墨染
深草の野辺の桜し 心あらば 今年ばかりは墨染に咲け
東日本大震災から一月あまり、あの時かたい蕾だった当地の桜は、早くも散り始めました。被災された方々の一日も早い、安穏な日々を願い、心にかけています。
先日、仙台の桜の開花が報じられ、東北も花の季節になりました。弘前城址の染井吉野の古木、角館の枝垂桜、盛岡の石割桜、みちのくの桜の名所、名木の花の盛りもあとわずかです。塩釜神社の塩釜桜、福島原発から離れていますが、三春の滝桜、案じられる名木もあります。
花は、染井吉野が散り始めると、里桜にかわります。大阪造幣局の通り抜け、広島造幣局の花のまわりみちがはじまり、墨染、普賢象、楊貴妃、御車返、松月、妹背、関山など、いろいろの花が、あでやかに咲き競います。サトザクラは、古くから品種育成が行われた、桜の園芸品種で、二百種以上、多くの品種があります。
今年、親鸞聖人の七百五十回忌が、西本願寺、東本願寺など、真宗各本山で営まれていますが、サトザクラに親鸞聖人ゆかりの品種があります。
新潟県の梅護寺に原木のある梅護寺数珠掛桜で、聖人が越後配流の際、数珠を掛けたところ、数珠のような花が咲き始めたと伝えられます。花弁が百枚から二百枚と多く、四~五センチ位の、大輪で紅色の花が咲く遅咲きの品種です。
当地は、安芸門徒といわれるぐらい浄土真宗のさかんな所で、浄土真宗の寺院も多く、境内に聖人の銅像を見かけます。親鸞聖人の銅像にそわせて、聖人ゆかりの梅護寺数珠掛桜を植えられてはと、おすすめするのですが……。
炉をふさぐ日も近く、散りいそぐ花に名残を惜しみ、透木釜で花見の一服。
花散らす風のやどりは 誰か知る われにをしへよ行きてうらみむ
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