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森昭彦さんの本

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森くんの本の魅力については、「嫉妬する」とまで表現してくれた柳生真吾さんがすでにそのブログの中で紹介してくださっているので、ここで改めて紹介するまでもないのですが、本人によればなかなか売れず印税もたまにしか入ってこないということなので、ここは最近産まれたばかりのお子さんのミルク代のためにも、微力ながら応援をしたいと思いました。

実はわたし自身もすでに何冊かまとめて購入し、わが社のノベルティグッズではありませんが仲間やお客さまに配らせてもらっています。
最近特に雑草をこよなく愛するお客さんに出会う機会が増えました。
カタバミを深く愛するわたしとしては類が友を呼んだと嬉しい限りでして、みなさんにはぜひ森くんの本の愛読者になってもらいたいと思っています。

森昭彦氏 既刊3冊

昨年のキャンプで頂戴した3冊の本たちはそれはもうどれも面白く、これは柳生さんも言っているようにまず文章が洒脱です。
わかりやすくて面白い。少しでも知っている植物などの話題では思わずニンマリさせられますし、知らない植物やムシなら、ぜったい会いたくなる。そんな魅力的な文章です。

身近な雑草のふしぎ

そして、彼自身が撮った写真がいいです。大判の分厚い植物図鑑でも植物の全体像が伝わってこなかったり、特徴的な部分の写真が無かったりするというのに、彼の本では自分が撮るだけに写真もまた饒舌です。
それに加えて植物のイラストまで加わるので、とてもわかりやすい。それで新書サイズですからフィールドワークだけでなく通勤通学のお供ににも最適です。

身近な野の花のふしぎ

わたしは「身近な雑草のふしぎ」を読んで、草取りの作業量を一気に減らしましたし、「身近な野の花のふしぎ」を読んでスズメノエンドウやギシギシに憧憬を超えた愛情すら覚えてしまいました。

身近なムシのびっくり新常識100

「身近なムシのびっくり新常識100」は図鑑ではありませんが、それだけに読み物として面白く、特にこれまで迷惑ものとしてしか扱ってこなかったハチや蛾、イモムシや毛虫、ゾウムシやカメムシに対する見る目を一新させられました。

そして、今回頂戴したのが今月末発売の(紹介しても良かったのだろうか? …しちゃうけれど)、「うまい雑草、ヤバイ野草」!

   うまい雑草、ヤバイ野草

こんな本があれば良いなと思っていた本です。内心で快哉を叫びました。

これまで通りの植物図鑑の形式ながら、読み物がパワーアップ。さらに饒舌です。
なにより、似た仲間を上手に比べられるようにしてこれでもかというほど注意点を本文と写真で明確にしている点、絶対に誤食事故を避けたいという森くんの強い思いがつたわってきます。

どのページをめくっても植物と昆虫たちに対する愛情に満ち溢れた良書4冊。

ソフトバンククリエイティブ株式会社発行の「サイエンスアイ新書」シリーズ。定価すべて1,000円。
絶対にお買い得のお勧め本たちでした。











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敬愛するガーデナーにしてサイエンス・ジャーナリスト、森昭彦さんにお会いする

テーマ:ひと
残暑お見舞い申し上げます。

関東地方は相変わらず厳しい暑さが続いています。
ガーデン工房 結 -YUI- には特に盆休みはありませんが、この暑さの中現場に出るのは自殺行為で(その証拠に現場で仕事をしていると、放送で「屋外での活動は極力避けましょう」と叱られてしまいます)、開店休業状態です。

それを良いことについ先日、古い仲間たちと堂平山に登ってきました。
我が家から1時間弱、仲間たちの住む鴻巣や桶川からでも1時間半弱、わずか標高875.8mの山ですがかつての東京天文台が今もそこに有るように空気は澄み、気温は低く、とても快適な時間を過ごすことができました。

堂平山 パラグライダー練習場

仲間の話を始めると長くなるので…
なにせ今から30年をさかのぼらなくてはならないのですが、わたしがかつて入植していた那須の農場に援農を兼ねてキャンプしにきた大学生たちとその二世たち、その彼らが企画実行してきた様々なキャンプから巣立っていったかつての子供たち、歴代のリーダーたち、そのまた子供たち…
そんな仲間が夏にはこの堂平のキャンプ場に、年末にはかつてわたしたちが作った秩父のキャンプ場に泊まるのがすっかり恒例となっています。

堂平キャンプ場

一昨年にはかつて水俣に嫁いで低農薬、無農薬のデコポンの販売ネットワークの仕事をする友人と25年ぶりに再会し、昨年は1日違いでサイエンス・ジャーナリストの森昭彦氏とすれ違ってしまいました。彼は30年前のキャンプ
のときに参加した小学生たちの世代です。最初のキャンプの参加者(彼とその家族にも今回、会うことができました)の友人で、のちにこのキャンプサークルのリーダーとなったうちの一人なのだとか。
その昨年の堂平で彼が置いて行ってくれた3冊の本がとても面白く、同業の後輩でありながらすっかり彼の才能と活動の姿勢に魅了されてしまったわたしは、彼に会うのをずっと楽しみにしていたのでした。

