カシノナガキクイムシについて考える
今年の夏は、カシやナラの木の枯死被害が大変多い様です。
「カシノナガキクイムシ」・・・書くだけで長い名前です。
今朝のNHKで「カシノナガキクイムシの被害」について放送さ
ていましたのでここで少しこの話題についてとりあげたいと思
います。
私がこの被害について、深刻だと感じたのは盆休みに妻の
実家(愛知県)へ訪れた時でした。
愛知県瀬戸市を愛知環状線(高速道路)で通過した時、
茶色の点が無数にあることに驚きました。
運転中の私でも、山のカシが枯れている様子がよくわかるほど、
多くのナラ、クヌギが枯れていました。その様子を妻の父に話すくと、
「カシノナガキクイムシ」について詳しく教えてくれました。
愛知万博跡地の「森コロパーク」でもカシノナガキクイムシの対策
として幹の部分をビニールシートで被覆してあるコナラを見かけました。
このように、ビニールシートで被覆することによって、
カシノナガキクイムシが幹へ穴をあける侵入(穿入)を防いでいます。
カシノナガキクイムシによって枯死したナラの写真です。(愛知県)
妻の実家裏山にも被害が出ており驚きました。
信州飯田ではあまり見かけない風景です。
キクイムシが穴をあけると、このようにおが粉が出ます。
皆さんの周囲のナラ、カシも注意して観察してください。
どうして近年大きな被害がでているかよく分からないと,
NHKでも解説されていました。
弊社の資料で詳しい論文がありましたので、ここに紹介します。
2003年 森林防疫 FOREST PESTS(VOL52 No,7)別刷
京都府林業試験場の小林正秀・萩田 実 両氏の論文では、
燃料革命以降、樹(ナラ、カシ)の老齢過熟と風倒木、伐倒木、
巻枯らし木の放置によりカシノナガキクイムシが繁殖する要因
と述べてありました。
老齢大径化した広葉樹林において小径木を伐採する施業は
見直す必要があり、老齢木を積極的に利用することが防除に
つながると最後に書いてありました。
私たちは、森林を保護するのではなく、もっと利用しなければと
考えさせられる論文でした。