むかし 男ありけり

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五月一五日は、葵祭りです。

葵祭りは賀茂祭ともいわれ、平安時代から続く、京都上賀茂神社、下賀茂神社の祭りです。

勅使代以下、五百人におよぶ平安装束の行列は、斉王代をはじめとする女人列のあでやかさ、平安絵巻そのままの雅な行列です。

賀茂祭は、参列者の冠や装束、馬や牛車、社殿などに葵と桂の葉が飾られることから葵祭といわれます。

葵は双葉葵で、徳川家の三葉葵の紋所は、この葉を三枚組み合わせたものです

祭りがある上賀茂神社の近くに境外摂社大田神社があり、境内の大田の沢は、カキツバタ(杜若)の名所です。

 

ら衣 つつなれなし ましあれば るばるきぬる びをしぞ思ふ

 

伊勢物語、東下りの段にのる、かきつばたの文字を句の頭においてよんだ歌です。

物語の主人公、美男で気ままな色好みの貴公子、在原業平一行は、京に住みずらくて東国を旅し、三河の国(愛知県)八橋という所を通ります。

沢の水が八方に流れ別れ、それに橋を八つ渡してあり(地名は、これに由来します。)沢の中には、カキツバタが風情あるようすで咲いていました。

古くから、絵画や衣装、蒔絵など工芸品にこの意匠が多く用いられています。

庭にも、この意匠(八つ橋)が取り入れられています

掘立の脚と桁、上に千鳥、又は屈折させた八枚の板をのせて橋とし、その袂にカキツバタを植えます。

すっきりと立ったカキツバタの中、右に左に橋を渡り、花を見ながら歩みを進める、風雅ですね。

橋板は八枚とかぎらず、カキツバタにかえて、花菖蒲を植えることも多いです。

八橋はあちらこちらで見ますが、岡山の名園、後楽園では、曲水の流れに架けられ、杜若が咲くころ、花菖蒲の花時は見事です。

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