キャンプ2日目のお昼前、われわれがキャンプ場に併設された農園でブルーベリー狩りをしていたところ、
「こんにちわぁ~!」
山頂全体に響き渡るような元気な声を発して彼が、彼の友人たちとともに登場しました。
わたしはすこし度肝を抜かれ、傍らのキャンプリーダーに、
「森くんってあんな子だったんだ…」
思わず呟いたものでした。

堂平の森昭彦氏

それからのひと時、日帰りの森くんたちが下山するまでの間、それはとても楽しい時間を過ごしました。
博学多才な彼の魅力はその間も十分に発揮され、キャンプ場に飛来するムシたちを事細かに紹介してくれます。
その知識は植物や昆虫の他、鳥類にまでおよび(法学部出身のくせに!)、それでいながらなかなかビジネスとしての仕事が成り立たない現実、著作の苦労、ご家族のこと(お子さん誕生、おめでとう!)など、話は植物やこの仕事に関するいろいろな話題にまで広がっていったのでした。

あれだけの才能を持つ彼がキャンプの仲間たちからはモリチビの愛称で呼ばれて、時にからかわれ、時にかわいがられる様子を見ながら、わたしはほのぼのと気持ちを温かくしたものです。(ちなみにわたしはムッチリで、今でもそう呼ばれています)
わたしが折原ファームでひそかに繁殖を企てつつあった未知の雑草を見てもらったところ、その日のうちに調べてメールでその名前と生態を報告してもらい、また今月末に発売されるこれまたとびきり面白い新作もいただいてしまいました。
この先機会があればぜひ一緒に仕事がしたいですね、の誘いには気持ちよく応じてくれて、ぜひ草取りを手伝いに行きます。得意ですから!
…そういう人なのでした。

森昭彦氏と

惜しむらくはあまりにも彼の滞在時間が少なくて、彼のフィールドワークに同行できなかったこと…

それはまた次回の楽しみに取っておきたいと思います。

こんなムシの名前を、今回は聞きそこなってしまいましたから…

ハイキングコースで見つけた蛾









蒼園、井出さんにお会いする

テーマ:ひと
…というような記事を書いて良いものか?
その後バタバタと過ごすうちに(いつものことですが)、すでに1週間もたってしまったし…

おそらく大きく筋を外さない限り、井出さんからお叱りを受けることはないだろうとたかを括ることにいたします。


タカショーさんのリフォームガーデンクラブ全国交流会には、いつも声を掛けて頂きながら今回も欠席してしまいました。
神戸出張と奈良旅行とその後に控えた業務を言い訳にしつつ、しかし年に数度も都内に出ることがなくなったこの身には、東京に出向くこと自体が余程の覚悟がない限りとても難しいことなのです。
が、それが井出さんにお目に掛かる数少ないチャンスと知っていれば、その覚悟のほども少しは違っていたかもしれません。

井出さんとはお互いのブログへのコメントや或いはメッセージでおつき合いさせて頂いておりましたが、電話でお話ししたのがほんの数回。
まだ、お目に掛かって直接お話しを聞く機会には恵まれずにおりました。

そのブログの激しい論調とは一転した、穏やかで温かいお話しぶりには最初お電話を頂いた時、とても驚かされたものでした。

罵倒と糾弾と嘆きに満ちたとても激しいブログの文章は、それはそれで胸に応えるものがあります。
わたしなど、何度読みながら恥ずかしさで赤面したことか…自分がお叱りを受けている気になって冷や汗を流すことも一度や二度ではありませんでした。
どれだけ傲岸と取られ不遜な印象を与えるような激しい文体であろうと、あくまで「正義」に基づいて発せられる言葉の重みには、ただ頭を下げるより有りませんでした。

それが一転、電話口で語られる一語一語はとても柔らかなもので、時に苦渋に満ちたものにもなり、わたしを慌てさせたり共感させたりしてきたものだったのです。

その井出さんから全国交流会の2日目にお電話を頂戴し、帰りのバスまでに時間があるので会ってお話しをしたいとのありがたいお申し出…
こちらまで出向いて下さるとまでおっしゃって頂き、わたしは恐縮してしまいました。
都内からここまで往復すればゆうに5,6時間は掛かります。それではお帰りのバスに間に合わなくなりますし、幸いなことにその日わたしは午前中に1件打ち合わせを予定していたものの、午後は設計に充てるつもりでおりましたので、即座に午後の日程を調整して空ける事にいたしました。

