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福島県浪江町の診療所医師の義憤

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福島県浪江町の診療所医師の義憤


原発推進政策に反対するささやかな抵抗。
町民の内部被ばくなぜ検査しないの?
棄民ですか?
原発事故が起きた直後、日本にいた中国人はわれ先にと帰国した。
「中国人はオカミの発表を信じないから」。
あれから半年、近頃は彼らの気持ちがよくわかる。
出るわ、出るわ、毎日のように政府のウソが暴かれる。
何を信じたらいいのやら。
子どもたちの心の荒廃も心配だ。
恐ろしい国です。


東京新聞10月5日『こちら特報部』より抜粋



政府は、福島第一原発の20から30キロ圏内に設定した緊急時避難準備区域を9月末で解除した。
東京電力の補償枠づくりを前に、一気に事故“収束”の歩調を速めたかに見える。
だが、住民の被ばくの実態把握にどれほど積極的かといえば疑問符が付く。
事故の直後、福島県浪江町で、政府の情報隠蔽のために約7000人の住民が大量の放射線を浴びた。


この「津島の4日間」を目の当たりにした医師が憤りをぶつける。

「いまだに町民の内部被ばく検査を実施しないのはなぜだ!」

「浪江町国民健康保険津島診療所」は、福島県二本松市油井の仮設住宅の片隅にあった。
(略)
常駐する医師の関根俊二さん(69)は話し始めた。
常駐の医師が二人、看護師が四人。
浪江町内の開業医五人も非常勤で診療を担当している。

原発事故から約七カ月。
三月十五日から、町役場とともに二本松市内の避難先を転々とし、体育館や旅館で診療を続けてきた。
(略)
震災翌日の三月十二日、町民約二万一千人のうち約七千人が、診療所のある山間の津島地区に押し寄せた。
「原発からなるべく遠く離れよう」と町の中心部から逃げてきたのだ。

十五日に二本松市内に避難するまで、七千人の人たちは、四日間、同地区にとどまった。
ところが実際は、国の緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)のデータからも明らかなように、町中心部より、山側の津島地区の方が放射線量が高かった。
今でも浪江町の山間の空間放射線量は、隣接する飯館村などよりはるかに高い。
それを知りながら国や東電は、「町民に警告もせず被ばくさせた」と関根さんは憤る。
(略)
 関根さんは馬場有町長らとともに五月ごろから、内部被ばく線量をある程度計測できる「ホールボディカウンター(WBC)を導入して町民の検査をしてほしいと国に訴えてきた。
特に高線量の津島地区にいた七千人を早く調べてほしいと要請したが、いまだに返事はない。

たまたま津島地区に避難し、その後、WBCの検査を受けた関根さんの患者がいた。
八月十日の検査時点でセシウムが六百三十~七百一〇ベクレル検出されていた。
「ヨウ素は半減期が短いので検出されなかったが、これだけのセシウムが出た。他の住民も同じはず」と関根さんは考える。

今夏、福島県民を対象とした本格的な健康調査が始まり、個人の調査票が配られた。
震災後の行動を記録する項目もある。
やろうと思えば、データを把握している行政が主導して検査を実施できるはずだ。

関根さんは「これほど検査をしないのは、国や東電が高額の補償や賠償を避けようと、故意に検査を遅らせているとしか思えない」といぶかる。
(中略)

検査がなかなか進まない状況に、県内各市は独自に動き始めている。
南相馬市立総合病院の調査は七月十一日に開始。
鳥取県から借り受けた車載型を加えてWBC二台を用意し、今月三日までに市民三千三百七十五人の内部被ばく線量を調べた。

同病院の担当者は「放射性物質が体から抜けてしまう可能性があり、一日も早く検査をする必要があると考えた」と説明する。
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