薫風自南来

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新緑のもみじも日増しにその色を深め、皐月の花の季節になりました。

美しく刈り込まれた皐月に花が咲き競う、すっきりとして気持ちがいいですね。

5月23日は、丈山忌でした。

煎茶の祖とされ、詩仙堂(京都市)に隠棲した川石丈山は、日東(日本)の李杜(李白、杜甫)と賞されるほど詩文にすぐれ、書(隷書)にすぐれ、煎茶を好み、文人として清の境地、清らかなものを求め自然にそい、高雅な世界を作り、楽しみました。

丈山は、徳川家康に仕えた武士で、数々の武功をたてましたが、大坂夏の陣で禁令をおかし、蟄居を命じられます。

剃髪し、妙心寺に入りますが、やがて儒者、林羅山らと交わり、藤原セイカの門に入り朱子学を学びました

石川丈山は、当地(広島)にもゆかりがあり、広島藩浅野家に二千石で儒臣として仕え、十三年間広島に住んでいました。

母の死去のあと京に帰り、仕官のすすめも断り、詩仙堂(室の壁に中国の詩人(詩仙)三十六人の画像をかかげてある)を建て隠棲します。

詩仙堂の庭は、後の改造を受けていますが、丈山の美意識はつたわります。庭は上下二段にわかれ、書院の前に広がる白砂と皐月の刈り込み、その後ろには、もみじの林、滝からつづく細い流れは皐月に囲まれ、やがて下段の池にそそぎます。その途中に、有名な『鹿おどし』があります。

鹿おどしは、僧都とも呼ばれ、昔、農村で鹿や猪から田畑を守るため考案されたものです。

この音が鹿や猪を遠ざけたのです。

現在は、その音を楽しむため庭園に取り入れられています。

『コーン』

静寂の中で聞く音は、心の中まで響きます

 

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