家族とともに航海していくための船のようなもの。
そんな家と庭は、もっと愛され、”こだわり”を持つことで、
日々生まれ変わって存在し、進化し続けるもの・・・・・
白毫寺:五色椿
桜の花も散り、最近になってようやく、本来の季節に
追いついてきた感のある今日この頃ですが、
今回は、先日ようやく訪れることのできた、
奈良の三名椿の内の一つ白毫寺の五色椿についての
投稿です。
五色椿というと、赤・白・ピンク・斑入りなど色とりどりの
花が、一本の木に咲き、楽しめるという少し変わった
椿で、ヤブ椿、乙女椿、太郎冠者(有楽)、白侘介・・・
などと、その花の美しさから、昔から盛んに交配された
園芸品種の数は、数千種にもなるといわれるほど愛され
てきたものの一つですが、
奈良の一般家庭の庭でも、その愛好家やまた、「ふりもの」
(植栽用語で、特に樹形の良いもの、あるいは面白味のある
樹木をさす)として、たま~に見かけることがあります。
そんな五色椿のオリジナルともいうべき、白毫寺の五色椿は
奈良で造園業を営む者として、一度はこの目で見ておかなく
てはならない一つとして、以前から気にかけていたもの。
前置きはこの位にして、その様子をご覧ください。
まずは、全景から。
かなりの古木で少し樹勢は弱いようです
樹齢は、ざっと400年というところですか・・・
花の咲いている様子:その1
花の咲いている様子:その2
この時点で、何種類の花があるか、何度か数えてみました!
4種類でした。
赤・白・ピンク(分かり辛いですが)そして、斑入りと・・・
ただ、斑入りはそのバリエーションが豊富で、それで五色か?
と、それなりに理解して。
それぞれの花が、苔と白砂の上に散ったさまを見て。
う~ん・・・(いろんなことを思いながら)と。
帰り際には、こんなに見晴らしの良い高所にあったんだ。
と、気づいたりして・・・
余談ですが、
この日この白毫寺にたどり着くまで、昨年GWに散歩した
「山野辺の道」を朝6時台から桜井方面から8時間ほど
歩いて、へとへとになっていたころでした。
ついでに、その道中ほとんど撮ることのなかった写真ですが、
これは
と思い撮ったものが、これ
ふしぎな石!!
「やさしい言葉をかけると軽く感じ、
怒りながら持つと、重く感じます」と書かれた看板。
この日同行したI君と、それぞれ持ち上げてみて・・・
「どうやった?」と尋ねたところ。
そのI君も、同じ感想で・・・
「う~ん。ふしぎやな・・・。」
と、確かにふしぎな石でした。
寒肥
今、寒肥に廻っています。
これまでに、ご縁を頂いたお客様とその庭に
新たなシーズンを迎えての御挨拶と
この時期の庭木たちの状態を確認するために。
(私) 「今年の冬も、本当に寒いですね。
皆さんお変わりありませんか?」
(お客様) 「えぇ、おかげさんで何とか・・・
どっこも行かんと、家にすっこんで
こたつのお守りしてますは。(笑)」
(私) 「庭木の様子はどうですか?」
「なんか変わったこととかありますか?」
(お客様) 「まぁ、特に何もないと思うけど、
良かったら観ていって。」
(私) 「それじゃ、ちょっと観させてもらいます。」
と、こんな風なやり取りの後、お客様と一緒に
庭木たちの状態を確認しながら、『寒肥』の話に・・・
(お客様) 「今まで寒肥なんてやったことないけど
いつもちゃんと新芽も出るし、花も咲くけど
寒肥って、やっぱり必要なもんか?」
(私) 「そりゃ、やるに越したことはないですよ。
人間と一緒で、病気もせんと、元気なうちは
多少無理しててもやっていけるけど
いったんどこか悪いところが出てくると
今度良くしようと思っても、なかなかもとには
戻らんもんでしょ・・・」
こんな会話になったとき、いろんなことが頭をよぎる。
庭木たちにとっての1年もスタートしている。
この寒~い冬を乗り越えようとしている。
春が来れば、あるものは花を咲かせ、
新しい葉を茂らせ、それぞれが目一杯
その生命を輝かせ、成長を続ける。
そして、耐えがたいほどの暑い夏を迎え、
厳しい気象条件の中でも、その限られた
場所の中で、しっかり根を張り、自分にとって
必要な水分や養分を吸収したり、
時には、強い風に倒されまいと踏ん張ることも。
そして、秋になれば、子孫を繋げていくべく、
果実を充実させ、小鳥や人を喜ばせる・・・
「休む」という字は、
(ある人から聞いた、忘れられない言葉の1つだが)
「人が、木に寄り添っている形でしょ。
人間の暮らしには、「休む」っていうことも必要なんだ。
だから、木は決して欠かすことのできない
存在なんだよ」と・・・
そんな木の生命力を傍で見ていて
我々が、日頃生活する上で、教えられることがあったり、
大切なことに気づかせてもらったりすることもある。
「だから、人が木に寄り添ってるということなのか」と。
こんな風に考えてみると
庭木たちに対して、自然と愛着も湧いてくる。
「今年もきれいな花を咲かせてくれよ」
「秋にはおいしい実をいっぱいに成らせてくれよ」
「夏の暑さなんかに負けずに、しっかりと栄養補給して
体力をつけとくんやで」
「もし毛虫なんかが、葉を食べようとやって来ても
寄せ付けないようなパワーを出すんやで」
といったような思いを込めて、肥料を施す。
『寒肥』とは、この厳冬期、
これまでに、自分が思っている以上に
多くのものを与えてきてくれた庭木たちに感謝し、
これからの新たなシーズンに向け、
彼らの好ましい成長への期待や希望に
胸ふくらませ、愛情を込めるためのスイッチを入れる
「儀式」として、あるものかもしれない・・・・・。
庭木の病害虫防除 其の3
前回の投稿の続き、実験の経過観察について。
まず、簡単にその実験の内容について整理すると
①つるバラに発生した(やや大量発生ぎみ)
アブラムシに対し、ニームが主原料の資材を
散布し、どのような効果が現れるのか?
