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フォレストサンズ長瀞キャンプ場 事のなりゆき1

テーマ:しごと
案の定、ゴールデンウィークは楽しく仕事に専念しています。
日中の現場と、溜まった日常業務と、数本の設計を抱えるとさすがに睡眠時間が4時間を切りますが、4月の後半には先行してたっぷり三食昼寝付読書三昧の優雅な病院生活を過ごしてありますので、そのお返しのつもりでがんばってはおります。
が、そもそも手の怪我が仕事のしすぎをセーブしようとするなにものかの思し召しかもしれず、だとすればここでのハードワークはいけないことかも知れませんね。
ここ数日で仕事がひと段落したら、連休後のさらなる多忙に備えて1日くらいはのんびりしたいものです。

さて、入院ですっかり竣工の遅れてしまった川越の仕事と数件の小さな仕事と並行して、キャンプ場の造成も着々と進んでいます。
ゴールデンウィークに入ってからは残っていた針葉樹たちを一気に植え込んでもらいました。

針葉樹の植栽

明日からは整形しながら芝張りが始まります。

そして、滝を中心とした水場の下地が完成し、

ローキーステージ 下地完成

昨日からは鉄筋を溶接しながら造形が始まりました。

ロッキーステージ 下地鉄筋01


これにラス網を巻いて形を整え、左官のみなさんがモルタルで岩山を作っていくことになります。(空洞になる内側はコンクリートの充填です)

ロッキーステージ 下地鉄筋02


この地面の下は巨大な岩盤です。
このコンクリート躯体も、その岩の表面をはつって基礎を埋め込みました。

ロッキーステージ 下地鉄筋03


長瀞の岩畳はつとに有名ですが、おそらくはそれに連なる大きな岩塊がこの下に埋まっているのでしょう。
この地方に余震が少なく、あってももう3以上になることがないのも、うなずけます。
(神戸の例があるので、全面的には信じていませんが)
いくら自社施工といえ、後で倒壊したり水漏れしたりするような物を作る訳にはいきませんから、とりあえず今のところは安心して見ています。(デザインとコーディネートを終えたわたしには、後はただ見守るしかないのですが)


6月の完成、7月のオープン(たぶん)に向けて、みんな連休返上で頑張っています。


トレーラーハウス




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フォレストサンズ長瀞キャンプ場 事のつづき

テーマ:しごと
今にして思えばその頃はすでにインフルエンザに罹り掛けていたのでしょう。
しきりと咳き込むマスクと防寒着の得体の知れない訪問者を、それでも山梨のみなさんはとても温かく迎えてくれました。

まずは本家、笛吹川フルーツ公園のアクアアスレチックを見学。
冬場で水は流していませんでしたが、なかなかの壮観で、水がない分、細部に渡っていろいろ勉強することが出来ました。で、管理事務所を訪ねると責任者の方がお忙しいのに懇切丁寧に対応してくださいました。
年間の使用水量、衛生管理の方法、メンテナンスの実際…
何もそこまで教えてくださらなくても…
でも、施工業者の記録は有りませんでした。
平成9年の着工、翌年の供用開始ですからすでに12年以上が経過しています。
ただ、メンテナンスの業務依頼の記録を頼りに、地元の建設会社さんを紹介していただきました。
そこなら、何か分かるかもしれませんよ。
電話でアポを取り、その会社を訪問。当時のことを覚えている専務さんとお話しすることが出来ました。
ただ、この会社は水路部分の施工を担当していたらしく、滝の施工は別会社であったようです。
で、教えて頂いたのが、当時の県土木事務所、今の峡東建設事務所でした。そこになら、当時の記録が残っているはずだから、と。
早速訪問した先で、しかし担当の都市計画課の方はお一人が出張、もうお一人も戻るのが18時を過ぎるとのことで…
改めて出直すことにしました。
再度フルーツ公園を見学したり、以前から訪ねたかった果樹の育苗業者さんを訪ねてプラムの苗木を調達したりするうちに体調は悪化…
ごほんごほん。
でも、18時を待ちました。
多忙そうな担当主査さんとお話しをしたものの、こちらは所詮公共性のかけらも無い一民間企業ですので、どれだけ協力して頂けるか不明でしたが、それでも熱くお願いだけはしてみました。
あのフルーツ公園の滝を、ぜひ秩父でも造りたいのです!
その気持ちが通じたのかどうか、それでも現在担当されている事業がひと段落したら調べてくださるとの言葉をいただくことが出来ました。

