石燈籠の本歌(ほんか)を求めて
奈良では石燈籠と言えば、真っ先に思いつくのが
「春日灯篭」
どこの庭でも(と言えば語弊がありますが)
ほんとによく見かけます。
そんな石燈籠の本歌(ほんか)[いわゆるオリジナル版]を
地の利を生かし、全国の皆様にご紹介できればと、
この「庭ブロ」を始めた頃より考えてました。
まず、その第1弾として
「春日灯篭」 (基本形で火袋に鹿や三笠山が彫られたもの)
「春日・奥の院・柚木」といえば、奈良の春日大社に
その本歌はきっとあるはず。
どんなところに、どんな風に据えられているのか、
興味津々で、
いざ春日大社へ
参道は、灯篭で埋め尽くされています
春日大社には、古くから寄進された灯篭が
石燈籠で約2,000基、釣り灯籠で約1,000基
あるとされており、デジカメ片手にあちこち探し
廻ってみました。
『おぉ~これが奥の院?』
『何の案内もないし、何か違うな・・・』
『なにぃ~ この丸太の火袋・・・』
『 おぉ~ これこそが春日灯篭の本歌』
『確かに春日灯篭に違いないが何か違う・・・』
いったい何処に・・・
このままでは、全国の皆様に申し訳が立たないと
さらに、神社の方に尋ねてみたり探し廻って
見たのですが、見当たらない。
どこにもない・・・
後々調べてみると、やはり現存しない様子。
残念でした~
そんな諦めモードの中、つい目に留まったのがこれ
奥に見えるのが、「お水取り」で有名な二月堂
本題と関係ないのですが、ちょっと気になったもので
軽い「塀もえ~」なもので、きれいな塀にはついつい
目を奪われてしまいます・・・
このままでは終わったら申し訳ないので、
日本最古の石燈籠を
ここは、以前「冬牡丹」でもご紹介しました
奈良の葛城市(二上山の麓にある)当麻寺
看板には、
日本最古の石燈籠
白鳳時代に松香石で作られたものである。 と
ちなみに、全国で2番目に古いとされるものが
「柚木灯篭」(ゆのき)で、1136年関白藤原忠通が、
春日大社に奉納したものとされる。
白鳳時代と言えば、今から1300年ほど前?・・・
それではもう少し、この灯篭を
いつぞやのTV番組(秘密の県民SHOW)でも、
指摘されておりましたが、奈良県民というのは
とにかく、身近にある恵まれた環境のことに関心
がなさすぎる・・・反省すべき点です。
あと、「勧修寺型灯篭」を思ったのですが、
また他のものと別の機会に・・・
冬牡丹 ~当麻寺 奥院~
わらの雪囲いが施された、冬牡丹
今まさに開花寸前というところ
ボタンにしては随分小ぶりな印象を受ける
ここは当麻寺(たいまでら)奥院の浄土庭園
周りの春咲きボタンに比べ、小振りなのが見てわかる
以前は、”寒ボタン”だったような記憶が・・・
(浄土庭園の様子)
この時期花の咲いてるのを見かけるのは、ロウバイ、サザンカそして、1部のツバキくらいのもの
この日、近くを通りかかったもので別の目的があり、この当麻寺に訪れたのですが、たまたまこの冬牡丹の開花時季で、その様子を見ることができた。
大寒から立春までの間、日本で最も厳しい寒さを向かえるが、この時期に、雪囲いの中でつつましく咲く冬牡丹には、人を引き付ける魅力がある。
梅のつぼみもだいぶ膨らんで次の順番を待つ・・・
(そういえば、今年ももうすぐ郡山城で「盆梅展」が催される時期だなあ・・・)
モクレンも春の開花に備え、しっかりと準備してる
冬牡丹越しに望む当麻寺の2基の塔頭。ここは絵になる風景がたくさんある
「奈良の庭」では、当地の特徴ある庭の様子をお伝えしていこうと考えています。
「所変われば、品変わる」というか、同じ日本でも北から南は勿論、内陸部や沿岸部、標高差の違いなどで随分と気候風土や生活環境も異なる。
物流システムの発達で、造園資材なども全国的に標準化されつつあるも、やはり地元で採れる石が、庭石として昔から多く使われることで違いもあるし、庭木の好みや造り方にも独特なものもあるはず・・・
そんな特徴的な「奈良の庭」を私なりの感性で、これから紹介していこうと思います。