②レモンの苗木についたアゲハ蝶の幼虫は、
この散布後、本当に脱皮阻害されるのか?
ということが主旨の新薬剤(資材)の使用実験。
さらに、ニームが害虫駆除材として効果があると
されているポイントを整理しておくと
Ⅰ.害虫を寄せ付けない(忌避効果:きひこうか)
Ⅱ.害虫たちの食欲を抑える(拒食効果)
Ⅲ.完全変態する昆虫の脱皮阻害効果
Ⅳ.益虫(害虫に対する天敵:テントウムシなどの
肉食系昆虫たち)には作用しない
Ⅴ.無毒性・生分解性だから人や環境にやさしく
安全で安心して使える
Ⅵ.化学構造が複雑で耐性がつかない
と、大体このようなものでしょうか・・・
ここから、実験の経過観察についてですが
まずつるバラのアブラムシですが、
今現在、壊滅状態となっています。
その経過を説明していくと、
散布後、5~6日でアブラムシの数は、
約8~9割(あくまでも私の主観で)は、
減少しましたが、まだ1~2割は残っていました。
それ以降、観察を続けていくと日毎に
アブラムシの数は減り続けて行きました。
一体どうやって減っていってるのかと、よくよく
観察を続けていて、あることに気づきました。
「この虫、そういえば昨日も見たよな?」
ある虫(?)が、バラの葉や蕾のうえを忙しく
歩き回っている様子を見て、
「これってテントウムシの幼虫?」と思い、
昆虫図鑑などで改めて確認!
やっぱりそうか。
それ以降、このテントウムシの幼虫の行動を
主体に観察していくと、よ~く見ていると、
アブラムシにかぶりつく(?)(吸いつく)姿を
確認。
しばし観察を続けていると、あっちにもこっちにも
ちっちゃいのやら・・・、その数推定20匹以上。
1匹のテントウムシやその幼虫が1日に
アブラムシを捕食していく数は
20~30匹とのこと。
仮に、この20匹のテントウムシの幼虫が
1日当たり20匹のアブラムシを捕食していけば
1日に400匹のアブラムシが減る。
2日で800匹。3日で1200匹・・・
「これは放っておいても、大丈夫やな・・・」
案の定、散布後10日もすると、アブラムシの
姿は全く見かけなくなった。
一方、レモンの苗木についた、アゲハの幼虫の
その後は。
まず、散布後数日して明らかに感じられたのは
その拒食作用について。
アゲハ蝶は卵から孵化した幼虫は、1・2・3齢・・
幼虫(こげ茶色の状態)から脱皮を繰り返し
終齢幼虫といわれる緑色のものへと変化し
さなぎの状態を経て蝶の姿へと完全変態して
いくが、その間に1匹の幼虫がこのレモンや
ミカンの葉を23~24枚分の量を食べてしまう
とのこと。
半分くらいしか食べないものもあるので、少なく
見積もっても1匹で30枚くらいの葉を食害する。
4~5匹の幼虫でこのレモンの苗木くらいだと
あっという間に丸裸にされてしまうようなものだが
散布後1週間以上経過した状態でこれだけ。
散布を行った時点では、終齢幼虫が1匹、
3~4齢幼虫が3匹確認されていたが、
そのどれもが死んでしまうことはなかった。
さらに、1週間経って全てが終礼幼虫にまで
変化していた。
しかし、終齢幼虫の4匹は、積極的に葉を
食害することなく、じっとしたまま動くことなく
その後も葉の食害は殆どなかった・・・
先にふれた1匹の幼虫のの食害のほとんどは
この終齢幼虫になってからのもので、
一向に葉を食べることのないこれらの終齢幼虫
達は当然大きくなることもなく、小さなまま
ある日を境に、このレモンの苗木から姿を
消してしまった。
死んでそこらに落ちている様子もなく、どこに
行ったか探して、ようやく2匹はさなぎ状態に
なっているのを確認できた。
それから、2~3日していづれもアゲハ蝶に
なることなく死んでしまった。
(かなり見ずらいですが・・・)
今回の実験の経過及び結果を整理してみると
①拒食作用があることは、ほぼ間違いないこと。
②脱皮阻害作用は、完全ではないものの確かに