ながーい一日が終わって帰路に就く頃には雪もちらつき始め、遅くに戻ったわたしは…寝込んだのでした。

一時は39度を越えた熱がようやく納まって、それでもたちの悪い咳がまだ続いていたそれから一週間ほどした頃でしたでしょうか、峡東建設事務所の主査さんからお電話を頂きました。わたしはベッドの中でした。
「滝を手がけた業者がわかりましたよ!」
「え、本当ですかぁ…ごほんごほんごほん」
記録がなかなか見つからず、それでも当時の担当者が何とか分かったのでその異動先に連絡をとったところ、その当時の担当の方が業者名を記憶していたとのこと。試しにその会社のホームページを調べたら、例の滝が施工例として紹介されていました、と。
体調不良のわたしは気持ちが弱くなっていたのでしょうか…思わず涙ぐみながら主査さんに何度も何度もお礼を言いました。
どう考えても本来の業務ではなく、担当地域の公共工事を請け負ったことも、この先請け負うこともない他県の民間企業のために、そこまで骨を折ってくださる県土木の担当の方は普通居ません。これはとても希有な例であるとは思いますが、やはり山梨の方の温かさなのだと、わたしはしみじみ思いました。

そうとなればいつまでも寝込んでおれません。まあ、この間も実際は時々現場に出ていたので病気をこじらせていたのですが…
擬岩工事の専門業者、OSL社さんに連絡を取り、担当者と会って施工の詳細を聞き出し、見積もりをあげて貰うためにまず数量を拾い出すことになり…

そのあといろいろな曲折を経て滝と流れと池はその規模を縮小し、滝と池だけになったのですが、これがその1/20スケールのモデルです。ひと晩寝ないで製作した物です。

まず、コンクリートの躯体。ポンプで揚げた水を上部の水槽に貯めてオーバーフローさせます。

滝モデル 躯体

そして、その周囲をハンドカービング工法で作り込んでいきます。
池にはスタンプコンクリートで砂浜を再現、水の流れを作るために中島を作りますが、ここはちょっとしたステージにもなる筈です。

滝モデル 疑岩イメージ

その背面。
メンテナンス用の昇降施設とカムフラージュのために植栽も施しました。
会議までに乾かす時間が無く、彩色はあきらめました。

滝モデル 疑岩イメージ背面

このモデルを使って設備屋さんと打合せをし、その上でOSL社さんと話し合いCGイメージを製作してもらったのがこれ。

滝イメージCG

表面の仕上げは柱状節理パターンにしてもらいました。

そして先日出来上がってきたモデルがこれです。

滝モデル 修正

現在、現地では地下貯水槽の施工に入っているとの報告がありました。

キャンプサイトも下水工事が完了して現在は給水とガス配管の最中の筈。

フォレストサンズ長瀞 造成

先頃はわたしが見つけてきたメタセコイアとメタセコイア・オーレアが納品され仮植えをしたところです。

メタセコイア搬入

さて、お楽しみはこれから。
夢を見ることをやめれば、その時からわれわれの仕事は失速します。
そのことを肝に銘じ、まだまだ厳しい状況ながら最善を尽くしていきましょう。

後ほどまた、報告させてください。



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フォレストサンズ長瀞キャンプ場 事の始め

テーマ:しごと
先日より川越のK様邸のお仕事が始まりました。
昨年7月から打合せを重ねたガーデン・リフォームで、初めてのお子様(しかも双子ちゃん!)のご誕生などもあってこの時期からの施工となりました。着工日が、急きょ決まった奥様の退院とも重なって幸先の良いスタートとなりました。
が、何せ片道1時間45分の長丁場で、またまたブログを書く時間が無くなりそう。

そして、それと同時進行で進めているのが秩父の長瀞にこの夏開業予定の新しいキャンプ場、「フォレストサンズ長瀞」です。
こちらはコンサルタント業務ですが、もとよりご存じの通りセンセイ稼業に徹することが下手な人間ですので、今月から始まる植栽作業ではつい身体が先に動いてしまいそう。
掛け持ちは苦手なので、どこかでしっかり日数を絞って取り組んでいきたいと思っています。

