクシはその段になってようやく生えて、新たに生育地を求めて胞子を散らす繁殖手段なのかもしれません。
だとすれば気長につきあ合っていけば、いずれ居なくなる訳だし、その間はスギナ茶などの恩恵を蒙っても良いし、もし少しでも早く居なくなって貰いたいなら、スギナの力を借りる前に土壌改良を施せば良い訳です。
という訳で、粒状で遅効性の苦土石灰の力を少しばかり借りて、庭づくりをスタートさせたのでした。
完成は10月でした。
9月の最初の HANA sakaso プロジェクトから戻ってすぐに着手したのですが、ちょうどその頃、関東地方を逸れた台風が紀伊半島を直撃し、事もあろうに和歌山から奈良にかけて多大な被害をもたらしたのでした。土砂崩れや川の増水などによって多くの人命を奪ったあの台風12号でした。自然工房ウッドウォームズさんも、その被害から逃れることは出来ませんでした。
このお宅の奥さまに遊具の購入をお願いしておきながら、実はわたし自身も別件でウッドーウォームズさんにいくつかの遊具を発注していたのですが、その品物の発送が遅れるという連絡を、社長の大上さんから頂きました。
幸い会社施設は直接の被害を受けなかったものの、周辺道路のほとんどが寸断され、家の電話ばかりか携帯電話も使えず、かろうじて残った峠の道伝いに三重まで出て、それから電話しているとのことでした。
そんなことはどうでも良いから、まずは復旧を優先して欲しい…
そう言うしか有りませんでした。
わたし自身、宮城の被災地から戻ったばかりの頃のことです。内心では台風の向きが逸れて東日本を離れ、東北が襲われなかったことに安堵さえしていたのでした。まさかその同じ台風が、西日本であのような被害をもたらすとは…
これはそのようにして届けられたブランコです。
そして、鉄棒と砂場です。
どのキットにも懇切丁寧な手作りの組立説明書が添えられていました。
それから1年。
昨年の9月に再び訪れた庭です。
ヒメイワダレソウが一面に繁茂して花を咲かせ、スギナも多分はまだがんばっているのでしょうが、ほとんどその存在が気にならないほどになっていました。
ヒメイワダレソウは踏めば丈を小さくしますので、人がいつも歩く経路はきちんとそれらしい路になります。そして踏まないところは思い切り丈を伸ばして、心地よいクッションとなります。
この公園のような庭が、植物たちにとって心地よい場所であるのと同じくらい、いつまでも子どもたちにとっての心地よい空間となりますように!
自然工房ウッドウォームズさんのホームページは以下の通りです。興味のある方はぜひご覧下さい。
http://www.wood-warmth.com/
ついでながら、当社のホームページもよろしくお願いいたします。
http://www.yui-garden.com/
先のお宅とは奥様同士が姉妹でいらっしゃいます。
平たく言えば紹介して頂いた訳で、そしてそのご依頼とは…
庭にブランコを作って欲しい。できれば滑り台も、鉄棒も砂場も…
う~む。
以前、キャンプ場で木製の遊具を作った事がありました。
大きな樹を中心にツリーハウスの要領で何段かのウッドデッキを作り、
そこに滑り台やブランコやターザン・ロープを組み合わせました。
この場合はまだキャンプ場であって、きちんとメンテナンスをしたり安全管理をしたりするスタッフが常駐しているわけで…
それが個人のお宅の場合、万が一の場合の事を思うと、その責任には計り知れないものがあると思い、しばらく躊躇させられました。
そんなときに知ったのが奈良県は吉野の山中で地元の木材を使って遊具を作っている「自然工房ウッドウォームズ」という会社でした。
安全と防腐には万全の注意が払われ、知れば知るほど良心的で誠実な仕事ぶりが伝わってくる、そういった会社です。
そこでわたしはそこの製品を購入して頂くことを条件に、そのお仕事を引き受けることにいたしました。
遊具はお客さんに買いそろえて頂いて、わたしが作る。
ウッドデッキは同じ防腐処理をした国産杉材を使ってわたしが施工し、芝ではないグランドカバーということでヒメイワダレソウを全面に植え、お子様が元気に飛び回れるような、公園のような庭にすることとしました。
でも課題がもうひとつ。
スギナで一杯になるんです…と。
作業はスギナ対策からスタートすることになりました。
とはいえ、スギナは簡単に根こそぎ出来るもので無いことを、わたしはこれまでの幾度と無い戦いで思い知らされており、近頃ではその特性にむしろ惹かれるものさえ感じるほどになっておりました。
