このことばが、頭から離れなくて・・・

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「全く。無駄やってるのさ。

生活水準の設定が高すぎるのね。

それで、慢性的な欲求不満に陥っている。

  ・・・・・

私たちの人生がそうであるように、時代や社会や

そして、国もまた、歳月を重ね成熟へと向かう。

そして、成熟とは、

失うべきものは、潔く失う覚悟のことを言う。」

 

これは私が敬愛する田渕義雄氏の

「21世紀の自然生活人へ」という1990年代に出版

された本の一節です。

まさに、21世紀を生きる我々日本人が直面している

問題を予言していたものに思えてならない・・・

 

日本はまさに今、成熟期を迎えている

 

世界中の国々と比較して、最も恵まれた裕福な国だ

身のまわりにはモノが溢れ、食べるものがないなんて

心配はしたことがない・・・

 

しかし、この日本で今を生きる我々には

将来に対する不安と欲求不満しかない

 

これまでの半世紀にわたって、日本は世界の工業国の

なかで最も成功を収めてきた。

しかし、バブル経済崩壊後の20年。

世界で起こっている根本的な変化を認識できず、

過去の成功体験にしがみつき、必要な変革や調整が

できずに空白の時を過ごしてきたとされる

 

もはや、成長を追い求めていく時代ではない

 

それこそが、『失うべきものは、潔く失う覚悟のこと』

ではないかと思う。

 

少し肩の力を抜いて、

家庭のこと、身のまわりの環境のこと

見つめなおしてみれば、大切なものが何か

見えてくるはず・・・

 

田渕氏は、「この世で一番大切なものは、

暖かいキッチンではないでしょうか?」

と問いかける

 

我々植木屋(造園業)という職業は、決してモノや

技術だけを売る商売ではない。

ご縁のあったお施主様と、「庭」という場所を通して

長年お付き合いを続けていくことで、

その家庭の日常に、潤いと安らぎを感じてもらえる

ような存在となる。

 

成熟期を迎えた、この恵まれた時代に

1人でも多くの人と、つながっていきたいと願う・・・

 

 

 

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植物のもつ力

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近頃の陽気もあり、私たちの周りでは

「いよいよ春か・・・」と思わせる場面にでくわす。

 

今、至るところで梅の花が咲いている

 

梅の花の前で、カメラを構えている人の姿を

何度か目にした。

 

自宅の庭で満開となった梅の花の

ベストなアングルを探し回っている人

 

畑に何本か列植された紅白色違いの花に

目を奪われ、カメラの準備をしながら吸い寄せ

られるように近づいていく人の姿

 

そんなこの時期、

各地で「盆梅展」が開催されている

 

 

 

 

 

 

 

これらの写真は、昨年郡山城で開催されていた

「盆梅展」の少しピークを過ぎたころのもの。

(残念ながら、今年は観に行けてませんエーン(男の子)

 

梅の鑑賞のポイントも様々で、

木の造り方や剪定の仕方も、その人の感性で

大きな違いがある。

 

ある人は、塀越しに観る短く切り詰められた枝に

ぎっしりと樹幹全体を被うように咲く梅の花の姿を

美しく感じる。

 

また、別の人は、

かなりの古木で朽ちた幹の懐近くに少しだけ

力強く咲いた梅の花に、『わび・さび』を感じる

 

どちらの美意識も理解できるが、

あえてどちらかと言われれば、後者かと思う。

 

梅の花が咲くこの時期には、満開の花というより、

古木の味のある幹を引き立たせるような可憐な

白い花が好きだ。

どちらが良くて悪いとか一概には言えず、

あくまでも好みの問題である。

 

この時期に咲く花で、もうひとつ忘れられないのが、

「沈丁花(ジンチョウゲ)」

花の美しさというより、

あの独特な甘い香りで、早春を告げる・・・

 

この沈丁花には、特別な思い入れがある

 

この植木屋としての仕事を始めた頃

ちょうどこの時期、あの香りをかいだ時

急に遥か昔、私がまだ幼少の頃

友達宅へ遊びに行った時の光景が

その匂いと共に蘇った。

それは、20数年前のほんの一場面ではあるが

驚くほど鮮明に記憶として蘇らせた。

 

この時初めて、その匂いの元が沈丁花と知った。

 

植物のもつ力は偉大だ!

 

視覚のみならず、嗅覚にまで

人の記憶にインプットされる

 

人の暮らしに

植物が与えてくれるものは、

計り知れない・・・

 

 

プロフィール

スキットマン

日桂造園
(にっけいぞうえん)

杉岡 靖元

1971年4月 
奈良県生まれ

これからの暮らしに
スタンダードとなっていく
ような、1つの流れを
造り出していきたいという
大きな夢を持った
小さな植木屋です。


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