冬のガーデン考~アンディ&ウィリアムス・ボタニック・ガーデンにてⅠ
テーマ:植物
2010/02/11 14:49
群馬県の太田市(当時は新田郡新田町)にアンディ&ウィリアムス・ボタニック・ガーデンが誕生したのは、わたしにとっても大変意味のある2002年4月のことでした。
本格的なイングリッシュ・ガーデンと銘打ち、実際もそのスタイルを踏襲しながら、あえて「植物園」と名乗るところにオーナーやガーデナーの皆さんの心意気みたいなものを感じたものでした。

以来、事あるごとに通い続けて早くも8年になります。
その8年の間に絶えてしまった植物もあれば、新たに加わった植物もあり、確実に成長したものたちもあります。
わたしもこのガーデンでは様々なことを学ばせてもらいました。
だから、あえてここで紹介するまでもなく、首都圏にお住まいの方には実際、行かれることをお勧めすればそれで事足りるのですが、残念なことにオープン当初を除き、ずっと冬期間の閉園が続いています。(12月から2月末まで)
ガーデナーの真価が問われるのは冬のガーデン!
とは徳田千夏師の言葉ですが、わたしは特にこのガーデンで、冬のガーデンの有り様を多く学んできた気がします。
おそらくは見物客の少ないこと、大がかりなメンテナンスが必要なことなどが冬の閉園の理由なのでしょうが(それに寒いし!)、先日たまたま仕事で使う植物の写真を探していたところ、2003年と2004年の1月に撮影したこのガーデンの写真がひょっこりと出てきました。
で、今や貴重なこれらの写真を紹介したくなったのでした。

見ての通り、様々な一年草や球根が眩しいくらいの花色を競う春や、バラや宿根草が咲き誇る初夏に比べるといかにも色彩の乏しい写真の数々です。


でも、これはわれわれのように植物を学び続け、それを生業にさえするものにとってはかけがえのない宝の山でした。
もちろん、バラの冬剪定の様子やツルバラの誘引のテクニック、宿根草の切り戻し、落葉樹の剪定など、技術的に学べることも多くありました。
でもそれ以上に植物たちの冬の姿をまとめて観察できるのが、何よりの収穫でした。
からっ風と呼ばれる北関東特有の冷たい赤城おろしにさらされ、連日零下が続く厳しい環境の中にあって、それでも何が美しく、何がみすぼらしいか、どんな植物なら使えてそれにはどのような環境が適しているのか…
たとえば、ガーデンの約2/5を占める風景式庭園‘ウッドランド’。
その奥にはコニファー・ガーデンがあります。

コニファーたちの仲間には冬にこそ輝きを増すものが多く、特にビャクシンの仲間のブルー系のものは銀色に輝き、赤みの増したゴールド系のコニファーとのコントラストがとても美しく感じられます。

葉色に深みが増し、それを集合で見るときの色彩の多様さは、個々に見ているだけでは気付かないものではないでしょうか?

コニファー・ガーデンを離れて池のほとりにたたずめば、空の青をしっかりと写し込んだ水面が眩しいほどです。

冬枯れの景色の中で頼もしいのは、このグラスの仲間たちと、

対岸を赤く染めるのは、葉をすっかり落とした後もなお美しいサンゴミズキの真っ赤なシュートです。

これらはその中でも斑入り葉が美しいコルヌス・アルバ=シラタマミズキで、夏は明るい葉色で水辺をさらに涼しく演出してくれていたものでした。
そして、残された実も魅力的な冬の景色のひとつです。

もちろん、冬になってなお濃い緑が頼もしい常緑樹たちも元気です。
夏は林の緑陰に埋もれがちだったこのマホニアたちも、にわかに存在感が増します。

整形式庭園に戻れば冬に対抗する手段は多々あります。
春にはアイリスやアリウム・ギガンティウム、チューリップなどの咲き競うダブコート・ガーデンも、しっかりしたエッジのグリーンが骨格を支え、

同様に1年草とのコラボを演じるのが、ノットガーデンです。

そして、冬剪定を前にしたローズガーデン。
赤く色づいたシュラブ・ローズのシュートも冬の景色としてわたしは大好きなのですが、ここではわれわれが「おねえちゃん」と呼ばせてもらっている四季の女神たちに、主役の座をゆずりたいと思います。

次回は個々の植物を紹介していきたいと思っています。
ホームページもぜひご覧下さい!
http://www.yui-garden.com/
モバイルサイトも立ち上げました。
本格的なイングリッシュ・ガーデンと銘打ち、実際もそのスタイルを踏襲しながら、あえて「植物園」と名乗るところにオーナーやガーデナーの皆さんの心意気みたいなものを感じたものでした。

