田んぼの生き物調査 東日本グリーン復興モニタリングプロジェクト その5 T3 石巻市北上地区 6/30
テーマ:東日本グリーン復興モニタリングプロジェクト
2012/07/16 06:15
三度目の調査は石巻市の北上川左岸側に拡がる水田群から。
北上川は今回の震災で津波がはるか50キロまで遡ったと聞きます。特に河口から13キロまでに堤防の決壊が相次ぎ、その中でも右岸須賀地区は広範囲にわたって水田地帯が水没し、今でもそのほとんどが干潟のままとなっているそうです。残念なことに児童74名が犠牲になった大川小学校もこの場所に位置します。
上流の石巻市街地側から調査地に向かう途中の写真。
道路は左岸側の堤防の上を走りますが、復旧されて真新しい土手が痛々しい。
これが今回の調査地です。同じ北上地区に堤防を越えた津波に浸った水田と、かろうじて被災を免れた水田とが混在しています。
そのうち午前は被災しなかった対照水田の調査。
今回は東北新幹線の古川駅が集合場所で、そこから1時間半ほどを3台の車に分乗して移動しました。天候はくもり。時々強い日差しも射しましたが風があって快適な一日でした。
いつもどおり向井助教から調査方法のレクチャーを受けて調査開始。
昨夜は準備でほとんど眠っていないという向井さんの眼は赤く充血していて見るからにお疲れの様子ですが、これもいつもどおりの元気さで分かりやすい説明をしてくれました。
前回の仙台今泉地区の調査ではうじゃうじゃ居たタマカイエビがすっかり鳴りをひそめて、
こちらでfは、同じ仲間でも形がやや楕円のカイエビが主役でした。
他にはチビミズムシや、
ヒメモノアラガイなどを見つけました。
ここでも和気あいあいと、泥の中から生き物を見つけ出して分類するソーティング作業から、
資料を片手にその種類を特定していく同定作業を通じて、初対面の一般調査員はすぐに打ち解けて会話を交わすようになり、大学スタッフの皆さんとも親密になっていきます。今回の調査では東北大の学生さんが3名調査員として加わってくれました。
この対照水田から発見された種数は全部で35。わたしはそのうち14種を見つけましたが、貝(特に二枚貝?)を専門とする斉藤君は何と21種を見つけました。
調査場所がそれぞれ違うとは言え、捕獲した中に身落としたり細かな同定が出来なかったりすることがきっとあって、それがこの差になっているのかもしれませんね。わたしなどいい加減細かい生き物の見分けがつかなくなっていますから…
午後は少しばかり場所を移動した被災田を調査しました。
ここでも主役はカイエビで、
ヒメアメンボの数も多くて、一見生命の気配が少なく感じられた田んぼからは思いのほかたくさんの生き物が見つかりました。
ミズアブとか、
これはよく似ているのですが、尾が2つに分かれている左側が確かヒメゲンゴロウの幼虫で、右がフタバカゲロウの幼虫だと思います。比較するためにうっかり同じ水槽に入れて、フタバカゲロウたちはかわいそうにヒメゲンゴロウの餌になってしまいました。
こんな感じ。
やはり対照水田よりも発見種数がやや少なく、総数で29、わたしが13種でした。
午前午後を通じて発見率100パーセントがカイエビ。
午後の被災田にユスリカの幼虫が多く居たのも特徴的でした。
被災した田んぼのほうは確かに生き物がやや少ないものの戻ってくる時間はそう長くなく、潮を被ったことが生き物の生息にそれほど大きな影響を与えていないことが分かります。ただ、やはり飛翔などの移動手段を持たず、時間をかけて育っていく貝類などでは明らかに生息数に差が出るようです。
この日の宿泊地は調査場所からそう離れていない追分温泉といところでして、ここは石巻と北の南三陸町を結ぶ峠に在って、被災された方や支援に当たられた方たちの便宜を尽くしたと聞きました。
何よりも温泉は有り難く…
こうした写真を掲載するのは本意ではありませんが、この調査に少しでも多くの方が参加してくれるようスタッフの皆さんからも広報活動を仰せつかっていますので…
こんな夕食が付きます。
前回同様、スタッフの皆さんが交代で行ってくれる夜のレクチャーも、常に新しいテーマを提出してくれて3回参加させて頂いたわたしにとっても毎回とても楽しみな時間になっています。
今回はこれまでの調査結果を踏まえた報告もあって、被災した水田の復興に関していろいろと新しい研究成果が生まれつつあることが、実感としてリアルタイムで伝わって来るのでした。
