低床ウッドデッキを造る~川越市K様邸 2011年初夏

テーマ:しごと

 最初にお話を頂いたのは2010年の夏のことでした。

01 着手前


 豊かな田園に囲まれた住宅地ながら、まだ若いご家族の多い新しい地区であるため、人とクルマの動きがとても多いというのが最初の印象でした。
 その住宅地の、比較的目立つ角地にあるご住居にウッドデッキを造り、目隠しをされたいというご希望。
 雑草にもご苦労されている様子でした。

02 着手前


 とても具体的なイメージをお持ちでしたのでそれを伺いながらデザインを重ねるうちに、お子様を授かられたとの報。しかも、双子のお子様!

 若いご家族の暮らしをイメージしながら描いた図面がこちらでした。

00 平面図


 その後デザインを確定するまでに掛けた時間がおよそ1年。
 東日本大震災を経て、その後のガソリン不足で電車と徒歩でお打ち合せに通ったこともありましたが、じっくり練り上げたプランでしたので、ガソリンの安定供給を待ってからは一気に仕上げることが出来ました。

03 完成、初夏


 さて…
 なにせ双子の赤ちゃんですからベビーカー用のスロープが欲しい。それもやや幅の広い…
 とは言え、いつまでも必要なベビーカーである訳でも無く、駐車場をいたずらに狭くする常設のスロープというのもどうだろう…
 という訳で着脱可能なウリン製のスロープを、実際の双子さん用ベビーカーのサイズに合わせて造らせていただきました。
 それがこちら。

07 ウリン製スロープ、ベビーカー用


 強度と耐久性は折り紙付き。
 いずれ不要になったときはベンチにでもプランターにも、転用が可能です。


 そして主役のウッドデッキ。

 住宅地の宅地の高さはどこも高く設定されていましたが、こちらのお宅はその中でも特に高く、おまけに角の目立つ立地でもありましたので、その庭にウッドデッキというのはあまりに目立ちすぎました。
 だから目隠しも合せて希望されていたのですが、デッキの高さを屋内の床の高さまで上げて、そこからの目隠しとなると囲いはとんでもない高さになってしまいます。危険でもあり、当然ながら予算もバカになりません。
 ですので、ここでは宅地の土の高さに近づけた、低床型のウッドデッキを提案しました。

04 低床ウッドデッキ


 いったん屋内の床の高さに合わせた縁側状の大きなステップを造り、そこから一気に土の高さ近くまで落とす。その間に可動式の踏み台を造って昇降する、というものでした。

05 水栓付き化粧壁


 そして目隠しの塀はご夫婦の希望に添って製作しました。
 ガラスブロックと照明を随所に配置して、侵入者への警戒をしながら、それでもお洒落に。
 水栓も壁面の両側に配置しました。

06 ふたつの化粧壁


 ふたつの化粧壁に囲まれた通路です。
 目隠しの壁はガレージ側からするととても高く感じられて圧迫感がありますので、ガレージ側の壁は低く抑え、2枚の壁で目隠し効果を高めようというアイデアでした。

08 夏の再訪


 おとなり側の目隠しは柔らかめにトウネズミモチ ‘トリカラー’の列植を施し、ウッドデッキから手を伸ばせる位置にハーブを中心とした宿根草の植栽を行いました。

09 夏の再訪


 これらの他、以前から植えられていた樹木の配置を少しばかり変え、さらに何本かを加え、

10 夏の再訪


 重なり合う緑と化粧壁との連なりのなか、季節ごとに姿を変える目隠しは、ご家族の暮らしそのものを豊かなものにしてくれるに違いないと思います。

11 夏の再訪


 成長された双子のお子さまは、きっとこの通路でかくれんぼに興じることもあるでしょう。

13 夏の再訪


 浄化槽が有るためにギリギリまで植栽が出来ず、その為にあえて通路としたこのスペースも、なかなか得がたい遊びの空間です。

14 夏の再訪


 庭づくり、空間づくりは、じつは子どもたちにとっても楽しく魅力的なものでなければならない。

 またひとつ、学んだ気がしています。





 現在しっかり更新を重ねていますので、よろしければ、ホームページもご覧下さい。
 http://www.yui-garden.com/


















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向井康治

ガーデン工房 結 -YUI-は、埼玉を起点に植物を中心に据えたガーデンデザインと設計・施工を仕事とする会社です。
ただし、面白い仕事であれば時には利益も距離感覚も忘れ去る脳天気ぶり。
だから、この仕事にはいつも様々な出会いがあります。人、植物、もの、本、言葉、音楽…。

結 -YUI- はネットワークです。
それは多彩な技術や知識を持った人々が持てる力を共有し合うこと。
人と自然界の美とが満を持して出会うこと。

わたしが文芸、農業、インド、土木、外構、アウトドアと巡ってきた先の到達点は、おそらくそれらみんなの要素を遺憾なく結集することのできる、小宇宙 「ガーデン」でした。

ガーデンデザイナーとして、ガーデナーとして、これまでの、そしてこれから先の「出会い」を余すことなくお伝え出来ればと思います。

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