以来、事あるごとに通い続けて早くも8年になります。
その8年の間に絶えてしまった植物もあれば、新たに加わった植物もあり、確実に成長したものたちもあります。
わたしもこのガーデンでは様々なことを学ばせてもらいました。
だから、あえてここで紹介するまでもなく、首都圏にお住まいの方には実際、行かれることをお勧めすればそれで事足りるのですが、残念なことにオープン当初を除き、ずっと冬期間の閉園が続いています。(12月から2月末まで)
ガーデナーの真価が問われるのは冬のガーデン!
とは徳田千夏師の言葉ですが、わたしは特にこのガーデンで、冬のガーデンの有り様を多く学んできた気がします。
おそらくは見物客の少ないこと、大がかりなメンテナンスが必要なことなどが冬の閉園の理由なのでしょうが(それに寒いし!)、先日たまたま仕事で使う植物の写真を探していたところ、2003年と2004年の1月に撮影したこのガーデンの写真がひょっこりと出てきました。
で、今や貴重なこれらの写真を紹介したくなったのでした。

見ての通り、様々な一年草や球根が眩しいくらいの花色を競う春や、バラや宿根草が咲き誇る初夏に比べるといかにも色彩の乏しい写真の数々です。


でも、これはわれわれのように植物を学び続け、それを生業にさえするものにとってはかけがえのない宝の山でした。
もちろん、バラの冬剪定の様子やツルバラの誘引のテクニック、宿根草の切り戻し、落葉樹の剪定など、技術的に学べることも多くありました。
でもそれ以上に植物たちの冬の姿をまとめて観察できるのが、何よりの収穫でした。
からっ風と呼ばれる北関東特有の冷たい赤城おろしにさらされ、連日零下が続く厳しい環境の中にあって、それでも何が美しく、何がみすぼらしいか、どんな植物なら使えてそれにはどのような環境が適しているのか…
たとえば、ガーデンの約2/5を占める風景式庭園‘ウッドランド’。
その奥にはコニファー・ガーデンがあります。

コニファーたちの仲間には冬にこそ輝きを増すものが多く、特にビャクシンの仲間のブルー系のものは銀色に輝き、赤みの増したゴールド系のコニファーとのコントラストがとても美しく感じられます。

葉色に深みが増し、それを集合で見るときの色彩の多様さは、個々に見ているだけでは気付かないものではないでしょうか?

コニファー・ガーデンを離れて池のほとりにたたずめば、空の青をしっかりと写し込んだ水面が眩しいほどです。

冬枯れの景色の中で頼もしいのは、このグラスの仲間たちと、

対岸を赤く染めるのは、葉をすっかり落とした後もなお美しいサンゴミズキの真っ赤なシュートです。

これらはその中でも斑入り葉が美しいコルヌス・アルバ=シラタマミズキで、夏は明るい葉色で水辺をさらに涼しく演出してくれていたものでした。
そして、残された実も魅力的な冬の景色のひとつです。

もちろん、冬になってなお濃い緑が頼もしい常緑樹たちも元気です。
夏は林の緑陰に埋もれがちだったこのマホニアたちも、にわかに存在感が増します。

整形式庭園に戻れば冬に対抗する手段は多々あります。
春にはアイリスやアリウム・ギガンティウム、チューリップなどの咲き競うダブコート・ガーデンも、しっかりしたエッジのグリーンが骨格を支え、

同様に1年草とのコラボを演じるのが、ノットガーデンです。

そして、冬剪定を前にしたローズガーデン。
赤く色づいたシュラブ・ローズのシュートも冬の景色としてわたしは大好きなのですが、ここではわれわれが「おねえちゃん」と呼ばせてもらっている四季の女神たちに、主役の座をゆずりたいと思います。

次回は個々の植物を紹介していきたいと思っています。
ホームページもぜひご覧下さい!
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モバイルサイトも立ち上げました。
ビアトリクス・ポター資料館
テーマ:ガーデン
2010/02/02 14:35
昨夜の雪により関東各地は今季初めての積雪を記録したようですが、わが家のあたりでも10センチくらいが積もりました。

今日は現場を止めて、早朝から近隣の除雪作業。
スコップとタイヤショベルで5時間ほど…
ようやく終えて昼前に戻ってきました。
やれやれ、ただ眺めるだけなら美しいと思うのですが…

さて、先の週末は晴天に恵まれ、再び仕事に追われることになりそうな2月を前に、東松山市にある「埼玉こども動物自然公園」を訪ねました。
お目当ては一度見てみたいと思っていました、ピーターラビットでおなじみのビアトリクス・ポターの資料館です。
動物公園に入場すると、まずはベンジャミン・バニーがお出迎え。