スギナは酸性土に好んで生育し、しかしその身体はアルカリ性。
自ら枯れて土壌を中和させつつ、やがて土の性質を変えてその場から消えていく。
研究不足で確かな話ではありませんが、ツクシはその段になってようやく生えて、新たに生育地を求めて胞子を散らす繁殖手段なのかもしれません。
だとすれば気長につきあ合っていけば、いずれ居なくなる訳だし、その間はスギナ茶などの恩恵を蒙っても良いし、もし少しでも早く居なくなって貰いたいなら、スギナの力を借りる前に土壌改良を施せば良い訳です。
という訳で、粒状で遅効性の苦土石灰の力を少しばかり借りて、庭づくりをスタートさせたのでした。
完成は10月でした。
9月の最初の HANA sakaso プロジェクトから戻ってすぐに着手したのですが、ちょうどその頃、関東地方を逸れた台風が紀伊半島を直撃し、事もあろうに和歌山から奈良にかけて多大な被害をもたらしたのでした。土砂崩れや川の増水などによって多くの人命を奪ったあの台風12号でした。自然工房ウッドウォームズさんも、その被害から逃れることは出来ませんでした。
このお宅の奥さまに遊具の購入をお願いしておきながら、実はわたし自身も別件でウッドーウォームズさんにいくつかの遊具を発注していたのですが、その品物の発送が遅れるという連絡を、社長の大上さんから頂きました。
幸い会社施設は直接の被害を受けなかったものの、周辺道路のほとんどが寸断され、家の電話ばかりか携帯電話も使えず、かろうじて残った峠の道伝いに三重まで出て、それから電話しているとのことでした。
そんなことはどうでも良いから、まずは復旧を優先して欲しい…
そう言うしか有りませんでした。
わたし自身、宮城の被災地から戻ったばかりの頃のことです。内心では台風の向きが逸れて東日本を離れ、東北が襲われなかったことに安堵さえしていたのでした。まさかその同じ台風が、西日本であのような被害をもたらすとは…
これはそのようにして届けられたブランコです。
そして、鉄棒と砂場です。
どのキットにも懇切丁寧な手作りの組立説明書が添えられていました。
それから1年。
昨年の9月に再び訪れた庭です。
ヒメイワダレソウが一面に繁茂して花を咲かせ、スギナも多分はまだがんばっているのでしょうが、ほとんどその存在が気にならないほどになっていました。
ヒメイワダレソウは踏めば丈を小さくしますので、人がいつも歩く経路はきちんとそれらしい路になります。そして踏まないところは思い切り丈を伸ばして、心地よいクッションとなります。
この公園のような庭が、植物たちにとって心地よい場所であるのと同じくらい、いつまでも子どもたちにとっての心地よい空間となりますように!
自然工房ウッドウォームズさんのホームページは以下の通りです。興味のある方はぜひご覧下さい。
http://www.wood-warmth.com/
ついでながら、当社のホームページもよろしくお願いいたします。
http://www.yui-garden.com/
豊かな表情のアプローチを造る~行田市K様邸 2011年初夏
テーマ:しごと
2013/01/21 05:30
川越K様邸の仕事を終えて、次に取りかかったのがこちらでした。
最初のご依頼があったのは震災の後でしたか…
やはりクルマが使えず、電車と徒歩とで初回のお打ち合せに伺ったことを、今でもよく覚えています。
前面の道路が狭く、それでも最大3台のクルマを無理なく停めるとしたら、おそらくガレージだけの施工で終わってしまいそうな条件でした。
それでもちゃんと存在を主張できる門とアプローチを作りたい。
植木や宿根草もそれなりに植えたい。
そう考えて作ったプランがこれでした。
2台分の駐車スペースを確保して、短時間のお客さまには門柱前から縦列駐車をしていただく。そのため、門柱から前のレンガ下地はコンクリートとしました。
そうすることでギリギリまで門柱を前に出し、レンガをゆったりと使ったアプローチを玄関までつなぐことが出来ました。
弧を描くアプローチは奥行きを感じさせ、いずれシマトネリコやホンコンエンシスが緑を濃くし、足元のホープレイズが大きく茂れば、奥までが簡単に見通せなくなり、さらに空間を拡げてくれることでしょう。
玄関脇、コッツブリックの水栓はフォーカル・ポイントになります。