品川の駅前で初めてお目に掛かった井出さんは、初めての電話同様にわたしを驚かせるに十分な、とても謙虚で遠慮がちで穏やかなお人柄を感じさせる方でした。

近くの喫茶店に腰を据え、当面のご予定などを伺う中で飛び出した情報の数々…昨夜のカプセルホテル、駅前のマックで仕事、品川発の夜行バス。
いやあ、社員が贅沢を許してくれなくて、とおっしゃる言葉からは自らを厳しく律して経費を切り詰め、どうしたって大きな利益を生み出すはずのない良心的すぎる仕事ぶりを窺い知ることができて、お会いした早々から不覚にも目頭を熱くしてしまいました。

どんなにしても厳しいそのやりくりの中で、常に勉強して専門家を凌駕しかねないほどの広範な知識と技術を身につけ、それも単に受け売りの知識でなく自ら研究、実験して自分のものにしていく井出さんの姿勢には感服させられましたし、そこから生み出されるご自分の仕事に対する自信と誇りには異論を差し挟む余地などまったくありません。

予定していた2時間をわたしの希望で3時間にまで延長させて頂き、その他にも本当にたくさんのお話しをさせて頂きました。
前日に茨城で目の当たりにしてきた手抜き工事のあまりにひどい現実。わたしのついぞ知ることのなかった業界内の怖い話の数々。その日の午前中に井出さんがお会いしたというO先生の素晴らしい仕事の話。井出さんがこれまでに取り組んできたこと、これからやりたいと思っていること。などなど…
語るうちに気持ちが熱くなれば、そこからブログでいつも拝見する熱い井出さんも垣間見ることは出来ましたが、それ以上に間違いなく目の前の井出さんとブログの井出さんが同一の人物だと実感するキーワードをひとつ挙げるとするなら、それが「正義」という言葉であったろうと思います。

この日、わたしは井出さんの貴重なお話を伺いながら、正義ということについてずっと考え続けました。

正義は必ずしも唯一無二ではない。
正義は常に最善であると限らない。
正義は時に人を傷つけ、自らをも傷つけるものである。
でも、正義は常に語り続けなければならないし、忘れられることがあってはならない。
誰しも正義と向き合わなければならないし、例えそこから外れることがあっても無意識であってはならない。

わたしは井出さんと話しながら、京都大学原子炉実験所助教である小出裕章先生を思い出していました。
原子力の研究者として第一線に身を置きながら40年にも渡って原子力発電の危険性を訴え続け、異端としての誹りを受け続けながらも今回の原発事故でようやく、その発言を認められるようになった小出先生。
その先生の活動を非公式ながら取りまとめ続けるサイトがあって、アメリカに住む友人からその存在を知らされました。

小出裕章(京大助教)非公式まとめ

ここで語られている事実はどれも思わず目を背けたくなるような事ばかりです。
政府やお役人や東電関係者が事実として述べていることの多くが、事実を誤認したり意図的に隠したりしているものであると言うことを、それはいとも簡単に明らかにしていきます。
だから、このサイトを開くのはとても辛い。
辛いけれどいったん開いてしまうとそこからもう目を背けることが出来なくなって、何時間にも渡って入り浸ることになってしまいます。そして暗澹たる気分になってしまう…
少し極端ですが、このサイトと井出さんのブログはとても似ていると思いました。
井出さんのブログも、のめり込むと仕事が滞ってしまうからなかなか開く勇気を持てずにいるのですが、いったん開くと夜が更けるのも忘れるくらい読みふけってしまう…で、暗澹たる気持ちで朝を迎えることになってしまう…同じです。

しかし、これだけは間違いのないことですが、真実を知らずに正しい選択は出来ないのだと思います。
そして、良い仕事も出来ない。

井出さんとのお話の最後になって、とても素晴らしい仕事をするタイル屋さんの話題が出ました。
そしていざお別れという段になって、今度お目に掛かったときはそうした素敵な仕事の話をたくさんしましょうと、これはわたしからお願いしました。
…でないと、わたしはこの仕事に対する誇りや情熱を失ってしまいかねないと感じたのですが、おそらくそんなこととは関係なく、井出さんも小出先生も、それぞれの仕事に対する誇りや情熱を高く掲げ続けることでしょう。
一方で悲しい現実と向き合っては、悲嘆に暮れる毎日が続いたにしても…


そういった種類の「正義」について、深く心に刻みつけられた一日であったと思います。





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向井康治

ガーデン工房 結 -YUI-は、埼玉を起点に植物を中心に据えたガーデンデザインと設計・施工を仕事とする会社です。
ただし、面白い仕事であれば時には利益も距離感覚も忘れ去る脳天気ぶり。
だから、この仕事にはいつも様々な出会いがあります。人、植物、もの、本、言葉、音楽…。

結 -YUI- はネットワークです。
それは多彩な技術や知識を持った人々が持てる力を共有し合うこと。
人と自然界の美とが満を持して出会うこと。

わたしが文芸、農業、インド、土木、外構、アウトドアと巡ってきた先の到達点は、おそらくそれらみんなの要素を遺憾なく結集することのできる、小宇宙 「ガーデン」でした。

ガーデンデザイナーとして、ガーデナーとして、これまでの、そしてこれから先の「出会い」を余すことなくお伝え出来ればと思います。

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