登龍門
子供の日は端午の節句、鯉のぼりが空を泳ぎます。
端午の節句は、菖蒲の節供です。
菖蒲(ショウブ)は、サトイモ科に属し、アヤメ科の花菖蒲とは別の種類で、葉に芳香があり、古くから邪気を払うとされました。
菖蒲とヨモギを一組にし、屋根の軒端にさす菖蒲ふき(軒菖蒲)、風呂に入れて沸かす菖蒲湯、端午の節句の行事です。
鯉のぼりは空を泳ぎますが、鯉が滝を登ると龍になるという伝え、『登龍門』の話があります。
中国の黄河上流、山西省と陝西省の間にある急流の険しい山岳が対じするところを龍門といい、黄河が龍門山から三段の滝となり、激しく落ちるところが龍門瀑(龍門の滝、三段岩)です。
龍門瀑は、魚が登ることができず、もし登りきった鯉があれば龍になるという伝説の滝です。
この伝説の滝、龍門瀑をテーマにした庭があります。
板を立てたような水落石で瀑布を、鯉魚石(鯉に見たてた石)で滝を登ろうとする鯉を表します。
庭に龍門瀑がつくられるのは鎌倉時代からで、山梨県甲府の東光寺庭園が古い例とされ、京都天龍寺、金閣寺の龍門瀑は有名です。
雪舟作といわれる山口の常栄寺庭園にもあります。
五月六日は立夏です。
さわやかな五月の風とまばゆい新緑、いい季節になりました。
卯の花の匂ふ垣根に ほととぎす早も来鳴きて しのび音もらす 夏は来ぬ
二季草
夏も近ずく八十八夜 野にも山にも若葉が茂る
立春から数えて八十八日目、五月2日は、八十八夜です。
これからが茶摘みの最盛期、一番茶、二番茶、新茶がうれしい季節です。
茶摘みの終わった茶畑、整った緑の畝がいくえにも連なり、清々しく気持ちがよいですね。
我が国の茶の栽培は、唐から伝わった平安時代初期にはじまり、鎌倉時代初期にふたたび栄西が、茶の種と抹茶の喫茶を宋から伝え、本格的に発展しました。
嬉野、宇治、静岡、鹿児島、狭山と全国にお茶の産地があります。
八十八夜のころ、春から夏にかけて咲く、別名『二季草(ニキソウ)』藤の花が盛りとなります。
藤に野田藤と山藤があり、よく言われるように、野田藤のつるは右巻き、山藤は左巻きで見分けがつき、紫花、白花、いろいろ園芸品種があります。
野田藤の園芸品種に、野田長藤があり、花(花序)が長く1メートル以上になり、九尺藤とも呼ばれ、藤棚から長く垂れて咲く風情は、たおやかで雅の世界です。
奈良春日大社の『砂ずりの藤』、特別天然記念物で埼玉県牛島にある全国一の巨木、東京亀戸天神と藤の名木、名所は多くありますが、岡山県の渋川には、長さ900メートルと日本一長い藤棚があり、あっかんです。
延々続く藤棚のしたをそぞろ歩くのも一興です。
同じく、岡山県の和気神社外苑、藤公園もいろいろ品種があり楽しめます。
連休にどうですか
竹垣完成
最後の微調整中
玄関からの目隠しもかねて、前回より少し高くしました。
縦編みの案もあったのですが、2方向からの視線のため、横編みになりました。
完了です。
竹垣
本日、造園を始めたころの竹垣の造り替えをしています。
溝掘り。公ちゃんです。
バーナー公ちゃんです。
銅版まき、公ちゃんです。
全て、写真モデルです。僕の作業風景は、メカに弱い公ちゃんは、撮れません。
仕上げは、明日は雨なようで、あと一日かかると思います。
懐かしく、初心に戻れる気がします。
菜種の里
若草、菜種の里、山川、茶処松江に伝わる、不味公好の銘菓です。
若草、菜種の里は春の菓子、山川は秋の菓子とされ、いずれも上品な和菓子です。
菜種の里は、黄色の落雁で、不揃いに割って器に盛り、春の気分を味わえる私の好きな菓子です。
4月24日は、不味忌です。
出雲十八万六千石、松江藩七代藩主、松平治郷は、治水工事、新田開発、殖産の奨励など、行財政改革に功績があり、名君として名高く、不味と号し、大名茶人として知られ、茶道不味流の祖とされます。
不味好の茶室に有沢山荘菅田庵があります。
松江藩家老有沢家山荘の一畳台目中板の茶室『菅田庵』と御風呂屋は、不味の指図(設計図)により建てられ、書院『向月亭』とその庭は不味の弟、瓢庵の好みにより、つくられました。
向月亭の庭は、低いさつきの刈り込みで囲まれ、砂利敷のなかに霰石の短冊形延段と飛石があるばかりです。延段の両脇は、青竹ではさまれて、気がきいたデザインで、おもしろく、斬新です。竹は茶会のたびごとに、青竹に取り替えられるそうです。
菅田庵は、近年非公開ですが、以前二度ばかり拝観したことがあります。盛夏でした、汗みどろになり山道を登り、山荘につくと、砂利敷き、延段、低いさつきの刈り込み、それにつづく大刈り込み、下枝のない老松の間からの眺望、せみしぐれの中、汗をぬぐうのを忘れた、清しく閑雅な一時でした。
松平家の居城、松江城は、五層六階の天守閣が昔のまま残り、二の丸には近年太鼓櫓などが復元され、往時をしのばせます。また、大手門跡近く、堀沿いに松江歴史館が今年開館しました。
連休に、大根島の牡丹見物をかねて、足をはこばれてはいかがですか。
世の中は まめで四角でやわらかで 豆腐のようにあきられもせず (不味公狂歌)