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高線量地点あちこち、避難区域指定が進まない福島市
テーマ:ブログ
2011/10/27 12:14
高線量地点あちこち、避難区域指定が進まない福島市
○ 福島第一原発の事故は、県庁所在地で住宅が密集する福島市内にも高レベルの放射能汚染をもたらした。
だが国は
「除染の結果を待ってほしい」と繰り返すばかりで避難区域の指定に積極的な姿勢を見せない。
「補償の見通しがなければ逃げることもできない」
「人の命より経済活動を優先するのか」。
八日、市内の渡利地区で開かれた住民説明会では、深夜まで怒りと落胆の声が渦巻いた。
五時間続いた。
八日午後七時に始まった福島市渡利地区の特定避難勧奨地点に関する住民説明会。
体育館いっぱいに詰めかけた四百人以上の住民が、ひっきりなしに手をあげていた。
地区の高線量を住民たちが知らされたのは四月下旬。
その後、子どもたちは屋外活動を制限され、大人たちは町内の除染活動に黙って協力してきた。
にもかかわらず、「特定勧奨地点の指定はなし」の説明に、住民たちは「納得できない」と口をそろえた。
○ 特定避難勧奨地点は被ばく線量が年間二○ミリシーベルトを超えそうなホットスポットを世帯単位で指定し、避難を支援する制度。
渡利地区では八月下旬に指定に向けた詳細調査が始まった。
地区には六千七百世帯(計一万六千五百人)が住むが、国は事前調査で線量が高かった千三十八世帯のみを調査対象とした。
福島市が目安とする三・〇マイクロシーベルト以上の家が市内に二軒あったが、国は二軒には避難の意向がないとして、
「避難ではなく除染を優先する」と指定を見送った。
指定を受ければ、避難先の紹介などの行政支援が受けられる。
東電から避難費用などの賠償もある。
六月以降、調査が先行している南相馬市や伊達市、川内村では計二百四十五世帯が指定された。
説明会では「地域全部を調べてほしい。線量の高いところはいっぱいある」
「南相馬市や伊達市では毎時三・〇マイクロシーベルト以下でも指定されている。なぜ福島市はダメなのか」とただす声が相次いだ。
福島市の冨田光政策推進部長は
「指定は国がするもので、市が口を差し挟むことではない」
現地対策本部の佐藤暁氏は
「年間二○ミリシーベルトであれば住むことにまずは問題はないが、指定しないと決めたわけではない。我慢しろと言うわけではないが、まずは線量を下げるために除染させてほしい」
と繰り返した。
あいまいな回答は、住民たちの不安をますますあおる。
町内会に配布された線量計などで、生活環境のすみずみまで自らの手で調べている住民たちからは「ばかにしているのか」と怒りの声が続いた。
「一○マイクロシーベルト以上で計器が振り切れるポイントがあちこちにある」という声が相次いだ。
たまりかねたように手をあげた高齢女性も
「おたくの放射能は何マイクロですか、って挨拶してるんですよ。
これまで生きててこんなの聞いたことがない」と嘆く。
「おとなしい人ばかりで何も言わないと思って、これじゃ弱い者いじめですよ」
「九州電力の社員が線量を測っているのを見た。電力(会社)側のデータではないか」と調査方法への不信感をあらわにする住民も。
(中略)母親たちは、子どもや妊婦がいる世帯に配慮がないことに失望した。
「だれが子どもに二〇ミリシーベルトを浴びさせていいと決めたのか」と憤るのは、子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク代表で、渡利地区在住の中手聖一さん。
「国に出て行けと言われたくはない。私たちには住む権利がある。一方で、子どもが小さいので避難させてくれ、という家族もいる。どっちが先ではなく、両方を後押ししてほしい」と訴えた。
なぜ福島市内に「避難区域」が認められないのか。
参加していた男性は
「都市部から子育て世帯がいなくなったら産業が立ちゆかず、税収も落ち込む。住民の安全よりも経済活動を優先しているせいだ」と憤る。
「被ばくデータを集める人体実験をしている」とまで言い切る父母も少なくない。
事前に賠償申請の資料を取り寄せていた住民男性(四○)は、十月上旬に東電から
