一人ならじ
こんにちは。みなです。
なるべく電気を使わない楽しみといえば、読書です
父の本棚から再び山本周五郎を引っ張り出して読んでいます。
高校時代に『赤ひげ診療譚』を読もうとして途中で挫折し、成人してから再び読んだのですが、なんで挫折したのかが不思議なくらい素敵な話でした。赤ひげが理想的すぎる感じもありますが、若いうちの失敗の許容、くどくど言うことへの恥ずかしさ、貧乏と無知への思い。主人公が惹かれてしまうのも無理はありません。
彼の小説は市井に寄り添うようで、よし頑張って生きていこうという気持ちにさせてくれます。
歴史を彩るスーパースター(織田信長とか)の歴史小説もスペクタルで大変面白いのですが、そんなスーパースターを支え、改めて覚悟も叫ばず黙々と己のすべきことをまっとうする生き方に、共感と自省を覚えます。
現在読んでいるものは、新潮文庫の『一人ならじ』
この本の解説がずっと忘れられませんでした。
解説は木村久邇典。山本周五郎作品の解説ではおなじみの方ですね。
解説冒頭で、とある山本周五郎ファンからの電話を受けたエピソードがあります。
「山本周五郎の作品を理解している人はいるが、私ほど彼の作品を理解しているものはいないという自負がある」
要約するとそういう内容でした。木村久邇典は、「他の作家にもこのようなファンがいると思うが、山本周五郎ファンはひときわ音階が高いように思われる。山本周五郎はこのようなファンに支えられている」というようなことを書いていました。
それは、山本周五郎の作品が、私たちに寄り添っているからではないかと思われました。
生きる美しさを突き詰めたような『小説日本婦道記』もオススメです。作者本人がさまざまな場所で言うとおり、妻は夫に従うべしという話ではありません。どちらかというと、女性ならではの強さや生き方の美しさがあるんじゃないかなと思います。ああいう生き方はできそうにないけれども。
時代小説はちょっと難しい・・・と感じている方には、『ねぼけ署長』がオススメです。
山本周五郎作品はちょいちょい映画化されているので、そこから入ってみるのも良いかもしれません。「赤ひげ診療譚」「どですかでん」(原作は『季節のない街』)とか。若手俳優が演じた「SABU~さぶ~」とか。
あとは数年前にNHK時代劇で「五瓣の椿」がありましたね。
それでは、心豊かにレッツ読書です。