86.
陽だまり 2012/12/28
陽だまりに腰を下ろして
いつの時代を語ろうか
数年先の陽だまりで
いつの季節を語ろうか
年を重ねて見る夢は
今とちっとも変わらない
今あるように未来にも
おんなじ夢が待っている
そりゃ少しはしょぼくれて
腰もピンとは伸びずとも
おんなじ夢は語れるよ
おんなじ瞳で語るから
もうすぐ年が改まる
長い長いこの年が
漸く過ぎて改まる
あと数日で改まる
陽だまりで 陽だまりで
公園で ベンチかな
陽だまりで 肩寄せて
陽だまりで
陽だまりで
85.
いつもの月が 2012/11/25
僅か 10㎝ほど 開けた東向きの窓で
切り取られた縦長の宵の風景の一番高いところに
煌々と照らされたいつもの月がある
満月にはまだまだ幾日か手前の月の明かりだけれど
この部屋に射し 暖かい
そう 今日だけの 香る月
うんっ
こんばんはって言おう
うんっ
ありがとうって言う
うんっ うんっ
ありがとうって言わせてよ
そこにいてくれるから ありがとう
今日の分と 明日の分
ありがとう
84.
一里塚 2012/11/9
歩むこの道一里塚
一里 一里に刻む塚
今日のこの日に刻んでく
あなたと共に歩く道
大事な一日 雨も降る
大事な一日 風も吹く
大事な一日 虹掛かり
大切な人 大事な一日
83.
並木 2012/11/2
黄色い銀杏の並木道
舗道に溢れる落ち葉の中に
後姿の君がいる
ちょうど去年の今ごろに
すこし前行く君がいる
小高い丘の階段は
右と左とふたつあり
登る足元落ち葉踏み
ベンチは陽だまり秋の香に
絵本の二冊 花束飾り
ありがとう
明日はどうしているだろう
凍えていてはないだろか
ありがとう
昨日の安堵こうしてるだろう
迷子にならずにすんだよな
冷たい雨の降る夜に
思うはあなたの影ばかり
遠き夜空のオリオンの
三ツ星雲に隠れても
そこにあなたがいるような
82.
君のいちばん好きな色 2012/8/10
東の空の高いとこ
弓張りの月が浮かんでる
もうすぐ異国の空の下
芝生に笛は鳴り渡る
それでも月はそこにあり
眠りの窓から見えている
君のいちばん好きな色
瞳に映る月の色
81.
半分 2012/7/14
君が背負った重さの半分
僕に持たせてくれないか
君が抱えた想いの半分
僕に分けてはくれないか
軽くなったら
心が軽くなったなら
チョッピリ軽くなったなら
新しいことも思いつく
当たり前だと思いつく
なんだそうかと思いつく
そんなことかと思いつく
君が背負った重さの半分
僕に分けてはくれないか
80.
石文(いしぶみ) 2012/6/25
俺が生まれた町を流れる
白い白い 白い川
たった一つのその石は
探し見つけた その石は
今でも心に届いてますか
いまでもあなたにありますか
あなたが話したすべてのことは
月に映っているのでしょうか
半月見えてて 愛しい
79.
泣く 2012/5/29
いっぱい いっぱいの思いを 言葉に託す。
限界って意味じゃないんだ
いっぱい いっぱいは 沢山 沢山って意味。
毎日 毎日 その日の朝に
唯一の新たな物語
新しい言葉が 井戸の底から湧き上がるよに
こんこん こんこん 溢れでる
おはよう 風が吹いている
おはよう 花が揺れている
おはよう 今日は眠れたの
おはよう 笑顔で笑えてる?
おはよう 今日の涙の絵文字
おはよう 明日には消えるといいな
おはよう 明日はどんな日だろう
おはよう 昨日は悲しくて
おはよう 今日も悲しくて
おはよう 涙を流したけれど
おはよう 明日はきっといい
おはよう 日に日に 陽は伸びて
おはよう 明日はもっといい
おはよう いつもと変わらぬけれど
おはよう 明日も 笑顔でおはよう
78.
十四夜 2012/4/6
ふと 窓をあけて
ああ 東の窓だと想う
月が出てる
十三夜も見た
十五夜はあす
今日は十四夜
東の窓開けたら
君と目が合った
77.
肩 2012/3/31
『いつ帰る』って聞きたいけれど
行っておいでと送り出す。
そりゃ笑顔だよ
無理して私は笑顔だよ
不安もあるし 疲れもあるし
いろいろ混じた君の顔
だから笑顔で送り出す
ただただ無事でと送り出す
西風 時には厳しくて 行き着くまでは苦しくて
それでもどうにかなるものさ 誰かが誰かに教えてる
春の初めの細い道 いつまで舞いる この雪を
ひとり乗せてるその肩を 払ってあげるよ 大丈夫
帰っておいでね 気をつけて
長い長い道のりの
これから先のなお長い
道のり共に歩むため