被災地に寄せ植えを届ける~再び、山元町

テーマ:東日本大震災復興
 あいかわらず風の強い宮城県は亘理郡亘理町の宿泊施設にて。
 3月11日の早朝です。


 昨日は朝の3時に出て仕事仲間のSんと合流、交代で軽トラックを運転して山元町到着は予定通り、6時間後の9時少し前でした。
 最初にまず訪れたのは今回修次先生(山下中学校前校長にして山元子どもも大人もみんなで遊び隊事務局長、渡辺修次先生)に教えていただいた「みんなのとしょかん」。

01 山元町到着


 常磐線旧山下駅の近く、被災して解体された住宅の跡にいろいろな方の努力で建てられたものです。

02 みんなのとしょかん


 出来たばかりで周辺には何もなく、殺風景で潤いがないので、何か出来ないかという発信がありましたので、まずは見て見たいと思いました。

03 みんなのとしょかん



 夏の暑い日のために、木陰を作ってくれる高い樹が植えられると良いなと思いました。
 土は見るからに堅そうで砂利も混じり、おそらくは塩の濃度も高い事でしょう。塩に強い樹を選ぶことはもちろん、周囲の土も入れ替えなければならないと感じました。草花も直植えよりも花壇にして栄養分の高い土を運んで来れればと思いました。
 余計な事をしてもいけませんが、でも専門家としてお手伝いできることであれば、いずれまたお役に立ちたいと思います。

 さて、今回の目的地の山下中学校です。
 11日の追悼式会場となります。

04 山下中学校


 ここに運んできた寄せ植えたちを降ろし、

05 寄せ植えを降ろす


 地元、埼玉県皆野町の花苗生産者、山下園芸さんから使ってくださいと託されてきたパンジー苗の手入れをし、

06 植え込みの準備


 花壇の手入れを開始した頃まではまだ、寒くはあっても快適な滑り出しでした。

 10時を過ぎた頃でしたか…

08 風、強まる


 にわかに風が強まり、激しい音とともに砂ぼこりが舞い上がり、最大で風速20メートルは越えるだろうというような嵐となりました。

 学校に飾られた幸せの黄色いハンカチもご覧のとおりで吹き飛ばれそうになるほど。

07 幸せの黄色いハンカチ 強風の中


 やむを得ないので寄せ植えたちの配置はあきらめて昇降口の中に避難させていただくことに…

09 寄せ植え、避難


10 寄せ植え、避難


 ただ、花壇の植え込みと、とにかく乾燥が激しいので水やりだけは強風を突いて行いました。
 これにはたまたまこちらで合流した、かつてHANAsakasoプロジェクトでご一緒した鴻巣市のIさん親子が手伝ってくださいました。

 どなたかが後から大量に植えたしてくださったチューリップの芽はまだこれからですので、今は彩りの少なくなっていた花壇でした。

12 植え込み2


12植え込み


 せめてチューリップが入学式までに間に合うと良いですね。

11植え込み


 ということで、この日出来るのはここまで。


 砂嵐のばくのような海岸沿いのストロベリーラインを通り、

17 砂の舞うストロベリーライン


 バチバチとクルマを叩く砂や小石の音に驚きながら…

16 砂の舞うストロベリーライン


 旧坂元駅を訪れました。

13 坂元駅前


 残っていたトイレの建物も、その前に頑張って立っていたタイサンボクの樹も今では撤去されていました。
 われわれの感傷など、被災地の復興になんら役に立たないものなのですが、一抹の寂しさはありました。

14 坂元駅前


 われわれが昨年、雪の中で凍えながら菜の花の苗を植えた場所に、高野山のみなさんが整備したという花壇が出来ており、栃木県大田原市のみなさんが植えた様子のチューリップが芽を出していました。
 これは感傷でも何でもなく、嬉しいことだと思いました。

 暮らしをあっさり更新して上書きすることはできません。
 この日も修次先生と訪れた旧山下駅前では、常磐線の路線変更に反対するみなさんの声を聞きました。旧市街を切り捨てないでほしいという痛切な願いが、町の復興推進にとって障害とされてしまうことは、とても悲しいことです。

 でも支援活動はどんどん乗り越え、踏み越え、上書されて行けばいい。
 誰かが植えた花の苗を、次にきた誰かがひっこ抜いて新しい苗を植えて行くかもしれない。ヒマワリやアサガオやコスモスの種がいっぱい隠れている土がひっくり返されて、花壇として整備されてしまうかもしれない。誰かが花壇に添えたメッセージカードが、ゴミとして処分されてしまうかもしれない。
 本当は誰かが管理したり引き継いだりコーディネートしたり出来ればよいのだろうけれど、それを被災地のみなさんに期待するのは絶対に違う訳だし、そうした事に今ではかなり少なくなってきたボランティアの方の数を割くこともできません。
 だから、どんどん上書きしていけばよいとわたしは思います。
 それは気持ちの上書きなんだから、更新しても更新しても支援の気持ちが削徐されてしまうことないと信じます。


15 坂元駅前



 本日、3月11日。
 東日本大震災から2年目を迎える今日。
 この地に居られ、みなさんと祈りを共にできることを、とても幸せに思います。



































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向井康治

ガーデン工房 結 -YUI-は、埼玉を起点に植物を中心に据えたガーデンデザインと設計・施工を仕事とする会社です。
ただし、面白い仕事であれば時には利益も距離感覚も忘れ去る脳天気ぶり。
だから、この仕事にはいつも様々な出会いがあります。人、植物、もの、本、言葉、音楽…。

結 -YUI- はネットワークです。
それは多彩な技術や知識を持った人々が持てる力を共有し合うこと。
人と自然界の美とが満を持して出会うこと。

わたしが文芸、農業、インド、土木、外構、アウトドアと巡ってきた先の到達点は、おそらくそれらみんなの要素を遺憾なく結集することのできる、小宇宙 「ガーデン」でした。

ガーデンデザイナーとして、ガーデナーとして、これまでの、そしてこれから先の「出会い」を余すことなくお伝え出来ればと思います。

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