露地(茶庭)のつくり~松風園より~
先日フラッと立ち寄った松風園。
松風園は、福岡市中央区平尾にあります。福岡玉屋のオーナーであった田中丸善八邸宅跡を、福岡市が引継ぎ改装、2007年に開園した純和風庭園を有する茶室です。
野点広場。明るく開放的な空間となっています。
以下、松風園の路地を参考に、露地のつくりやこだわりの詳細について紹介します。
露地というのはいわゆる茶庭のことで、茶室への通路、道すがらという意味です。茶室へ到るまでの準備をするところであり、一期一会で主、客との交わりの導入部ということです。露地は中門を境にして二重につくられる場合、露地口から中門までを外露地といい、中門から茶室に近いほうを内露地といいます。
露地口(ろじぐち)から、延段(のべだん)と飛石(とびいし)を伝い歩いて、腰掛待合(こしかけまちあい)に向います。
腰掛待合(こしかけまちあい)。単に腰掛ともいわれます。ここで亭主の迎付を待ち、また仲立ちして再び席入りの合図を待つための施設です。
腰掛待合(こしかけまちあい)の雨どい。半割の竹を使っています。支えも金具ではなく木を加工して作ってありました。
縦どいも、シュロ縄を編んだものを使っていました。
外露地と内露地のとの仕切りとして設ける中門(ちゅうもん)。ここでは枝折戸(しおりど)でした。
竹を編んだ枝折戸(しおりど)の留め。こだわりを感じます。
内露地の通路。手前が延段の一種である霰こぼし(あられこぼし)、奥が飛石(とびいし)です。
蹲踞(つくばい)と灯籠(とうろう)。
蹲踞は「浮世の塵」を払うための露地における最も重要な設備とされます。鉢を低く据え、つくばって手水を使うところからこの名があります。
手水鉢(ちょうずばち)のほかに、前石(まえいし)、手燭石(てしょくいし)、湯桶石(ゆおけいし・ゆとうせき)といわれる役石(やくいし)が配されるのが蹲踞の通型となっています。また蹲踞の付近に鉢明かりの灯籠を配置するのが通例です。
一般的な蹲踞の配置例。
茶室。ここ松風園では「松風庵」と呼ばれています。
関守石(せきもりいし)
蕨縄やシュロ縄で十文字に結んである小石のことです。「これより中に入ることは遠慮されたし」の意味があります。風情がありますね。
◇設計工房ひなたぼこのHP → http://www.hinataboko.com/