そして、ちょっと見応えのあるトピアリー。

動物たちとふれ合える「なかよしコーナー」のふくろう、キタロウ君です。
仮にも動物園に来たのですから、動物も紹介しておかないと…

そして園のほぼ中央にある資料館。
2006年に開設されました。

この資料館、イングランドの湖水地帯にあるビアトリクス・ポターのヒル・トップ農場の館を忠実に再現したものだそうで、こちらの自然公園にキャンパスが隣接する大東文化大学が製作しました。
館内にはポターの人物紹介、世界でも類を見ないと言われる蔵書のコレクション、物語世界のジオラマなどが展示されていますが、こちらは撮影禁止ですので、ぜひホームページをご覧になってください。

私の興味は館内の資料もさることながら、その周辺に再現された庭園です。
残念ながら、正面通路左右のボーダーに残るのはバラとローズマリーばかりで、

頼みのベジ・ガーデンも季節がら緑が乏しかったのですが、

それでもブロッコリーに花が咲いていたりして、

おそらく夏に訪れれば楽しいだろうなと、想像するには十分な素敵なガーデンでした。

あ、そういえば…
何年か前にファミマ限定のボトルキャップフィギュアコレクションに、ピーターラビット・シリーズがあったのをご存じでしょうか?
全部で5種あったうちのあひるのジマイマだけが手に入らず、残念な思いをしたものでした。

ホームページもぜひご覧下さい!
http://www.yui-garden.com/
モバイルサイトも立ち上げました。

今日は現場を止めて、早朝から近隣の除雪作業。
スコップとタイヤショベルで5時間ほど…
ようやく終えて昼前に戻ってきました。
やれやれ、ただ眺めるだけなら美しいと思うのですが…

さて、先の週末は晴天に恵まれ、再び仕事に追われることになりそうな2月を前に、東松山市にある「埼玉こども動物自然公園」を訪ねました。
お目当ては一度見てみたいと思っていました、ピーターラビットでおなじみのビアトリクス・ポターの資料館です。
動物公園に入場すると、まずはベンジャミン・バニーがお出迎え。

そして、ちょっと見応えのあるトピアリー。

動物たちとふれ合える「なかよしコーナー」のふくろう、キタロウ君です。
仮にも動物園に来たのですから、動物も紹介しておかないと…

そして園のほぼ中央にある資料館。
2006年に開設されました。

この資料館、イングランドの湖水地帯にあるビアトリクス・ポターのヒル・トップ農場の館を忠実に再現したものだそうで、こちらの自然公園にキャンパスが隣接する大東文化大学が製作しました。
館内にはポターの人物紹介、世界でも類を見ないと言われる蔵書のコレクション、物語世界のジオラマなどが展示されていますが、こちらは撮影禁止ですので、ぜひホームページをご覧になってください。

私の興味は館内の資料もさることながら、その周辺に再現された庭園です。
残念ながら、正面通路左右のボーダーに残るのはバラとローズマリーばかりで、

頼みのベジ・ガーデンも季節がら緑が乏しかったのですが、

それでもブロッコリーに花が咲いていたりして、

おそらく夏に訪れれば楽しいだろうなと、想像するには十分な素敵なガーデンでした。

あ、そういえば…
何年か前にファミマ限定のボトルキャップフィギュアコレクションに、ピーターラビット・シリーズがあったのをご存じでしょうか?
全部で5種あったうちのあひるのジマイマだけが手に入らず、残念な思いをしたものでした。

ホームページもぜひご覧下さい!
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宝登山のロウバイ
テーマ:植物
2010/01/24 22:51
秩父、快晴。
気温も上昇し、今日は首都圏から多くの観光客が押し寄せました。
私も今日は数ヵ月ぶりの完全休養にしようと決め、かねてから娘と約束していた宝登山に登ることにしました。

宝登山(ほどさん)。
標高497メートルですから登山というほどではありません。
山頂へと向かうハイキングコースは、宝登山神社の奥の宮への参道。
ロープウェイも通じており、山頂には小さな動物園と茶店と梅林と、ロウバイ園とがあります。
そのロウバイが例年より早く満開の見頃を迎え、今日は大勢の観光客が殺到しました。

われわれはそれを避けようと早めに家を出て、8時過ぎに登り始めたのでした。
空は青く、空気はキンと澄み切っています。
足元は昨夜の冷え込みそのままに、まだ凍結している場所もちらほら。
見下ろす荒川と並行する長瀞の町並みも、落葉樹と針葉樹との入り交じった山なみも美しく…

