HANA sakaso プロジェクト in 宮城県山元町 ~それからと言うもの

テーマ:HANAsakasoプロジェクト

HANA sakaso プロジェクト with mother Loveの最初の活動から早1ヶ月。

すっかり途切れてしまったブログに、さてはまたまた慌ただしい日常に埋没して溺れているなとご推察いただいていることと思います。
まったくそのとおりです。

本当にどういう時の采配か、プロジェクトの直前まで途絶えていた仕事が終了後には殺到して、この一か月の間に大小合わせて7件の仕事を終え、今また大きな仕事を3件抱えているところ。お打合せ中が2件。

慌ただしさはいつものことながら、それでも束の間ものを考える時間を持つ時に、思い知らされることがあります。

山元町以前と山元町以後…、その間にあったいくつかの変化。



その変化のうち最も顕著なのがクルマの運転でしょうか。

被災地で1週間たっぷりクルマの運転をしてきたわたしは、今では以前のようにスピードを出したり、右折待ちや合流待ちをしているクルマを無視したり、無理な追い越しをしたり、信号が黄色の交差点に進入したり、まして横断歩道に立つ歩行者のまえを素通りしたり出来なくなってしまいました。
当たり前のことだと笑われてしまうかもしれません。それはまったくルールやマナーに従ったごく当たり前の運転です。
でも、それがなかなか出来ていないのが現実で、皆、先を争うように慌ただしくクルマの運転をしています。わたしも忙しい時はついやってしまい、後で後悔することが良く有りました。
それがすっかり出来なくなったのですから、わたしの後ろについたクルマにとっては、とても迷惑なことだと思います。申し訳ないけれど、勘弁してもらうより仕方ありません。

対向車や歩行者をないがしろにしたり無視したり出来るのは、それがまったくの他人で、相手にとっても自分が匿名の存在だからだと思います。
それが被災地で運転をしていると、対向車の人も、歩いている人も、みんな震災で被災した人かも知れず、もしかしたら自分が花を配った方かもしれない、その家族や親せきかもしれないと思ってしまうのです。そうなればもう、無茶な運転など出来ません。まして他県ナンバーのクルマが自分勝手な運転をしたりすれば、それはとても恥ずかしいことです。

さらに被災地に流れるゆったりした時間の中では、花を配った時もそうでしたが、本当に焦ったり慌てたりすることがバカバカしく思われてきます。
まだまだ復興までには長い時間が掛るから、今はじっくり構えてゆっくり取り組んでいこう。でないと途中で疲れて心まで挫けてしまう… 頑張らなくていい、慌てなくていい…
そうした被災地のみなさんの姿勢に、わたしも大きな影響も受けたのかもしれません。


震災後しばらく続けていた交差点でのアイドリングストップも、もう一度始めることにしました。
先日、前を走っていた年配の運転手さんが信号ごとにエンジンの入り切りをされているのを見て考えたのですが、やはり、あの時のことを忘れてはいけない。
CO2排出より何より(わたしのトラックだとエンジン始動時の瞬間的な排出量が高くて、ストップしても余り意味が無かったりして…)、一滴のガソリンも無駄にしないというあの気持ちを忘れたら、やはりお終いだと思いなおしました。
節電もそうですが、それは震災直後の、みんなで厳しい状況を共有しよう、被災地の皆さんの苦しみを分かち合おうという気持ちの表れでもあったと思います。
信号ごととは言わないまでも、目の前で赤に変わったばかりであるとか、明らかに長い信号待ちになると分かっているときとか、踏切の電車通過待ちの時とかだけでもいい…
そんな風に思っています。


涙もろくもなりました。(実は歳のせいだけかもしれませんが)
震災関係のニュースや記事はもちろんですが、人の生死や子どもに関する話題などは特に弱い。
心の振幅が大きくなったこと。
心の表現がストレートになったこと。
それらも山元町でいろいろな方と触れ合ったことと、無縁ではないと思っています。


このようにして、今回の活動を通して、わたしも少しくらいは成長できたのかも知れません。
それはとてもありがたい事です。


このようなわたしのささやかな経験とそこから生まれた思いを、中学生たちの前で話してみないかという、ありがたいお話があります。
わたしの娘が通っている中学校なのですが、毎年秋頃にそこで開催している講演会がありまして、保護者の方や地元の皆さんも参加される催しで、昨年の講師が紺野美佐子さんというのはやや荷が重いところですが、それでもぜひとも中学生たちに伝えたいと思う事がたくさんありますし、わたしの中には実は、彼らを一度被災地に連れて行き、その復興のお手伝いをさせてやりたいという思惑もありますので、ありがたく引き受けることにいたしました。
今のところ12月1日の午後を予定しているようですが、まだ確定ではありません。
出来ることなら、12月11日の復幸イベントの前にお話して、それ以後の活動に繋げていきたいと思っているのですが。


そして、次回の活動が決まりました。

11月13日!
この日までに現地で500鉢ほどの花の寄せ植えを作りこみ、13日は再び仮設住宅の皆さんにお届けすることができそうです。
前回、数と時間の関係でお届けできなかった4か所の仮設住宅に、ようやく約束を果たしに行くことができます。。
今回はパンジー、ビオラの鉢に球根も仕込む予定です。
(現在武内さんが、球根を提供して下さるという奈良の「花の大和」さんを訪問中!)
メンバーも再結集して、さらに新しい方も加わってくれるとのこと。
こちらの中学生たちは間に合いませんが、今回は娘だけでも連れて行ってやりたいと思っているところです。(一応、受験生ですが…)

そんな訳で被災地の皆さんに恥ずかしくないよう、こちらのみなさんにご迷惑をかけないよう、ますますたくさんの良い仕事をしっかりして、その日に備えたいと思っている近頃です。



引き続きみなさまからの支援に加え、温かい応援のメッセージをお待ちしております。
ご協力頂ける方は以下のサイトからご連絡をお願いいたします。

HANA sakaso プロジェクト with mother Love
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向井康治

ガーデン工房 結 -YUI-は、埼玉を起点に植物を中心に据えたガーデンデザインと設計・施工を仕事とする会社です。
ただし、面白い仕事であれば時には利益も距離感覚も忘れ去る脳天気ぶり。
だから、この仕事にはいつも様々な出会いがあります。人、植物、もの、本、言葉、音楽…。

結 -YUI- はネットワークです。
それは多彩な技術や知識を持った人々が持てる力を共有し合うこと。
人と自然界の美とが満を持して出会うこと。

わたしが文芸、農業、インド、土木、外構、アウトドアと巡ってきた先の到達点は、おそらくそれらみんなの要素を遺憾なく結集することのできる、小宇宙 「ガーデン」でした。

ガーデンデザイナーとして、ガーデナーとして、これまでの、そしてこれから先の「出会い」を余すことなくお伝え出来ればと思います。

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