シシング・ハースト・キャッスル・ガーデンⅡ~イングリッシュ・ガーデンの旅 02
テーマ:イングリッシュガーデン
2009/11/15 05:45
自然は直線を好まない
これは著名な風景式庭園の造園家であるウイリアム・モリスの言葉です。
(和訳は中尾真理氏の著作「英国式庭園」講談社選書によるものです)
わたしのとても好きな言葉で、ガーデン・デザインに迷いが生じた時には必ず思い出すようにしています。
もちろん、ガーデンは自然そのものではありませんし、ガーデン・デザインは決して自然の再現ではありません。
ですが、人が人工物に囲まれた暮らしに疲れ、自らを取り巻く空間に自然の要素を少しでも多く取り入れたいと願うところからガーデンが始まるとするならば、きわめてバーチャルなものでありながらもガーデンの個々の様子は自然に近しいものであるべきであると、わたしは考えます。
ですから、わたしも直線だけで構成されたガーデンのデザインは好みません。
レンガやブロックを切り刻み、削ったり貼り付けたりして作る幾何学的な工作物も好きではありません。
製作する職人が疲弊するようなガーデンに、本源的に人を癒す力など無いと思うからです。
…それはさておき。
シシング・ハースト・キャッスル・ガーデンの第2回目は、そうした視点も踏まえて庭園を構成する様々な細かい要素を、写真で拾い出しながら紹介していきたいと思いました。
なぜ冒頭で直線にこだわったかと言いますと、この庭園のデザインがとても多くの直線によって構成されているからなのです。
この設計を担当したハロルド・ニコルソンの手によるものですが、庭園の南北を端から端まで結ぶヴュー・ウォークを作ったり、ホワイトガーデン、ローズガーデン、ハーブガーデン、スプリングガーデン、モートウォークなど、主要なガーデンは全て直線によって構成され、直線で結ばれています。
そして、それら直線が生み出す強さ、固さ、鋭さといった印象を和らげるのが夫人であるヴィタ・サックヴィル・ウェストが選び出した植物の数々です。上記の写真を見ても同じ直線のアプローチが、使う植物次第で柔らかくも固くもなることが分かると思います。そして、ガーデンのひとつひとつはそのように柔らかく、ガーデンとガーデンを結ぶ動線は固くして、庭園全体にリズムとメリハリを付けていることが分かります。
個人のお庭に同じ事を当てはめれば、個々の庭を柔らかくして、それを結ぶラインである境界線上の外構であるとか、都市計画上の道路とかをきっちりした直線で構成することに相当するでしょうか。
そして、その直線自体を構成する素材に目を向ければ、その質感がとても柔らかいことに気付かされます。
そして、さらにそこに植物が入り込んでくると、それは単なる動線ではなくなり、植物を盛る器のひとつとなってしまいます。
異なる空間と空間を結ぶ役割を持つゲートや窓もまた、次の空間を切り取るそれ自体が装飾された額縁となり、そのまま次の空間に入り込んでしまうのとはまた、違う風景を現出させてくれます。
さらには、ガーデンの脇役達もそれぞれに個性的でチャーミングでした。
まる一日をこのシシング・ハーストで過ごして、それでもまだまだ時間が足りないくらいに素敵な時間を過ごすことが出来ました。いま改めて写真を整理しながら、とても濃厚な時間だったと思いだしています。
と同時に、こんなペースですべての旅程をプログにしていたら、ヘトヘトになるに違いないと先を危ぶみつつ…
あっ、もちろんランチの際にはビールを頂いたことも書き添えて…
イングリッシュ・ガーデンの旅の初日を終わりにします。
2日目は、ローズガーデンが圧巻のリージェンツ・パーク他、です。
これは著名な風景式庭園の造園家であるウイリアム・モリスの言葉です。
(和訳は中尾真理氏の著作「英国式庭園」講談社選書によるものです)
わたしのとても好きな言葉で、ガーデン・デザインに迷いが生じた時には必ず思い出すようにしています。
もちろん、ガーデンは自然そのものではありませんし、ガーデン・デザインは決して自然の再現ではありません。
ですが、人が人工物に囲まれた暮らしに疲れ、自らを取り巻く空間に自然の要素を少しでも多く取り入れたいと願うところからガーデンが始まるとするならば、きわめてバーチャルなものでありながらもガーデンの個々の様子は自然に近しいものであるべきであると、わたしは考えます。
ですから、わたしも直線だけで構成されたガーデンのデザインは好みません。
レンガやブロックを切り刻み、削ったり貼り付けたりして作る幾何学的な工作物も好きではありません。