で、そのフォレストサンズ長瀞キャンプ場について…
いや、それ以前にわたしとキャンプ場との関わりについて。

もともと以前在籍した会社でふたつのキャンプ場の開業に関わった経緯がありました。

ひとつが秩父温泉満願の湯に隣接する「満願ビレッジオートキャンプ場」。

満願ビレッジオートキャンプ場

それ以前に務めていた土木会社からの出向先でガーデン工事と同時に最初に取り組んだのが、この自社物件でした。

初めてのキャンプ場。それもトレーラーハウスを中心とした…
戸惑うことばかりでしたが、全体のレイアウト、植栽計画、ルーフデッキとレンガバーベキュー台の施工、さらには管理人の一人として(ガーデン工事の合間に!)キャンプ場の運営、メンテナンスとなかなか貴重な体験をさせてもらいました。

そして4年を経た独立開業の年、ふたつめのキャンプ場が開設。
こちらはテントサイト主体で荒川の河畔の広いキャンプ場でした。
この「ウォーターパーク長瀞」では林間の遊び場を設計、製作しました。

ウォーターパーク長瀞

そして、その会社から独立して5年ぶりに今度は3つ目のキャンプ場の話が舞い込みました。

去年の11月のことでした。
かつての同僚から突然連絡があり、新しいキャンプ場のデザインの相談を受けました。
今回はトレーラーハウスを19棟。ゆったりとしたサイトデザインをして、やや高級感を付与したいとのこと。
最初は椰子の木を多用したトロピカルなコンセプトでしたが、さすがにそれには反対させて頂きました。
夏は黙っていたってお客さんが殺到する秩父ですから、夏の演出は不要だし、秩父にトロピカルはそぐわないと思いました。
むしろ冬の集客を考えるべきで、それなら冬も美しいキャンプ場にしませんか…と。

わたしはさまざまな彩りの針葉樹を使った森を作ってみてはどうかと思いました。
少なくとも針葉樹たちなら秩父の冬の寒さに耐えられるでしょう。また、寒さに触れて彩りを深める針葉樹を幾重にも重ねることが出来れば素敵でしょう。
その森の中にトレーラーハウスを点在させる…

それが通った瞬間にずるずると深みにはまっていく自分の未来が見えた訳です。

そして、次の元同僚の依頼がこれでした。
「滝を作りたいんです。アメリカ北部のヨセミテ国立公園のイメージで…」

ウェブで見ました。
バーナム滝、ネバダ滝、ヨセミテ滝…
無茶でしょ!

でも、彼が山梨で見てきたという擬岩で作った滝はかなり参考になりそうでした。
笛吹川フルーツ公園のアクアアスレチックという施設です。

笛吹川フルーツ公園 アクアアスレチック

滝と滝の裏を巡るトンネルまでがあって、その直下に水遊び場。さらにそこから川が流れ出て、飛び石や橋、様々に文字通りの水のアスレチックが連続していきます。山梨の丘陵の上手く使った演出でした。

で、新しいキャンプ場では3メートルほどの滝を作り、そこからせせらぎを60メートルほど。終点には大きくて浅い池を模した水遊び場作ろうというプランでした。全長で85メートル。その途中にトレーラーハウスのサイトが点在する景色はさぞや見事というほかありません。

が…

いったいどれだけの予算があるというのでしょう。

ともかく、わたしは調査に乗り出しました。
天然の1枚板で3メートルの滝は無理。
かといって岩を組むのは子供連れのお客さんには少し危険。
となれば、山梨のアクアアスレチックと同様に擬岩で山を造り、川を造り、池を造れば良いではないかと考えて、わたしは体調不良の身体にむち打って、12月の寒風吹きすさぶ山梨に向かって走りました。



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向井康治

ガーデン工房 結 -YUI-は、埼玉を起点に植物を中心に据えたガーデンデザインと設計・施工を仕事とする会社です。
ただし、面白い仕事であれば時には利益も距離感覚も忘れ去る脳天気ぶり。
だから、この仕事にはいつも様々な出会いがあります。人、植物、もの、本、言葉、音楽…。

結 -YUI- はネットワークです。
それは多彩な技術や知識を持った人々が持てる力を共有し合うこと。
人と自然界の美とが満を持して出会うこと。

わたしが文芸、農業、インド、土木、外構、アウトドアと巡ってきた先の到達点は、おそらくそれらみんなの要素を遺憾なく結集することのできる、小宇宙 「ガーデン」でした。

ガーデンデザイナーとして、ガーデナーとして、これまでの、そしてこれから先の「出会い」を余すことなくお伝え出来ればと思います。

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