菜種の里
若草、菜種の里、山川、茶処松江に伝わる、不味公好の銘菓です。
若草、菜種の里は春の菓子、山川は秋の菓子とされ、いずれも上品な和菓子です。
菜種の里は、黄色の落雁で、不揃いに割って器に盛り、春の気分を味わえる私の好きな菓子です。
4月24日は、不味忌です。
出雲十八万六千石、松江藩七代藩主、松平治郷は、治水工事、新田開発、殖産の奨励など、行財政改革に功績があり、名君として名高く、不味と号し、大名茶人として知られ、茶道不味流の祖とされます。
不味好の茶室に有沢山荘菅田庵があります。
松江藩家老有沢家山荘の一畳台目中板の茶室『菅田庵』と御風呂屋は、不味の指図(設計図)により建てられ、書院『向月亭』とその庭は不味の弟、瓢庵の好みにより、つくられました。
向月亭の庭は、低いさつきの刈り込みで囲まれ、砂利敷のなかに霰石の短冊形延段と飛石があるばかりです。延段の両脇は、青竹ではさまれて、気がきいたデザインで、おもしろく、斬新です。竹は茶会のたびごとに、青竹に取り替えられるそうです。
菅田庵は、近年非公開ですが、以前二度ばかり拝観したことがあります。盛夏でした、汗みどろになり山道を登り、山荘につくと、砂利敷き、延段、低いさつきの刈り込み、それにつづく大刈り込み、下枝のない老松の間からの眺望、せみしぐれの中、汗をぬぐうのを忘れた、清しく閑雅な一時でした。
松平家の居城、松江城は、五層六階の天守閣が昔のまま残り、二の丸には近年太鼓櫓などが復元され、往時をしのばせます。また、大手門跡近く、堀沿いに松江歴史館が今年開館しました。
連休に、大根島の牡丹見物をかねて、足をはこばれてはいかがですか。
世の中は まめで四角でやわらかで 豆腐のようにあきられもせず (不味公狂歌)