ロックガーデンを造る~H市N様邸02 2012年春
テーマ:しごと
2013/01/13 11:42
2012年4月。
近くの土手に桜が満開となった頃、ようやくロックガーテンは一旦の完成となりました。
この頃にはそれまで工事の過程で折に触れて植え込んできた、球根や宿根草たちも目を覚ましてくれています。
ユーフォルビア ‘アミグダロイデス ・パープレア’と原種系チューリップ ‘ブライトジェム’。
冬の間中、楽しませてくれたエリカたち。
さらにコンボルブルズの‘クネオルム’。
シルバーリーフの輝きを増したプンゲンス ‘グロボーサ・グラウカ’。
さらに季節が進んで、
随時宿根草を加えながら、そして5月ともなれば…
庭はどこも賑やかで楽しいものになってくれました。
図面下側が南となります。
建物の配置を斜めにしたため、建物正面の南西の庭と、ガレージのある南東の庭、通行量の多い交差点に面した左手北西の庭、そして和室に面した北東の庭、4つの庭が生まれました。
ここでは便宜上建物正面を南の庭と称して、以下東の庭、西の庭、北の庭というように紹介していきます。
まずは、南の庭。
こちらは建物の外観と「北欧の岩山」のイメージに即して針葉樹でまとめました。
お客さまのご希望でもあるモミと、色彩のコントラストを出すためブルー系のアトラスシーダー、ゴールド系のヨーロッパゴールドとフィリフェラ・オーレア、そしてイチイ…
冬の景色をより豊かにするため矮性種や這性種のコニファー類もたくさん使いたかったのですが、実はこの近隣は著名な梨の生産地でもありまして、赤星病を媒介する恐れのあるビャクシン類の使用は控えた方が良いことが分かりました。そこでこれに代わる「冬も美しい常緑樹」としてヒース=エリカを多用することになった訳です。
エリカは原種に近いものを中心に8種類ほどを入れました。
常緑樹が中心の南の庭ですが、季節の変化と花色を加えるため(それでいて高さは極力抑えるため)、階段とスロープ、ふたつのアプローチの中央にシダレエンジュを入れてみました。
もともと縁起の良い樹とされるエンジュのうちでもシダレ種は珍重されて来たようですが、ここでは落葉後の姿も面白く、花も楽しめ、上に延びて景色を阻害せず玄関前を暗くしないという特性に惹かれました。
玄関から東のガレージに向かう動線は高低差があるために石張りの階段と小さな踊り場があります。
こちらは建物が道路に最も近いため、時間を掛けてコンクリート擁壁による土留め工事を施した箇所。もちろん、完成すればその痕跡はまるで有りませんが…
こちらをわれわれはささやかながら「登山道」と「展望台」と呼んでいます。手すりも当初は鉄製の堅固なものを考えましたが、「山の遊歩道」のイメージを大切にするため、ACQ防腐処理済みの国産杉を使って手作りで製作しました。
東側のガレージは「山の麓の駐車場」のイメージ。
2つの「登山道」が、玄関や北側の庭とつなぎます。
こちらは日当たりが良くて北風を避けられるため、以前のお住まいで大切に育てられてきたソテツを植え込み、これを中心に南洋風の植物でまとめました。
セレノア・ルペンス(ノコギリヤシ)とチャメロプス、アガベとニューサイラン、そしてハーブと多肉植物たち…
そしてここから「北登山道」を登るとささやかな隠れハーブガーデンとキッチンガーデン。こちらは奥様のリクエストでもありました。
一方、西側はリビングの強い西日を遮りつつ小鳥たちの来訪を楽しみ、かつ夕方の景色を楽しむためにささやかな落葉の疎林としました。
シラカバの‘ジャックモンティー’、アオハダ、アメリカヒトツバタゴ、ジューンベリー ‘ロビンヒル’、ノルウェーカエデ ‘プリンストンゴールド’、クラブアップル ‘プロフュージョン’…
そしてウッドデッキの中央には奥様がお好きという株立ちのヤマボウシ。
南側の針葉樹の森から西側の落葉樹の林への流れを唐突で不自然なものにしないよう、つなぎにイチイを入れたり、岩の組み方を少しずつ変えていったりという工夫がありました。
角の部分は鋭い角度を和らげるため、当初は図面にある通り、岩を前面に出さず低木の植栽にするつもりでしたし、実際そのように岩の配置をしてみたのですが…
こちらはご主人の希望もあって、南側の力強い石組みをここでも再現することにしました。
それも最初はまだおとなしめに…
それが後ほど岩を追加してこのようになりました。
遠目に見たときこれが結局、貴重なアクセントとなったような気がいたします。
そして、この岩がいったん静かな流れに変わり、北側に曲がると再度力強いものになります。
ここで配慮したのは、外からの景色はこれまでの洋の石組みの流れを保ちながら、内側の和室前の庭からの景色では和(風)の石組みとなるようにすること。
とは言え、そこはガーデン工房 結 -YUI-の庭ですのでたとえ和の庭とは言え、主役はあくまでも植物たちです。
こちらの植栽はやや和の味わいがある樹のうち、外側には常緑を、内側には落葉を配置しました。
ソヨゴ、トウネズミモチ ‘トリカラー’、オガタマ ‘ポートワイン’、ロドレイア、斑入りユズリハ、アセビ、ビバーナム、コハウチハカエデ、ニシキギ、山椒など。
ましてこちらの庭は勝手口側と言え、町の中心に向かう第2の玄関口でも有ります。
そうであれば、当然ながらそれなりのしつらえがあって然るべきで…
できる限りお洒落に、かつローメンテナンスで機能的な庭に仕上がったと思っています。
次回はこの庭が夏を迎えて緑を深めた様子をお伝えしたいと思います。
よろしければ、ホームページもご覧下さい。
