地震のあと

テーマ:思い
地震から一日半が経過して、ようやく散乱した部屋の片づけをした。
当日は停電で手の付けようがなかったし、昨夜は電気が戻っていたけれど、東北地方の惨状を知って手を付ける気力を失った。

地震発生時は現場にいて、あまりの揺れの激しさに立っているのさえおぼつかなかった。
まず頻発していた三陸沖が震源かとも思ったが、これがもしそうならあちらはいったいどういうことになっているのかと恐ろしくなった。それくらいの揺れだったし、激しい余震が何度もきた。
当然の事ながら電話は通じず、ラジオの放送だけでは被害の様子が一向につかめず、とりあえずやりかけた作業を終え(モルタルはすでに液状化を起こしていたので全て回収して練り直して)、施主さんのお宅の中の余震で倒れたら困る重量物を安全なところに移して、停電で信号機の止まってしまった街を帰路についた。
その間も情報を集めようとするのだが、被災地の惨状を知ることはその時点ではまだ出来なかった。

阪神淡路の被災地を思った。
おそらくあれよりもひどいに違いないとは想像出来た。

途中、信号が復旧していたので少し期待していたのだが、案の定わが家のある地区は真っ暗だった。
プロパンガスが無事だったので、鍋でご飯を炊きロウソクの灯りで夕食を摂った。
明日に備えて出掛けたスーパーから、すでにパンはごっそりと消えていた。
幸い電気なしで使える石油ストーブが1基あったのでそれ一台で家族4人暖をとって、ラジオだけを聞きながら長い夜を過ごした。

夜中にパソコンが息を吹き返す音で電気の復旧を知った。
その時間まで復旧作業に追われ続けてこれからもそれを繰り返すのであろう電力会社のみなさんのご苦労を思った。頭が下がる。

これから長い苦労が始まる。

被災者の救出、避難所の運営、ライフラインの復旧、仮設住宅の建設、瓦礫の片付け、町の再建…
阪神淡路を思い、中越地震を思って、またあの途方もなく長いプロセスが繰り返されるのかと暗澹たる気持ちになる。
が、そんなものではないということを昨夜のテレビ中継で思い知った。
阪神淡路については被災地で働いたから分かるが、あの時は活断層に沿って被害が集中して無事なところとそうでないところとが比較的はっきりとしていた。つまり、その気になれば被災地に直接アプローチ出来た。また、被害の軽い人が重い人の支援に廻ることも出来た。
でも今回は町がごっそり全部壊されている。ほとんどの人が同等の被害を受け、持てるものの全てを失っている。
だから、まったく外部からの支援を待つしかない。
被災者の救出以前に、まず安否確認だけでもまだまだ時間がかかるだろう。
さらには福島第一原発のトラブルもある。
いったい誰がどうやったらそれらの町を元に戻せるのだろうかと、そんなことを思いながらテレビの画面を見るのが辛かった。
その惨状を伝えるために撮られたヘリからの映像が、その騒音で救出作業や避難所生活にとんでもない障害と負担を与えていることを思いつつ。

いつもそうだが、いま自分に何が出来るのかと思う。

わたしはこれまでの経験で、それが、
自分の持ち場で自分に出来る経済活動をしっかり行うことだと知っている。
自分が本来抱えている責任を投げ出して、現地に赴いてボランティアに身を投じるのではないことを知っている。
しっかりと仕事をしてしっかりと収入を得て、それを支援に回せるのなら、それが一番良いことだと知っている。

明日からは計画停電がスタートする。
うちの町は初日の最初の時間帯から停電となる。そして、夕方から夜の8時までの一日2回らしい。
それがどれほどの不便だろうか?
少なくとも被災地の状況を思えば…

う~ん。
今年最初の生コン打設がようやく出来ると思っていたが、きっとプラントは操業停止に近い状態になるのだろうな。

わたしのデスクトップPCもしばらくは操業停止…かもしれない。
ブログも再びお休みとなりそうだけど、その間、誰にも恥じることのない仕事に務めたい。


こんな長々と書き連ねなければ、被災地のみなさんへの思いを表すことの出来ない自分だが、それでもまだまだ言葉が足りない気がする。

足らないあとの分は、ただひたすら、祈ろうと思う。


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向井康治

ガーデン工房 結 -YUI-は、埼玉を起点に植物を中心に据えたガーデンデザインと設計・施工を仕事とする会社です。
ただし、面白い仕事であれば時には利益も距離感覚も忘れ去る脳天気ぶり。
だから、この仕事にはいつも様々な出会いがあります。人、植物、もの、本、言葉、音楽…。

結 -YUI- はネットワークです。
それは多彩な技術や知識を持った人々が持てる力を共有し合うこと。
人と自然界の美とが満を持して出会うこと。

わたしが文芸、農業、インド、土木、外構、アウトドアと巡ってきた先の到達点は、おそらくそれらみんなの要素を遺憾なく結集することのできる、小宇宙 「ガーデン」でした。

ガーデンデザイナーとして、ガーデナーとして、これまでの、そしてこれから先の「出会い」を余すことなくお伝え出来ればと思います。

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