寒肥

テーマ:植物管理全般
昨年5月以来となる久々の投稿で少し緊張してます。

今、寒肥に廻っています。

これまでに、ご縁を頂いたお客様とその庭に
新たなシーズンを迎えての御挨拶と
この時期の庭木たちの状態を確認するために。

(私)    「今年の冬も、本当に寒いですね。
        皆さんお変わりありませんか?」

(お客様) 「えぇ、おかげさんで何とか・・・
       どっこも行かんと、家にすっこんで
       こたつのお守りしてますは。(笑)」

(私)    「庭木の様子はどうですか?」
       「なんか変わったこととかありますか?」

(お客様) 「まぁ、特に何もないと思うけど、
       良かったら観ていって。」

(私)    「それじゃ、ちょっと観させてもらいます。」


と、こんな風なやり取りの後、お客様と一緒に
庭木たちの状態を確認しながら、『寒肥』の話に・・・

(お客様) 「今まで寒肥なんてやったことないけど
       いつもちゃんと新芽も出るし、花も咲くけど
       寒肥って、やっぱり必要なもんか?」

(私)    「そりゃ、やるに越したことはないですよ。
       人間と一緒で、病気もせんと、元気なうちは
       多少無理しててもやっていけるけど
       いったんどこか悪いところが出てくると
       今度良くしようと思っても、なかなかもとには
       戻らんもんでしょ・・・」

こんな会話になったとき、いろんなことが頭をよぎる。


 庭木たちにとっての1年もスタートしている。

この寒~い冬を乗り越えようとしている。

 春が来れば、あるものは花を咲かせ、
新しい葉を茂らせ、それぞれが目一杯
その生命を輝かせ、成長を続ける。

そして、耐えがたいほどの暑い夏を迎え、
厳しい気象条件の中でも、その限られた
場所の中で、しっかり根を張り、自分にとって
必要な水分や養分を吸収したり、
時には、強い風に倒されまいと踏ん張ることも。

そして、秋になれば、子孫を繋げていくべく、
果実を充実させ、小鳥や人を喜ばせる・・・



「休む」という字は、
(ある人から聞いた、忘れられない言葉の1つだが)
「人が、木に寄り添っている形でしょ。
人間の暮らしには、「休む」っていうことも必要なんだ。
だから、木は決して欠かすことのできない
存在なんだよ」と・・・

そんな木の生命力を傍で見ていて
我々が、日頃生活する上で、教えられることがあったり、
大切なことに気づかせてもらったりすることもある。

「だから、人が木に寄り添ってるということなのか」と。


こんな風に考えてみると
庭木たちに対して、自然と愛着も湧いてくる。

「今年もきれいな花を咲かせてくれよ」

「秋にはおいしい実をいっぱいに成らせてくれよ」

「夏の暑さなんかに負けずに、しっかりと栄養補給して
体力をつけとくんやで」

「もし毛虫なんかが、葉を食べようとやって来ても
寄せ付けないようなパワーを出すんやで」

といったような思いを込めて、肥料を施す。


『寒肥』とは、この厳冬期、
これまでに、自分が思っている以上に
多くのものを与えてきてくれた庭木たちに感謝し、
これからの新たなシーズンに向け、
彼らの好ましい成長への期待や希望に
胸ふくらませ、愛情を込めるためのスイッチを入れる
「儀式」として、あるものかもしれない・・・・・。





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プロフィール

スキットマン

日桂造園
(にっけいぞうえん)

杉岡 靖元

1971年4月 
奈良県生まれ

これからの暮らしに
スタンダードとなっていく
ような、1つの流れを
造り出していきたいという
大きな夢を持った
小さな植木屋です。


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