そして、宿根草の植え込みは豊かな彩りを、ニーレンベルギアの列植はリズムを、ローズマリーやラベンダーやタイムなどのハーブたちは香りを…
そして、これが8月に再び訪れた際の様子。
緑は濃さを増し、
宿根草たちもすくすくと成長し、
僅かな距離の筈の、アプローチの歩みがとても長く、楽しく感じられました。
お忙しいだろうに、ちゃんと手入れがされていて、
ご家族の思いが庭を豊かに変えていく様子が、
きちんとよく分かる、
素敵なガーデンへと変貌を遂げていました。
自分が庭を造るなどと、間違っても思ってはいけないなと自戒した次第です。
がんばって更新しています。
よろしければ、ホームページもご覧下さい。
http://www.yui-garden.com/
低床ウッドデッキを造る~川越市K様邸 2011年初夏
テーマ:しごと
2013/01/20 16:02
最初にお話を頂いたのは2010年の夏のことでした。
豊かな田園に囲まれた住宅地ながら、まだ若いご家族の多い新しい地区であるため、人とクルマの動きがとても多いというのが最初の印象でした。
その住宅地の、比較的目立つ角地にあるご住居にウッドデッキを造り、目隠しをされたいというご希望。
雑草にもご苦労されている様子でした。
とても具体的なイメージをお持ちでしたのでそれを伺いながらデザインを重ねるうちに、お子様を授かられたとの報。しかも、双子のお子様!
若いご家族の暮らしをイメージしながら描いた図面がこちらでした。
その後デザインを確定するまでに掛けた時間がおよそ1年。
東日本大震災を経て、その後のガソリン不足で電車と徒歩でお打ち合せに通ったこともありましたが、じっくり練り上げたプランでしたので、ガソリンの安定供給を待ってからは一気に仕上げることが出来ました。
さて…
なにせ双子の赤ちゃんですからベビーカー用のスロープが欲しい。それもやや幅の広い…
とは言え、いつまでも必要なベビーカーである訳でも無く、駐車場をいたずらに狭くする常設のスロープというのもどうだろう…
という訳で着脱可能なウリン製のスロープを、実際の双子さん用ベビーカーのサイズに合わせて造らせていただきました。
それがこちら。
強度と耐久性は折り紙付き。
いずれ不要になったときはベンチにでもプランターにも、転用が可能です。
そして主役のウッドデッキ。
住宅地の宅地の高さはどこも高く設定されていましたが、こちらのお宅はその中でも特に高く、おまけに角の目立つ立地でもありましたので、その庭にウッドデッキというのはあまりに目立ちすぎました。
だから目隠しも合せて希望されていたのですが、デッキの高さを屋内の床の高さまで上げて、そこからの目隠しとなると囲いはとんでもない高さになってしまいます。危険でもあり、当然ながら予算もバカになりません。
ですので、ここでは宅地の土の高さに近づけた、低床型のウッドデッキを提案しました。
いったん屋内の床の高さに合わせた縁側状の大きなステップを造り、そこから一気に土の高さ近くまで落とす。その間に可動式の踏み台を造って昇降する、というものでした。
そして目隠しの塀はご夫婦の希望に添って製作しました。
ガラスブロックと照明を随所に配置して、侵入者への警戒をしながら、それでもお洒落に。
水栓も壁面の両側に配置しました。
ふたつの化粧壁に囲まれた通路です。
目隠しの壁はガレージ側からするととても高く感じられて圧迫感がありますので、ガレージ側の壁は低く抑え、2枚の壁で目隠し効果を高めようというアイデアでした。
おとなり側の目隠しは柔らかめにトウネズミモチ ‘トリカラー’の列植を施し、ウッドデッキから手を伸ばせる位置にハーブを中心とした宿根草の植栽を行いました。
これらの他、以前から植えられていた樹木の配置を少しばかり変え、さらに何本かを加え、
重なり合う緑と化粧壁との連なりのなか、季節ごとに姿を変える目隠しは、ご家族の暮らしそのものを豊かなものにしてくれるに違いないと思います。
成長された双子のお子さまは、きっとこの通路でかくれんぼに興じることもあるでしょう。
浄化槽が有るためにギリギリまで植栽が出来ず、その為にあえて通路としたこのスペースも、なかなか得がたい遊びの空間です。
庭づくり、空間づくりは、じつは子どもたちにとっても楽しく魅力的なものでなければならない。
またひとつ、学んだ気がしています。
現在しっかり更新を重ねていますので、よろしければ、ホームページもご覧下さい。
http://www.yui-garden.com/