次回も北上川左岸、女川地区の調査ですが、その前に番外編として追分温泉周辺の沢の生き物調査の様子もお伝えします。
北上川は今回の震災で津波がはるか50キロまで遡ったと聞きます。特に河口から13キロまでに堤防の決壊が相次ぎ、その中でも右岸須賀地区は広範囲にわたって水田地帯が水没し、今でもそのほとんどが干潟のままとなっているそうです。残念なことに児童74名が犠牲になった大川小学校もこの場所に位置します。
上流の石巻市街地側から調査地に向かう途中の写真。
道路は左岸側の堤防の上を走りますが、復旧されて真新しい土手が痛々しい。
これが今回の調査地です。同じ北上地区に堤防を越えた津波に浸った水田と、かろうじて被災を免れた水田とが混在しています。
そのうち午前は被災しなかった対照水田の調査。
今回は東北新幹線の古川駅が集合場所で、そこから1時間半ほどを3台の車に分乗して移動しました。天候はくもり。時々強い日差しも射しましたが風があって快適な一日でした。
いつもどおり向井助教から調査方法のレクチャーを受けて調査開始。
昨夜は準備でほとんど眠っていないという向井さんの眼は赤く充血していて見るからにお疲れの様子ですが、これもいつもどおりの元気さで分かりやすい説明をしてくれました。
前回の仙台今泉地区の調査ではうじゃうじゃ居たタマカイエビがすっかり鳴りをひそめて、
こちらでfは、同じ仲間でも形がやや楕円のカイエビが主役でした。
他にはチビミズムシや、
ヒメモノアラガイなどを見つけました。
ここでも和気あいあいと、泥の中から生き物を見つけ出して分類するソーティング作業から、
資料を片手にその種類を特定していく同定作業を通じて、初対面の一般調査員はすぐに打ち解けて会話を交わすようになり、大学スタッフの皆さんとも親密になっていきます。今回の調査では東北大の学生さんが3名調査員として加わってくれました。
この対照水田から発見された種数は全部で35。わたしはそのうち14種を見つけましたが、貝(特に二枚貝?)を専門とする斉藤君は何と21種を見つけました。
調査場所がそれぞれ違うとは言え、捕獲した中に身落としたり細かな同定が出来なかったりすることがきっとあって、それがこの差になっているのかもしれませんね。わたしなどいい加減細かい生き物の見分けがつかなくなっていますから…
午後は少しばかり場所を移動した被災田を調査しました。
ここでも主役はカイエビで、
ヒメアメンボの数も多くて、一見生命の気配が少なく感じられた田んぼからは思いのほかたくさんの生き物が見つかりました。
ミズアブとか、
これはよく似ているのですが、尾が2つに分かれている左側が確かヒメゲンゴロウの幼虫で、右がフタバカゲロウの幼虫だと思います。比較するためにうっかり同じ水槽に入れて、フタバカゲロウたちはかわいそうにヒメゲンゴロウの餌になってしまいました。
こんな感じ。
やはり対照水田よりも発見種数がやや少なく、総数で29、わたしが13種でした。
午前午後を通じて発見率100パーセントがカイエビ。
午後の被災田にユスリカの幼虫が多く居たのも特徴的でした。
被災した田んぼのほうは確かに生き物がやや少ないものの戻ってくる時間はそう長くなく、潮を被ったことが生き物の生息にそれほど大きな影響を与えていないことが分かります。ただ、やはり飛翔などの移動手段を持たず、時間をかけて育っていく貝類などでは明らかに生息数に差が出るようです。
この日の宿泊地は調査場所からそう離れていない追分温泉といところでして、ここは石巻と北の南三陸町を結ぶ峠に在って、被災された方や支援に当たられた方たちの便宜を尽くしたと聞きました。
何よりも温泉は有り難く…
こうした写真を掲載するのは本意ではありませんが、この調査に少しでも多くの方が参加してくれるようスタッフの皆さんからも広報活動を仰せつかっていますので…
こんな夕食が付きます。
前回同様、スタッフの皆さんが交代で行ってくれる夜のレクチャーも、常に新しいテーマを提出してくれて3回参加させて頂いたわたしにとっても毎回とても楽しみな時間になっています。
今回はこれまでの調査結果を踏まえた報告もあって、被災した水田の復興に関していろいろと新しい研究成果が生まれつつあることが、実感としてリアルタイムで伝わって来るのでした。
次回も北上川左岸、女川地区の調査ですが、その前に番外編として追分温泉周辺の沢の生き物調査の様子もお伝えします。