若葉の頃も美しいのですが、この落葉した木々の枝に僅かに新芽がふくらんで、淡くてふわりとした景色も美しいものです。
以前、参道の両側にうっそうと茂っていた杉の林でしたが、ここ数年かけて伐採され、新たに様々な落葉樹の苗木が植えられていました。
埼玉県と長瀞町と各企業との共同事業で、「未来へつなぐ」森事業、なのだそうです。
すっかり明るくなった参道は新鮮で、新しい森の誕生が予感されて気持ちも晴れやかにさせてもらえました。

この宝登山には少しプライベートな事情があり、毎年娘と登っているのですが、今年は正月から忙しくて年始めに来ることができず、今日はようやく訪れることが出来たのですが、うっかりロウバイの見頃に重なってしまいました。
が、せっかくの花の見頃ですから、楽しんでくることにしました。
登り初めてから奥の宮石段下まで35分。
山頂はロウバイの甘い香りで満たされていました。

ロウバイ。
落葉低木。蝋梅という名の通り、蝋細工のような鮮やかな花を咲かせます。
中国の原産で、17世紀に日本に渡ってきたそうです。
寒さのまだ厳しいこの季節に花を、それも鮮やかな黄色い花を咲かせるという点ではとても貴重な木です。

甘い香りと咲く時期、そしてその名前からして梅とおなじバラ科サクラ属かと思いきや、そのままロウバイ科ロウバイ属なのだと、これは今日になって初めて知った事実でした。


そして、梅園の方でもちらほらと梅のつぼみがふくらみかけていて…

ロウバイの華やかな香りとはまたひと味ちがう、しっとりと品のある香りを放ち始めていたのでした。

そうこうするうちに始発のロープウェイから降りてきた皆さんが殺到してきたので、われわれは早々に退散し、用事を済ませ、奥の宮にお参りして、ふたたび下山の途に就いたのでした。
今年はもう一度、山桜の花の頃に来ようと、娘と約束しました。
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気温も上昇し、今日は首都圏から多くの観光客が押し寄せました。
私も今日は数ヵ月ぶりの完全休養にしようと決め、かねてから娘と約束していた宝登山に登ることにしました。

宝登山(ほどさん)。
標高497メートルですから登山というほどではありません。
山頂へと向かうハイキングコースは、宝登山神社の奥の宮への参道。
ロープウェイも通じており、山頂には小さな動物園と茶店と梅林と、ロウバイ園とがあります。
そのロウバイが例年より早く満開の見頃を迎え、今日は大勢の観光客が殺到しました。

われわれはそれを避けようと早めに家を出て、8時過ぎに登り始めたのでした。
空は青く、空気はキンと澄み切っています。
足元は昨夜の冷え込みそのままに、まだ凍結している場所もちらほら。
見下ろす荒川と並行する長瀞の町並みも、落葉樹と針葉樹との入り交じった山なみも美しく…

若葉の頃も美しいのですが、この落葉した木々の枝に僅かに新芽がふくらんで、淡くてふわりとした景色も美しいものです。
以前、参道の両側にうっそうと茂っていた杉の林でしたが、ここ数年かけて伐採され、新たに様々な落葉樹の苗木が植えられていました。
埼玉県と長瀞町と各企業との共同事業で、「未来へつなぐ」森事業、なのだそうです。
すっかり明るくなった参道は新鮮で、新しい森の誕生が予感されて気持ちも晴れやかにさせてもらえました。

この宝登山には少しプライベートな事情があり、毎年娘と登っているのですが、今年は正月から忙しくて年始めに来ることができず、今日はようやく訪れることが出来たのですが、うっかりロウバイの見頃に重なってしまいました。
が、せっかくの花の見頃ですから、楽しんでくることにしました。
登り初めてから奥の宮石段下まで35分。
山頂はロウバイの甘い香りで満たされていました。

ロウバイ。
落葉低木。蝋梅という名の通り、蝋細工のような鮮やかな花を咲かせます。
中国の原産で、17世紀に日本に渡ってきたそうです。
寒さのまだ厳しいこの季節に花を、それも鮮やかな黄色い花を咲かせるという点ではとても貴重な木です。

甘い香りと咲く時期、そしてその名前からして梅とおなじバラ科サクラ属かと思いきや、そのままロウバイ科ロウバイ属なのだと、これは今日になって初めて知った事実でした。


そして、梅園の方でもちらほらと梅のつぼみがふくらみかけていて…

ロウバイの華やかな香りとはまたひと味ちがう、しっとりと品のある香りを放ち始めていたのでした。

そうこうするうちに始発のロープウェイから降りてきた皆さんが殺到してきたので、われわれは早々に退散し、用事を済ませ、奥の宮にお参りして、ふたたび下山の途に就いたのでした。
今年はもう一度、山桜の花の頃に来ようと、娘と約束しました。
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