http://www.yui-garden.com/
近くの土手に桜が満開となった頃、ようやくロックガーテンは一旦の完成となりました。
この頃にはそれまで工事の過程で折に触れて植え込んできた、球根や宿根草たちも目を覚ましてくれています。
ユーフォルビア ‘アミグダロイデス ・パープレア’と原種系チューリップ ‘ブライトジェム’。
冬の間中、楽しませてくれたエリカたち。
さらにコンボルブルズの‘クネオルム’。
シルバーリーフの輝きを増したプンゲンス ‘グロボーサ・グラウカ’。
さらに季節が進んで、
随時宿根草を加えながら、そして5月ともなれば…
庭はどこも賑やかで楽しいものになってくれました。
図面下側が南となります。
建物の配置を斜めにしたため、建物正面の南西の庭と、ガレージのある南東の庭、通行量の多い交差点に面した左手北西の庭、そして和室に面した北東の庭、4つの庭が生まれました。
ここでは便宜上建物正面を南の庭と称して、以下東の庭、西の庭、北の庭というように紹介していきます。
まずは、南の庭。
こちらは建物の外観と「北欧の岩山」のイメージに即して針葉樹でまとめました。
お客さまのご希望でもあるモミと、色彩のコントラストを出すためブルー系のアトラスシーダー、ゴールド系のヨーロッパゴールドとフィリフェラ・オーレア、そしてイチイ…
冬の景色をより豊かにするため矮性種や這性種のコニファー類もたくさん使いたかったのですが、実はこの近隣は著名な梨の生産地でもありまして、赤星病を媒介する恐れのあるビャクシン類の使用は控えた方が良いことが分かりました。そこでこれに代わる「冬も美しい常緑樹」としてヒース=エリカを多用することになった訳です。
エリカは原種に近いものを中心に8種類ほどを入れました。
常緑樹が中心の南の庭ですが、季節の変化と花色を加えるため(それでいて高さは極力抑えるため)、階段とスロープ、ふたつのアプローチの中央にシダレエンジュを入れてみました。
もともと縁起の良い樹とされるエンジュのうちでもシダレ種は珍重されて来たようですが、ここでは落葉後の姿も面白く、花も楽しめ、上に延びて景色を阻害せず玄関前を暗くしないという特性に惹かれました。
玄関から東のガレージに向かう動線は高低差があるために石張りの階段と小さな踊り場があります。
こちらは建物が道路に最も近いため、時間を掛けてコンクリート擁壁による土留め工事を施した箇所。もちろん、完成すればその痕跡はまるで有りませんが…
こちらをわれわれはささやかながら「登山道」と「展望台」と呼んでいます。手すりも当初は鉄製の堅固なものを考えましたが、「山の遊歩道」のイメージを大切にするため、ACQ防腐処理済みの国産杉を使って手作りで製作しました。
東側のガレージは「山の麓の駐車場」のイメージ。
2つの「登山道」が、玄関や北側の庭とつなぎます。
こちらは日当たりが良くて北風を避けられるため、以前のお住まいで大切に育てられてきたソテツを植え込み、これを中心に南洋風の植物でまとめました。
セレノア・ルペンス(ノコギリヤシ)とチャメロプス、アガベとニューサイラン、そしてハーブと多肉植物たち…
そしてここから「北登山道」を登るとささやかな隠れハーブガーデンとキッチンガーデン。こちらは奥様のリクエストでもありました。
一方、西側はリビングの強い西日を遮りつつ小鳥たちの来訪を楽しみ、かつ夕方の景色を楽しむためにささやかな落葉の疎林としました。
シラカバの‘ジャックモンティー’、アオハダ、アメリカヒトツバタゴ、ジューンベリー ‘ロビンヒル’、ノルウェーカエデ ‘プリンストンゴールド’、クラブアップル ‘プロフュージョン’…
そしてウッドデッキの中央には奥様がお好きという株立ちのヤマボウシ。
南側の針葉樹の森から西側の落葉樹の林への流れを唐突で不自然なものにしないよう、つなぎにイチイを入れたり、岩の組み方を少しずつ変えていったりという工夫がありました。
角の部分は鋭い角度を和らげるため、当初は図面にある通り、岩を前面に出さず低木の植栽にするつもりでしたし、実際そのように岩の配置をしてみたのですが…
こちらはご主人の希望もあって、南側の力強い石組みをここでも再現することにしました。
それも最初はまだおとなしめに…
それが後ほど岩を追加してこのようになりました。
遠目に見たときこれが結局、貴重なアクセントとなったような気がいたします。
そして、この岩がいったん静かな流れに変わり、北側に曲がると再度力強いものになります。
ここで配慮したのは、外からの景色はこれまでの洋の石組みの流れを保ちながら、内側の和室前の庭からの景色では和(風)の石組みとなるようにすること。
とは言え、そこはガーデン工房 結 -YUI-の庭ですのでたとえ和の庭とは言え、主役はあくまでも植物たちです。
こちらの植栽はやや和の味わいがある樹のうち、外側には常緑を、内側には落葉を配置しました。
ソヨゴ、トウネズミモチ ‘トリカラー’、オガタマ ‘ポートワイン’、ロドレイア、斑入りユズリハ、アセビ、ビバーナム、コハウチハカエデ、ニシキギ、山椒など。
ましてこちらの庭は勝手口側と言え、町の中心に向かう第2の玄関口でも有ります。
そうであれば、当然ながらそれなりのしつらえがあって然るべきで…
できる限りお洒落に、かつローメンテナンスで機能的な庭に仕上がったと思っています。
次回はこの庭が夏を迎えて緑を深めた様子をお伝えしたいと思います。
よろしければ、ホームページもご覧下さい。
http://www.yui-garden.com/