製作する職人が疲弊するようなガーデンに、本源的に人を癒す力など無いと思うからです。
…それはさておき。
シシング・ハースト・キャッスル・ガーデンの第2回目は、そうした視点も踏まえて庭園を構成する様々な細かい要素を、写真で拾い出しながら紹介していきたいと思いました。
なぜ冒頭で直線にこだわったかと言いますと、この庭園のデザインがとても多くの直線によって構成されているからなのです。
この設計を担当したハロルド・ニコルソンの手によるものですが、庭園の南北を端から端まで結ぶヴュー・ウォークを作ったり、ホワイトガーデン、ローズガーデン、ハーブガーデン、スプリングガーデン、モートウォークなど、主要なガーデンは全て直線によって構成され、直線で結ばれています。
そして、それら直線が生み出す強さ、固さ、鋭さといった印象を和らげるのが夫人であるヴィタ・サックヴィル・ウェストが選び出した植物の数々です。上記の写真を見ても同じ直線のアプローチが、使う植物次第で柔らかくも固くもなることが分かると思います。そして、ガーデンのひとつひとつはそのように柔らかく、ガーデンとガーデンを結ぶ動線は固くして、庭園全体にリズムとメリハリを付けていることが分かります。
個人のお庭に同じ事を当てはめれば、個々の庭を柔らかくして、それを結ぶラインである境界線上の外構であるとか、都市計画上の道路とかをきっちりした直線で構成することに相当するでしょうか。
そして、その直線自体を構成する素材に目を向ければ、その質感がとても柔らかいことに気付かされます。
そして、さらにそこに植物が入り込んでくると、それは単なる動線ではなくなり、植物を盛る器のひとつとなってしまいます。
異なる空間と空間を結ぶ役割を持つゲートや窓もまた、次の空間を切り取るそれ自体が装飾された額縁となり、そのまま次の空間に入り込んでしまうのとはまた、違う風景を現出させてくれます。
さらには、ガーデンの脇役達もそれぞれに個性的でチャーミングでした。
まる一日をこのシシング・ハーストで過ごして、それでもまだまだ時間が足りないくらいに素敵な時間を過ごすことが出来ました。いま改めて写真を整理しながら、とても濃厚な時間だったと思いだしています。
と同時に、こんなペースですべての旅程をプログにしていたら、ヘトヘトになるに違いないと先を危ぶみつつ…
あっ、もちろんランチの際にはビールを頂いたことも書き添えて…
イングリッシュ・ガーデンの旅の初日を終わりにします。
2日目は、ローズガーデンが圧巻のリージェンツ・パーク他、です。
シシング・ハースト・キャッスル・ガーデンⅠ~イングリッシュ・ガーデンの旅 01
テーマ:イングリッシュガーデン
2009/11/14 05:43
2008年6月20日。
初日は何といきなり、ケント州のシシング・ハースト・キャッスル・ガーデンを訪ねました。
イギリスでもっとも美しい庭園と呼ばれ、そのホワイト・ガーデンは数限りない後の庭園に影響を与えた素晴らしいガーデンです。
ヒドコート・マナーと合わせて、今回の旅行でわたしがもっとも楽しみにしていた場所のひとつでもあります。
その庭園がもっとも美しいと言われる、ホワイトガーデンにランブラーローズの咲き誇る6月にここを訪れることが出来たのは、なんと幸運なことでしょうか。
この庭園を作り上げたのは文学者であったヴィタ・サックヴィル・ウェストと、その夫のハロルド・ニコルソン。
廃墟となっていた城館を購入し、夫のハロルドが庭園全体のデザインを受け持ち、妻のヴィタが植栽プランを立てました。モデルとされたのは後ほど訪れるコッツウォルズのヒドコート・マナー・ガーデンであったと言われています。
イングリッシュ・ガーデンと言ってもそのスタイルはさまざまです。
わたしは、リージェンツ・パークで「イングリッシュ・ガーデン」の案内板を見た時、本場のイギリス人が何を以て「イングリッシュ・ガーデン」と呼んでいるのか興味を抱き、出掛けていったことがありました。
そう、それは池があり丘があり、針葉樹の林のある本格的な風景式庭園でした。
なるほど…
日本ではもちろんそうした何十エーカーもあるような風景式庭園はなかなか作れるはずが無く、現在一般に「イングリッシュ・ガーデン」と呼ばれているのはもっぱらコテージ・ガーデンのスタイルであろうかと思います。
田舎家の庭…
家屋を中心にこれといった計画性を持たずに樹木が植えられ、足元に季節の宿根草が咲き、門から玄関に至る動線の左右にはボーダーと呼ばれる植栽がほどこされ、高低も色彩も多様な植物たちが季節ごとに奔放に咲き誇る庭!