ある。ただそれは完全変態の時に現れる・・・
③益虫(肉食系昆虫たち)には、作用しない。
④忌避効果については、散布後1週間くらいは、
アゲハ蝶が再三、さらに卵を産みつけようと
このレモンの苗木に近付いてきていたが、その
周りを飛び回っているだけで、寄り付けないと
いった様子で他に飛び立ってしまうといった
光景を何度となく確認できたが、1週間以上
経過すると卵を産みつけている姿が確認された。
光分解の早いこのニームが原料の資材の
忌避効果の作用は1週間といったところか・・・
今回のこの実験を通しての感想として、
この資材に対して、当初想定していた以上の効果
があったことと、全く想定していなかった
効果(?)に気づかされた。
それは、益虫によるもので、
これまで正直、益虫が害虫駆除に役立つといった
認識は非常に薄かった。
テントウムシの幼虫がアブラムシを捕食する様子を
目の当たりにした時、有機農法などに取り組んで
いる方々の思いに感じた気がした。
この瞬間、自分の中でそれまでにはなかった
新たな扉が開かれているような気がしてきた・・・
庭木の病害虫防除 其の2
昨年にも同じタイトルで投稿しましたが
その第2弾として!
「使用薬剤についての話」が今回のテーマです。
今年も我が家の窓辺のつるバラ「アンジェラ」が
開花の時期を迎えようとしていますが、今回ある
実験のため少し犠牲になってもらいました。
ついでに、こいつにも
写真に写っているのは、レモンの苗木。
アゲハ蝶の幼虫がみえます。
アンジェラに群がるアブラムシの様子。
今回の実験というのは使用薬剤のテストで、
アンジェラには、春の伸長とともに、アブラムシが
つき始めていました。早い段階で駆除してしまおう
と思えば出来たことなのですが、かなり放っておき
やや、大量発生の手前まで・・・
また、レモンの苗木にも同様に、アゲハ蝶の幼虫の
食害に少し我慢してもらい・・・
条件が整ったところで、散布実験を開始!
今回試しているのは、「ニーム」が主原料の
天然植物資材で、いわゆる忌避剤というもの。
「ニーム」をご存じない方のために簡単に説明を
ニームとは、インド・バングラデシュ等が原産の樹木で
和名を「インドセンダン」といいます。
(ニームとはその英名のこと)
インドでは別名「村の薬局」と呼ばれ、薬の代わりとして
多くの症状の緩和に昔から利用されていたということ。
その木の実を搾りとったオイルのことを「ニームオイル」
と呼び、この中に含まれる有効成分の
「アザディラクチン」が、害虫にもよく効くと言われている。
その効果・効能の特徴は
① その芳香成分で害虫を寄せ付けず、退去作用や
拒食作用も発揮する
② 害虫の卵の孵化を抑制し、脱皮阻害効果を有し
その個体数を減少させる
③肉食性昆虫やミミズなどの土中有益動物あるいは、
脊椎動物に対しては、毒性を示さない。
④一般的な殺虫剤などの農薬に比べ、化学構造が
複雑なため、容易に耐性がつかない
といったもので、東南アジア諸国などでは、国連の
WHOが、安全な植物性資材としてその使用を
推奨しているとのこと・・・
以上、我々のように日頃から害虫の防除作業を
行っているような者にとっては、夢のような資材
でありますが・・・
これだけで害虫被害の問題をすべて解決して
くれるものではないはず・・・
(健康被害をもたらす化学農薬が、すでに世の中
から姿を消しているはず)
今回の実験は、こうした優れた効果を持つ資材の
特性・効力を自分なりに理解し、病害虫防除対策に
使いこなしていこうとするためのものです。
話を戻しますが、今回主に試してみたかった
ポイントは、次の2点です。
①やや大量発生気味となった、アブラムシたちに
どのような効果を発揮してくれるのか?
(ニームは、アブラムシにはとてもよく効くということ)
②草食系昆虫で完全変態するアゲハ蝶の幼虫が
本当に脱皮できないのか、またどうになるのか?
