田んぼの生きもの調査隊01 小川町下横田の田んぼを調べる

テーマ:田んぼの生きもの調査隊
 まさかこんなことになるとは、つい数ヶ月前までには思いもよらなかったことが実現しました。

 一昨日7月13日、第1回「田んぼの生きもの調査隊」を開催することができました。

01 小川町下横田水田


 まるでそれを祝福してくれるかのような曇天に恵まれ、一時は小雨さえぱらつく、つい数日前の酷暑が嘘のような調査日和ハート2
 天気予報はこの日まで厳しい暑さが続くと言っていたのですがね。
 まずは何より何より。

02 畦から
 

 この日は、じつは第1回を冠するのも恥ずかしいくらいの試験的な催しでした。
 なにせ、主催者がほとんど素人です。

04 調査キット


 整えた調査キットも、果たしてどれだけ役目を果たしてくれるか未知数です。
 時間配分もペース配分も、何もかも出たとこ勝負です。

 正直、とても自信が有りませんでしたがそこは気心知れた参加メンバー。皆さん、しかも心が広い!
 ですから、何の衒いも気負いも緊張もなくわたしは本番に臨み、むしろ心躍らせてこの日の朝を迎えたほどでした。

 が、あにはからんや!

 ほとんど専門家と言っても過言と言えないような参加者が2名。

 うち一人はなんと準備段階から駆けつけてくれて、いそいそと水汲みまで引き受けてくれました。

03 調査の準備(森昭彦氏、水を汲む)


 森昭彦氏。
 わが敬愛するサイエンスライターは時に太陽光パネル製作の講師を務め、植物と昆虫の著作を数冊ものにし、小学校の修学旅行の同行写真撮影をこなし、養蚕に立ち会い、ソーラークッキングの調理実習までやってのける多芸多才、博学多識の人です。

 そして、

06 生きものの捕獲(小学生篇)


 二人の恐るべき小学5年生女子は自主的な予備調査をすでに実施済み。
 カイミジンコを発見して、顕微鏡での観察さえも終えていると言います。
 もちろんミジンコ、カイミジンコ、ケンミジンコの別もちゃんと理解しているという…
 わたしなどどうにか3種を同定できるようになったのは、つい最近だというのに!

 つまりはそのように強力な布陣で臨んだ今回の調査が、失敗に終わるはずがないということです。

05 捕獲開始


 参加者10名。調査員6名。(調査キットを6組しか用意できなかったのはわが社が貧乏なせいに他なりません)



 この専門家は時に陸生生物にうつつを抜かしておりましたが…

07 生きものの捕獲(専門家篇)


 田んぼの生きもの調査、その醍醐味はやはりテントに戻ってからのソーティング作業にあります。
 何が出てくるか、直前まで分からない。

08 ソーティング


 この楽しみがあるから、この催しは絶対に続くという確信があります。
 このように、

09 ソーティング


 大の大人さえ嬉々として、時に歓声を上げ、没頭できる作業なのですから。

 しかもこの頃には小雨さえぱらつき、時折涼しい風さえ吹き抜けていきます。

 至福の時。

10 ソーティング




 さて、そのようにして見つけた生きものの数。

 水性生物に限定して、その種数は23でした。



 コガムシの成虫と幼虫。

11 コガムシ幼虫


 この如何にもどう猛そうなやつは畦からも容易に観察することが出来ました。この一番大きなやつが体長2.5センチくらい。成虫もそこそこ大きいのがたくさん捕獲されました。



 ゴマフガムシの成虫と幼虫。

12 ゴマフガムシ幼虫




 まいどお馴染みのチビゲンゴロウですが、

14 チビゲンゴロウ幼虫


 今回はこの小さくて回転しながら泳ぐ幼虫を初めて見ました。
 (森先生のおかげです)



 シオカラトンボのヤゴ。

13 シオカラトンボ ヤゴ





 東北大学向井助教による「田んぼの生きもの図鑑」を今回、この日に合せて20冊届けていただきましたが、その使い方を教えただけで、みんなどんどん同定していくから、それはもう怖いくらいでした。

 その他、キベリヒラタガムシ、ヒメアメンボ、イトミミズ、ユスリカ亜科、ミズアブ、カイミジンコ…
 カエルの仲間はニホンアカ、ニホンアマ、シュレーゲルの子どもたちと大人はニホンアマ。

 そして、このフタバカゲロウと一緒にいて水面をすいすい歩くやつ。

15 フタバカゲロウとイトアメンボ


 現場ではわたしも初見で分からなかったのですが、後で聞いたところイトアメンボというのだそうで、

17 イトアメンボ


 初見ながらも何やら懐かしい姿に、その名がわかってとても嬉しかったものでした。
 (これを捕まえたのも森先生です)


 そして、

16 ?


 この不思議な生きものについては現在調査中です。

 1mmほどの大きさ。透明でお腹とおぼしき辺りに何やら赤い卵のようなものを抱えております。写真下方には黒い小さな点が二つ、目のように並んでいて、何とこれが這うようにして直線的な動いていくので、初めてそれが生きものであると分かります。うん、なかなかのスピードでした。

 正体が分からず、こうして何度もしげしげと眺めているうちに、愛おしささえこみ上げてくるから不思議です。
 もしかすると、これはとても劇的な出会いであったかも知れません。
 (この生きものを発見したのも、もちろん森先生です)

 お心当たりの方、どうかご一報下さい。



 一旦調査を終えた後、わたしと森先生が同定作業に没入していたところ、二人の小学生調査員が現場に再び顕微鏡を持ち込んで、今度は何と藻の調査を開始しました。
 彼女たちの夢は、緑藻ボルボックスに出逢うことなのだそうです。

 この、とても多くの出会いに恵まれた1日を、心から感謝したいと思います。


 また次回。

 そう遠くない将来、第2回田んぼの生きもの調査隊02を実施するつもりです。

 いずれは、東北でもビックリマーク



 












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コメント

  1. 2013/07/21 17:56
     その後東北大の向井助教から回答がありました。ウズムシ、あるいはプラナリアと呼ばれる生きものの仲間ではないかという事でした。このようにただでさえお忙しい向井先生に問い合わせるなど、とんでもないことですが、快く引き受けて下さり、とても丁寧なお返事を頂戴しました。この場を借りて、改めてお礼申し上げます。

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向井康治

ガーデン工房 結 -YUI-は、埼玉を起点に植物を中心に据えたガーデンデザインと設計・施工を仕事とする会社です。
ただし、面白い仕事であれば時には利益も距離感覚も忘れ去る脳天気ぶり。
だから、この仕事にはいつも様々な出会いがあります。人、植物、もの、本、言葉、音楽…。

結 -YUI- はネットワークです。
それは多彩な技術や知識を持った人々が持てる力を共有し合うこと。
人と自然界の美とが満を持して出会うこと。

わたしが文芸、農業、インド、土木、外構、アウトドアと巡ってきた先の到達点は、おそらくそれらみんなの要素を遺憾なく結集することのできる、小宇宙 「ガーデン」でした。

ガーデンデザイナーとして、ガーデナーとして、これまでの、そしてこれから先の「出会い」を余すことなくお伝え出来ればと思います。

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