山下保博氏の”土の家”に込めた思いとは

テーマ:山下保博|土の家

山下保博と土の家(アース・ブリックス)

通称"土の家"、正式名称ぱ"土のプロジェクトアース・ブリックス”に、制作者である山下保博氏が込めた思いとはなにかを、本日は自分なり紐解いてみたい。

私たちは、常に土と共に生きてきた。これはどういうことかというと、すべての植物は土を通して育つ。土に雨が降り、そこに種が植えられ、芽生え、葉が太陽を浴び、食物は秋に収穫を迎えるわけだ。土に根を張り、栄養を吸収し、そこに太陽と雨がそそがれ、自然は命をはぐくみ、その収穫の恩恵を人間があやかっている。また、植物は枯れ土に堆積として戻って行く。

土に根を張ると言えば、森林もそれにあたる。木は何千年もの間も命をはぐくみ、土から栄養をとり成長している。そしてこれもまた土に帰る。自然も、人間も大地に根をはり、生きていると考えることができる。母なる大地という言葉がある通り、土には、あらゆる生命が活動する、まさに現代の言葉で言い換えるならば、インフラに当たるものだ。

現代社会は自然との共生を考えるべき

 一方、家はまさに人間の命をはぐくむ場所だ。生活のベースであり、必ず、一日に一回は戻ってきて、疲れを取り鋭気を養う重要な場所だ。日本はいままで、木の素材をつかって家を作ってきた。それに対し、新しい概念で、その家を、土で作るというのは、本来、大地が担ってきたそういった命のインフラ的な視点と、家の本来あわせもつ機能を共生させたのが、土プロジェクトであるのかもしれない(これは個人的主観)。土という昔ながらの素材に、日本の最先端の技術で発展させ、自然と現代人が共生するという想いが、背景に流れているということになる。

私たちは、この猛暑を過ごしながら、自然環境の中で生活するという事を、再度見つめなおす必要がある。地球の温暖化はすすみ、地球環境が悲鳴をあげている。シェールガス革命といって行きつく果ては環境破壊でしかない。わたしたちは、こういう時代だからこそ、再度“自然との共生”をテーマに現代人の生活を見つめなおす時期に来ているのだと思う。

 現代は、“自然を破壊し利用する”時代から、“自然と共生し調和する”時代になろうとしているはずだ。その思想を体現しているのが土プロジェクトに込められた思いであったと思わざるをえない。よって、山下保博氏の”土の家”は、私たち現代人への大きな問いかけであり、ひとつの解でもあった。それに気付いた時、私は、今までの心の高ぶりや高慢さに気付き、再度、原点にもどって共生の理念をもう一度自問自答していたのであった。

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