を確認すること
このような人や自然環境に安全・安心な資材を
使っての病害虫防除の背景には、当然お客様の
化学農薬に対する不満や不安がある。
「庭に放した愛犬が、農薬のかかった植物を
口にしてしまわないか心配・・・」
「家庭菜園の野菜に農薬がかからないか・・・」
等など他にもたくさんあります。
我々も農薬散布を繰り返しているうちに、
体調を崩すといったことも現実ある・・・
出来るだけ安全で安心して使える資材で
病害虫を防除していくというのは、
ますます、必要不可欠なことになると思う。
そのためにも、
今後病害虫の発生とその防除に対し
如何にこの資材を有効に生かせるのか。
まだまだ、
いろんな状況での散布とその経過観察と
検証など続けていこうと思っています。
(尚、今回の実験の経過及び結果は後日)
こだまでしょうか ~被災された方へ~
「遊ぼう」っていうと
「遊ぼう」っていう。
「馬鹿」っていうと
「馬鹿」っていう。
「もう遊ばない」っていうと
「遊ばない」っていう。
そうして、あとで
さみしくなって、
「ごめんね」っていうと
「ごめんね」っていう。
こだまでしょうか、
いいえ、誰でも。
あの震災以降、何度となく流れている
ACのTVCMですが、
この詩の作者 金子みすゞさんの
「ことばの花束 金子みすゞのこころ」
という本を、嫁が図書館で借りてきて
あのCMの「こだまでしょうか?」って
「こんなメッセージがあったんや!」
と、その本を読み聞かせてくれました。
それを聞いて、ようやくこのブログを
書こうかと思いました。
震災直後、この庭ブロで活躍されている
東北方面の方のブログをチェックし、
ご無事でいらっしゃる様子を確認できて
コメント欄に、メッセージを送ろうかと
考えたのですが、いざメッセージを
書こうとしたら、なんと書いたら良いものか
迷うばかりで、言葉が見つかりませんでした。
また、この庭ブロでは被災地域で活躍されている
他にも多くの方がいらっしゃるのに、
その方たちには・・・
と考えると、益々ことばが見つかりませんでした。
その本の中では、この詩の後に、
「こだまし合うこころ」
として、次のように書かれていました。
こだまとは、〝丸ごと受け入れる″ことです。
かつて、私たちのまわりにいてくれた、すてきな
大人の人たちは、こだましてくれる人たちでした。
ころんで「痛い」といった時、両親は
「痛いね」と、私の痛さを丸ごと受け入れて
くれて、返してくれました。
こだまは、「ヤッホー」といったら、
「ヤッホー」と半分の大きさになって返って
くるわけですから、「痛いね」と返してくれた時、
私の痛さは半分になることができたのです。
(中略)
私が子どもだった頃、大人という人たちは、
人の喜びを自分のように喜べる人たちでした、
人の悲しみを自分のことのように
悲しめる人たちでした
今、私たちは自分は自分、他人は他人と
分離してしまいました。
だから、みすゞさんは、今、
甦ったといってもいいでしょう。
私たちのまわりはすべて、
光と影のように
昼と夜のように、
見えるものと見えないものに、
二つで一つなのです。
二十一世紀はみすゞのまなざしの世紀です。
そして、次にはこんな詩が
さびしいとき
私がさびしい時に、
よその人は知らないの。
私がさびしい時に、
お友だちは笑うの。
私がさびしい時に、
お母さんはやさしいの。
私がさびしい時に、
仏さまはさびしいの。
同様に、仏さまはさびしいの として以下に
「私がさびしい時に、仏さまはさびしいの。」
「さびしいとき」というみすゞさんの作品に
出会うまで、仏さまや神さまは祈ったり、
願ったりすれば、私のさびしさを取り除いて
くれたり、さびしさを代わってくれる存在だと
思っていました。
でも、みすゞさんが
「私がさびしい時に、仏さまはさびしいの。」と
歌ってくれたおかげで、仏さまや神さまは、
けしてわたしのさびしさを取り除いてくれないし、
変わってはくれないことに気付きました。
最良最善の存在である、仏さまや神さまは、
こだましてくれるのです。
さびしいときに、「さびしいね」と。
わたしのさびしさを
「さびしいね」とこだましてくれ
さびしさを半分に、半分に、半分にしてくれるから
さびしさは消えていくのです・・・
ACのCMには、
コンなメッセージが込められていたんですね。
震災から1カ月が経ちましたが、
日本全国で、いや世界各国でも
今、こだましはじめているように思います。
被災された方は本当に辛い思いを
されているでしょうね。
でも、今、たくさんの人たちがこだましている
ように思います。
1日も早く、皆様の辛さが消えていくのを
願っています。