今週の1冊、「2040年の新世界」、ホッド・リプソン著、東洋経済新報社です。長いので前半。

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 今週の1冊、「2040年の新世界」、ホッド・リプソン/メルバ・カーマン著、東洋経済新報社です。長いので2回に分けて、今日はその前半。
 3Dプリンタの過去、現在、未来のお話です。
 私、お恥ずかしながら、3Dプリンタなんて色付きのチャチな樹脂で外形だけ自由に作れる機械、ほどの認識でした。
 しかし、全くもってそんなものではない、もしかしたら蒸気機関や電灯の発明に等しいインパクトになり得るものだと、初めて学習しました。その意味で良い読書でした。

 まずプリントする素材ですが、今は樹脂だけでなく、様々な金属(しかも配合して新しい素材にもできる)、セメント、砂や石やガラスなどの鉱物、食品、バイオインク粒子やバイオペーパーなど(つまり将来は生体組織をプリントできる)、既にここまで幅を拡げられているそうです。

 次に外形だけかどうか、つまり一度に内部構造までプリントできるかどうかですが(例えば機械なら内部配線まで一度にプリントできれば、完成した機械がプリンタから出て来るようになったり。生体であれば血管まで形成された肝臓が出てくるようになったり。)、今は正直そこまでには至っていないようです。ただ、誰しも同じことを考える訳で、この分野も鋭意開発中であり、既に先が見えている物もあるとのこと。

 この機械の行き着く先は、AIを備えて自ら考える3Dプリンタから、より新しく改善された3Dプリンタが出て来る。そしてそれが永遠のループで加速度的に改善を繰り返し自己増殖する。いつしか人間は不在に。。。ファンタジーの世界ですね(笑)。

 そこまで飛ばなくても、もう近い将来、例えば私の扱っているロートアイアンや人工ラタン製品は、人手が大量に必要な手間の掛かる商材だからこそ、ホーチミン製作でメリットが生まれています。
 それがどのような複雑なデザインでも、どのような素材でも一度にプリント出来てしまうとなれば、リクシルやYKKAPのちゃちなアルミの偽物ではなく、真のデザインで重みも伝統も感じてしまうような本物(もはや何が本物なのかわからなくなりそうですが)がプリントされてしまうようになることは、容易に想像が出来ます。
 もはや物づくりの職人さんの大部分は不要になってしまいます。
 それほどのレベルの貴重な3Dプリンタで、果たしてロートアイアンや人工ラタン製品をプリントするかどうかは別の話ですが。
 
 もっと大きく考えて、住宅なども、ダイワハウスや積水ハウスの高度な工業化住宅をさらに乗り越えて、外装材・断熱材・内部配管や配線・内部仕上げ、すべてを一体で、しかもその現場でプリント出来てしまうようになるでしょうから、もはや過去の常識は何も通用しなくなりますね。
 この業界はもっと広く恐ろしく、すべての職人さんが一切不要になってしまいます。

 そう考えると、すべての物づくり分野(医療・製薬分野までを含めた物づくり)を、恐ろしいまでに破壊し、再創造する、そんなインパクトがある機械だと捉えることが出来ます。
 
 そんな夢の(考え方によっては悪夢の)機械ですが、オチもあります。
 その夢の機械にプリントする対象物のデザイン・素材を命令するのは、今のところ旧世代のデザインソフトしか無いのだそうです。皆さんが想像する建築用CADやグラフィックソフトの延長です。
 こちらの分野の発明が無い限り、先のお話は全部夢のまま。
 もっと直観性があり、より自己判断し、より立体構造を内部構造にまで拡げて理解しやすく構築し、しかも部分部分で使用する素材も濃度も指定できる。。。今のソフトの延長では不可能なのかも知れません。
 そのソフトの開発者が、次の時代のビル・ゲイツになるのでしょうね。

 面白いと思ったフレーズを以下に。
 ・3Dプリントされた部品や製品は、日常生活に入り込みつつある。あなたが乗る車のダッシュボードは、3Dプリントされたプロトタイプの助けを借りて、さまざまな部品がすっぽり収まるようにデザインされている。カスタムメイドの補聴器を着けていたら、それはあなたの耳のなかの正確な形状をとらえた光学スキャンデータをもとに3Dプリントされた可能性が高い。
 歯科技工士は、レントゲン写真から患者に応じた歯のかぶせものを一時間もかからずにプリントする。チタンやセラミックをプリントして作った人工膝関節は、体内に埋め込まれて世界じゅうを闊歩している。運よくボーイングのハイクラスの新型旅客機787ドリームライナーに乗る機会があったなら、あなたは少なくとも32種類の3Dプリントされた部品に命を委ねていたことになる。
 したがって3Dプリンティングの要点をまとめると、次のようになる。3Dプリンタは、従来不可能だったやり方で素材を組み合わせ、複雑なデザインの物体を作り上げるのに、ほかのどの生産方式(人間のものであれマシンのものであれ)よりも正確で用途が広い。
 ・ひょっとしたらある日、3Dプリントでできたロボット生命体が、バッテリーや、センサーや、回路でできた脳をすでに内蔵した状態で、プリンタから出てくるようになるかもしれない。3Dプリントで生まれたばかりのロボットは、プリントベッドからためらいがちの第一歩を踏み出し、自分の電子回路を働かせて状況をのみこませる。もしかしたらいつの日か、3Dプリントされたロボットが生みの親の3Dプリンタのもとへ戻り、自分たちを「生むマシン」に、検診をして、調整のしなおしやプリントした部品との交換をする新しい機能をこしらえるようにもなるかもしれない。
 ・3Dプリンティングの10の特質
 ①無限に複雑なものが作れる。
 ②無限のバラエティ
 ③組み立てが要らない
 ④リードタイムがゼロ
 ⑤デザインの幅が無限
 ⑥技能がなくても製造できる
 ⑦コンパクトでポータブルな製造設備
 ⑧ゴミになる副産物が少ない
 ⑨素材を無限に混ぜられる
 ⑩物理的な複製が正確
 ・3Dプリンティングの用途としてとりわけ成長著しいもののひとつが、エンドユーザー向けの特注部品だ。特注部品はプロトタイプとは違う。本物の製品だ。製品のコミュニティ・フォーラムを見れば、家に自前の3Dプリンタをもっている人々が、ドアノブからシャワーカーテンのレールに通すリングに至るまで、一般的な家庭用品の交換部品について、アドバイスやデザインファイルをやりとりしている。ノブや歯車のほか、手作りするととても高価になってしまうアンティークの部品や製造中止になった部品を、3Dプリントで作っている人もいる。
 特注部品には、規模の経済による価格上のメリットはないので、中小の優れた3Dプリンティングサービス会社は、新たなビジネスチャンスを見つけようとしている。


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 私どもグッドライフデザイン株式会社では、ロートアイアンやステンドグラスの製造・輸入・販売の他、輸入住宅のデザイン、リフォーム・リノベーションなどのサービスを行っています。
私どもの製品やデザインやサービスによって、美しい邸宅や店舗を増やしていくことで、いつかは日本の街並みもヨーロッパのように美しくなっていけば最高です。
【ロートアイアンのデザイン、製造、輸入、販売】
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 私どもでゼロからオリジナルデザインをさせていただき、ハンドメイドで本物を一品生産させていただきますので、必ずお客様のお洒落な生活シーンや店舗シーンをより瀟洒に飾ります。
 また、フランスの植民地であったベトナムの工場で、熟練工が製造しますので、より太くより瀟洒な本物を、より廉価でご提供いたします。

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