わたしが最も愛するこのスタイルを、巧みに取り入れてデザインされたのがこのシシング・ハースト・キャッスル・ガーデンなのでした。
メインハウスのゲートをくぐると正面にそそり立つのが、この庭園のシンボルであり、すべてのガーデンから臨むことが出来、常に美しい背景となる塔です。
上の2枚の写真はこの塔の上から撮り下ろしたものでした。
われわれデザイナーにとっても、こうして庭園全体を俯瞰しながら庭を学ぶことが出来るのは、とても貴重でありがたいことです。
このようにして改めて写真を整理していて気付くシシング・ハーストの魅力。
そのひとつは壁面を美しく見せる技術の巧みさです。
レンガ積みの壁面はそれ自体が美しいのですが、そこを伝うクライマー・ローズやスイカズラ、アイビーやフジなどの美しさはどうでしょう。
美しい壁面を贅沢にも背景として使うそれらには、植物単独では表現出来ない美しさがあります。人工物と交わることでより強調される自然の美ということが、言えるかも知れませんね。
もうひとつの魅力。
それは空間と空間を結ぶ技術の巧みさです。
ひとつのゲートをくぐることで違う空間に導かれ、さらに違う次のテーマがさりげなく提示され、フォーカル・ポイントの彫像に導かれて訪れた池からはまた違った風景が遠望できる…
常に驚きと発見が連続します。
塔を中心とした凝縮され濃厚な美しさを見せるガーデンとそれを取り巻く奔放でゆったりとしたウェルダネス、それらを仕切る直線的な生垣に囲まれた通路、ヴュー・ウォーク。
やれやれ。
本当は1つの庭園や公園を1日ごとに紹介していこうと思ったのですが、やはりシシング・ハーストほどになると1回では無理みたいです。この調子でいくと10回くらいの連載では全旅程の紹介は終わらないかも知れませんね。
ここで少し、ひと休み。
ウィルダネスのベンチから掘にたたえられた水面を眺める老夫婦の、あの静かで穏やかな時間をいつかわたしも共有したいと願いつつ…
初日は何といきなり、ケント州のシシング・ハースト・キャッスル・ガーデンを訪ねました。
イギリスでもっとも美しい庭園と呼ばれ、そのホワイト・ガーデンは数限りない後の庭園に影響を与えた素晴らしいガーデンです。
ヒドコート・マナーと合わせて、今回の旅行でわたしがもっとも楽しみにしていた場所のひとつでもあります。
その庭園がもっとも美しいと言われる、ホワイトガーデンにランブラーローズの咲き誇る6月にここを訪れることが出来たのは、なんと幸運なことでしょうか。
この庭園を作り上げたのは文学者であったヴィタ・サックヴィル・ウェストと、その夫のハロルド・ニコルソン。
廃墟となっていた城館を購入し、夫のハロルドが庭園全体のデザインを受け持ち、妻のヴィタが植栽プランを立てました。モデルとされたのは後ほど訪れるコッツウォルズのヒドコート・マナー・ガーデンであったと言われています。
イングリッシュ・ガーデンと言ってもそのスタイルはさまざまです。
わたしは、リージェンツ・パークで「イングリッシュ・ガーデン」の案内板を見た時、本場のイギリス人が何を以て「イングリッシュ・ガーデン」と呼んでいるのか興味を抱き、出掛けていったことがありました。
そう、それは池があり丘があり、針葉樹の林のある本格的な風景式庭園でした。
なるほど…
日本ではもちろんそうした何十エーカーもあるような風景式庭園はなかなか作れるはずが無く、現在一般に「イングリッシュ・ガーデン」と呼ばれているのはもっぱらコテージ・ガーデンのスタイルであろうかと思います。
田舎家の庭…
家屋を中心にこれといった計画性を持たずに樹木が植えられ、足元に季節の宿根草が咲き、門から玄関に至る動線の左右にはボーダーと呼ばれる植栽がほどこされ、高低も色彩も多様な植物たちが季節ごとに奔放に咲き誇る庭!
