桃の節供
~あかりをつけましょ 雪洞に お花をあげましょ 桃の花…~
三月三日は、「上巳の節供」、そして雛祭、『桃の節供」です。
桃のようようたる 灼灼たる其の華あり この子ゆきとつぐ その家室に宜しからん
桃のようようたる ふんたる其の実あり この子ゆきとつぐ その室家に宜しからん
桃のようようたる 其の葉蓁蓁たり この子ゆきとつぐ その家人に宜しからん
娘をもつ親として、本心願います。
庭の桃は、未だ蕾がかたく、残念ながら桃の節供に花は望めず、買い求めて飾ることにします。
桃の移植、苗木の植え付けは、これからが適期です。
「桃木の精は、仙木なり」と『本草網目』にありますが、古くその実は不老長寿の仙果であると信じられていたようです。
三月三日は、西王母の誕生日とされています。
伝説の西王母は、中国 崑崙山に住む仙女で、その園に三千年に一度実のなる不老長寿の桃『ばん桃』が栽培されていたと伝わります。
この桃を食べると、不老不死となり、長寿を願う漢の武帝が、西王母からこの仙果を与えられたとの故事。
仙術をよくし、西王母の桃を食べ、長寿をほしいままにした、東方朔の故事、能の演目にあります。
西王母
加賀の名椿に、「西王母」があります。
桃の実に似る、花色花姿はいとおしく、思わず掌に抱きたくなりますが、西王母の長命にあやかり、長く人々に愛されるよう、この名があるとか……。
※薄桃地、外弁が紅のぼかし、中輪、一重筒咲の花です。
花時期は、早く九月から咲きはじめ、四月まで咲きつづきます。
西王母から、自然発生した椿に『東方朔』があります。花時期は十月から四月です。
※桃紅地、外弁が紅のぼかし、中輪、一重椀咲の花です。
流石、加賀宝生の土地柄、奥床しい命名と感じ入ります。
椿もこれからが移植、苗木の植え付けの適期です。
花入に、西王母椿を活け、釣釜で、雛の宵の一服、如何ですか