「渡利地区は特定避難勧奨地点にならないので、申請資料は破棄してください」と言われた例を披歴した。
(2011.10.10東京新聞『こちら特報部』より抜粋)
○ 福島第一原発の事故は、県庁所在地で住宅が密集する福島市内にも高レベルの放射能汚染をもたらした。
だが国は
「除染の結果を待ってほしい」と繰り返すばかりで避難区域の指定に積極的な姿勢を見せない。
「補償の見通しがなければ逃げることもできない」
「人の命より経済活動を優先するのか」。
八日、市内の渡利地区で開かれた住民説明会では、深夜まで怒りと落胆の声が渦巻いた。
五時間続いた。
八日午後七時に始まった福島市渡利地区の特定避難勧奨地点に関する住民説明会。
体育館いっぱいに詰めかけた四百人以上の住民が、ひっきりなしに手をあげていた。
地区の高線量を住民たちが知らされたのは四月下旬。
その後、子どもたちは屋外活動を制限され、大人たちは町内の除染活動に黙って協力してきた。
にもかかわらず、「特定勧奨地点の指定はなし」の説明に、住民たちは「納得できない」と口をそろえた。
○ 特定避難勧奨地点は被ばく線量が年間二○ミリシーベルトを超えそうなホットスポットを世帯単位で指定し、避難を支援する制度。
渡利地区では八月下旬に指定に向けた詳細調査が始まった。
地区には六千七百世帯(計一万六千五百人)が住むが、国は事前調査で線量が高かった千三十八世帯のみを調査対象とした。
福島市が目安とする三・〇マイクロシーベルト以上の家が市内に二軒あったが、国は二軒には避難の意向がないとして、
「避難ではなく除染を優先する」と指定を見送った。
指定を受ければ、避難先の紹介などの行政支援が受けられる。
東電から避難費用などの賠償もある。
六月以降、調査が先行している南相馬市や伊達市、川内村では計二百四十五世帯が指定された。
説明会では「地域全部を調べてほしい。線量の高いところはいっぱいある」
「南相馬市や伊達市では毎時三・〇マイクロシーベルト以下でも指定されている。なぜ福島市はダメなのか」とただす声が相次いだ。
福島市の冨田光政策推進部長は
「指定は国がするもので、市が口を差し挟むことではない」
現地対策本部の佐藤暁氏は
「年間二○ミリシーベルトであれば住むことにまずは問題はないが、指定しないと決めたわけではない。我慢しろと言うわけではないが、まずは線量を下げるために除染させてほしい」
と繰り返した。
あいまいな回答は、住民たちの不安をますますあおる。
町内会に配布された線量計などで、生活環境のすみずみまで自らの手で調べている住民たちからは「ばかにしているのか」と怒りの声が続いた。
「一○マイクロシーベルト以上で計器が振り切れるポイントがあちこちにある」という声が相次いだ。
たまりかねたように手をあげた高齢女性も
「おたくの放射能は何マイクロですか、って挨拶してるんですよ。
これまで生きててこんなの聞いたことがない」と嘆く。
「おとなしい人ばかりで何も言わないと思って、これじゃ弱い者いじめですよ」
「九州電力の社員が線量を測っているのを見た。電力(会社)側のデータではないか」と調査方法への不信感をあらわにする住民も。
(中略)母親たちは、子どもや妊婦がいる世帯に配慮がないことに失望した。
「だれが子どもに二〇ミリシーベルトを浴びさせていいと決めたのか」と憤るのは、子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク代表で、渡利地区在住の中手聖一さん。
「国に出て行けと言われたくはない。私たちには住む権利がある。一方で、子どもが小さいので避難させてくれ、という家族もいる。どっちが先ではなく、両方を後押ししてほしい」と訴えた。
なぜ福島市内に「避難区域」が認められないのか。
参加していた男性は
「都市部から子育て世帯がいなくなったら産業が立ちゆかず、税収も落ち込む。住民の安全よりも経済活動を優先しているせいだ」と憤る。
「被ばくデータを集める人体実験をしている」とまで言い切る父母も少なくない。
事前に賠償申請の資料を取り寄せていた住民男性(四○)は、十月上旬に東電から
「渡利地区は特定避難勧奨地点にならないので、申請資料は破棄してください」と言われた例を披歴した。
(2011.10.10東京新聞『こちら特報部』より抜粋)