わたしが最も愛するこのスタイルを、巧みに取り入れてデザインされたのがこのシシング・ハースト・キャッスル・ガーデンなのでした。
メインハウスのゲートをくぐると正面にそそり立つのが、この庭園のシンボルであり、すべてのガーデンから臨むことが出来、常に美しい背景となる塔です。
上の2枚の写真はこの塔の上から撮り下ろしたものでした。
われわれデザイナーにとっても、こうして庭園全体を俯瞰しながら庭を学ぶことが出来るのは、とても貴重でありがたいことです。
このようにして改めて写真を整理していて気付くシシング・ハーストの魅力。
そのひとつは壁面を美しく見せる技術の巧みさです。
レンガ積みの壁面はそれ自体が美しいのですが、そこを伝うクライマー・ローズやスイカズラ、アイビーやフジなどの美しさはどうでしょう。
美しい壁面を贅沢にも背景として使うそれらには、植物単独では表現出来ない美しさがあります。人工物と交わることでより強調される自然の美ということが、言えるかも知れませんね。
もうひとつの魅力。
それは空間と空間を結ぶ技術の巧みさです。
ひとつのゲートをくぐることで違う空間に導かれ、さらに違う次のテーマがさりげなく提示され、フォーカル・ポイントの彫像に導かれて訪れた池からはまた違った風景が遠望できる…
常に驚きと発見が連続します。
塔を中心とした凝縮され濃厚な美しさを見せるガーデンとそれを取り巻く奔放でゆったりとしたウェルダネス、それらを仕切る直線的な生垣に囲まれた通路、ヴュー・ウォーク。
やれやれ。
本当は1つの庭園や公園を1日ごとに紹介していこうと思ったのですが、やはりシシング・ハーストほどになると1回では無理みたいです。この調子でいくと10回くらいの連載では全旅程の紹介は終わらないかも知れませんね。
ここで少し、ひと休み。
ウィルダネスのベンチから掘にたたえられた水面を眺める老夫婦の、あの静かで穏やかな時間をいつかわたしも共有したいと願いつつ…
イングリッシュ・ガーデンの旅 00
テーマ:イングリッシュガーデン
2009/11/13 06:51
現在進行中の現場もまだまだ皆さんに見て頂くところまで来ておりませんし、ここ秩父もすっかり紅葉が色づいたものの、見るべき花も少なくなってまいりました。
ここらでひとつ、わたしがこのプログを立ち上げようと思い立ったきっかけでもある、昨年初夏のイングリッシュ・ガーデンめぐりの旅について、いよいよ紹介していきたいと思います。
昨年の初夏…。
すっかり時機を逸してしまいました。なにぶんにもプログの立ち上げがそれから1年以上も遅れてしまいましたので、どうかその点はご容赦いただき、季節外れの英国庭園をお楽しみ頂ければと思います。
それは「徳田千夏と行く英国ガーデンめぐりの旅」という日放ツーリストさん主催の15名限定のツアーでした。
わたしがときどき徳田先生の仕事をさせて頂くようになった2004年にも、実は徳田先生と一緒にイギリスに行く機会は有ったのですが、仕事でどうしても日程がとれず、ぜひとも出掛けて本物の英国庭園を見たい、学びたいと言う願いは、2006年の独立開業の時にも一度めばえたものでした。
当時勤めていた会社を退職して自分の仕事を始めるその僅かな時期を使うしか、なかなかイギリスに行く時間は取れないと考えたわたしは、独立開業の相談に乗ってくださっていた徳田先生にその話をもちかけたのですが、意外にも先生は賛成してくださいませんでした。
今はまず開業に専念して地力を付け、ある程度の仕事をしてから行けば、きっと得るものは何倍にも増えるはずです…
わたしは先生の言葉に従いましたが、案の定、開業早々次々と仕事を頂いて実際にイギリスに行く時間など取れるものではありませんでした。
それから丸2年、がむしゃらに働き、どうにか「ガーデン工房 結 -YUI-」も皆様に認めて頂けるようになった昨年の早春、徳田先生から連絡を頂き、このようなツアーを計画しているのだけれど、今こそイギリスに行きませんかと、お誘い頂いた次第です。
もちろん、飛びついたのは言うまでもありませんでした。
ツアーとは言え、参加メンバーはこれまで徳田先生からいろいろ学んできた気心の知れた仲間同士、その多くはお手伝いに行った現場で幾度かお目に掛かっていました。
そうした気の置けない仲間達と、なによりも元気で博識でタフな徳田先生との旅が楽しくないはずがありません。
時期も6月19日から27日とまさにベストシーズン!
ロンドンはケンジントンのホテルを拠点に、それこそ朝から深夜まで(当時のロンドンは22時くらいまで明るかったものですから)ガーデンやパーク巡りに専念しました。
思えば観光らしきものは、たまたま前を通り過ぎたバッキンガム宮殿とビッグベンをカメラに収めたのと、娘に依頼されて訪ねたシャーロック・ホームズ博物館くらいでしょうか。
それくらい庭園の見学に費やし尽くした正味6日間の旅でした。
その頃のロンドンはまさにバラの最盛期!
気温もそこそこ有って紫外線は強いものの、空気がとても乾いていて快適でした。
おまけに到着したヒースローで確認した現地の週間予報はほとんど雨だったのを、「晴れおんな」の面目躍如でしょうか。徳田先生のパワーで見事覆し、市内の公園を巡った二日目の朝に少し降ったのを除いて、全行程快晴続きでした。
巡ったのは、ロンドンを中心にシシングハースト・キャッスル・ガーデン、リージェンツ・パーク、キュー・ガーデン、ヒドコート・マナー、キフツゲート・ガーデン、ウィスリー・ガーデンの他、ロンドン市内のいろいろな庭園や公園。自由行動でわたしは他にハムステッドに出掛け、個人の庭園やハムステッド・ヒースを訪ねたりしました。
それをこれから順次ご紹介しながら、そこでわたしが発見したこと、学んだものなど書き連ねていければと思っています。
ここらでひとつ、わたしがこのプログを立ち上げようと思い立ったきっかけでもある、昨年初夏のイングリッシュ・ガーデンめぐりの旅について、いよいよ紹介していきたいと思います。
昨年の初夏…。
すっかり時機を逸してしまいました。なにぶんにもプログの立ち上げがそれから1年以上も遅れてしまいましたので、どうかその点はご容赦いただき、季節外れの英国庭園をお楽しみ頂ければと思います。
それは「徳田千夏と行く英国ガーデンめぐりの旅」という日放ツーリストさん主催の15名限定のツアーでした。
わたしがときどき徳田先生の仕事をさせて頂くようになった2004年にも、実は徳田先生と一緒にイギリスに行く機会は有ったのですが、仕事でどうしても日程がとれず、ぜひとも出掛けて本物の英国庭園を見たい、学びたいと言う願いは、2006年の独立開業の時にも一度めばえたものでした。
当時勤めていた会社を退職して自分の仕事を始めるその僅かな時期を使うしか、なかなかイギリスに行く時間は取れないと考えたわたしは、独立開業の相談に乗ってくださっていた徳田先生にその話をもちかけたのですが、意外にも先生は賛成してくださいませんでした。
今はまず開業に専念して地力を付け、ある程度の仕事をしてから行けば、きっと得るものは何倍にも増えるはずです…
わたしは先生の言葉に従いましたが、案の定、開業早々次々と仕事を頂いて実際にイギリスに行く時間など取れるものではありませんでした。
それから丸2年、がむしゃらに働き、どうにか「ガーデン工房 結 -YUI-」も皆様に認めて頂けるようになった昨年の早春、徳田先生から連絡を頂き、このようなツアーを計画しているのだけれど、今こそイギリスに行きませんかと、お誘い頂いた次第です。
もちろん、飛びついたのは言うまでもありませんでした。
ツアーとは言え、参加メンバーはこれまで徳田先生からいろいろ学んできた気心の知れた仲間同士、その多くはお手伝いに行った現場で幾度かお目に掛かっていました。
そうした気の置けない仲間達と、なによりも元気で博識でタフな徳田先生との旅が楽しくないはずがありません。
時期も6月19日から27日とまさにベストシーズン!
ロンドンはケンジントンのホテルを拠点に、それこそ朝から深夜まで(当時のロンドンは22時くらいまで明るかったものですから)ガーデンやパーク巡りに専念しました。
思えば観光らしきものは、たまたま前を通り過ぎたバッキンガム宮殿とビッグベンをカメラに収めたのと、娘に依頼されて訪ねたシャーロック・ホームズ博物館くらいでしょうか。
それくらい庭園の見学に費やし尽くした正味6日間の旅でした。
その頃のロンドンはまさにバラの最盛期!
気温もそこそこ有って紫外線は強いものの、空気がとても乾いていて快適でした。
おまけに到着したヒースローで確認した現地の週間予報はほとんど雨だったのを、「晴れおんな」の面目躍如でしょうか。徳田先生のパワーで見事覆し、市内の公園を巡った二日目の朝に少し降ったのを除いて、全行程快晴続きでした。
巡ったのは、ロンドンを中心にシシングハースト・キャッスル・ガーデン、リージェンツ・パーク、キュー・ガーデン、ヒドコート・マナー、キフツゲート・ガーデン、ウィスリー・ガーデンの他、ロンドン市内のいろいろな庭園や公園。自由行動でわたしは他にハムステッドに出掛け、個人の庭園やハムステッド・ヒースを訪ねたりしました。
それをこれから順次ご紹介しながら、そこでわたしが発見したこと、学んだものなど書き連ねていければと思っています。