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原発の寿命40年???

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原発の寿命40年???

原発各装置の寿命がそれぞれ異なるので、全体を通しての耐用年数は計算不能だ。

原発の寿命40年???

 原発の寿命を実質40年とするという細野原発大臣の発言に、読売、サンケイ以外の各紙はおおむね好意的だが、ちょっとまってと言いたい。信濃毎日新聞の社説の主張「新規原発がゼロならば最終的にゼロになる」から「脱原発の一歩とせよ」(1月8日付)は主張としてはまだ合理性があるが、原子力産業が「新規原発ゼロ」を受け入れなければ実質的に意味は無い。

 さらに、40年間の運転をあらかじめ「保証」しかねない今回の「運転制限」には、実際に大きな問題を引き起こす。もともと原発自身に耐用年数という概念が存在しない。一般にあるのは機器類や構造物の税法上の耐用年数であって、機器類や容器類が何処まで使えるかという意味での耐用年数は、原発のように複雑な装置(念のために言えば「高度技術」でも「先端技術」でも無いことに注意)は、各装置の寿命がそれぞれ異なるので、全体を通しての耐用年数は計算不能だ。


 さらに福島第一原発などの老朽原発の場合は、その間に何度も耐震基準が変わってきたために構造からしてが、いわば「つぎはぎ状態」であり、全体の整合性という面からも強度に問題が生じている。何でも強固に作れば良いというものではない。強度のある部分と無い部分の境目(例えば溶接部など)は、一方の強度が上がったことが原因で以前より応力が集中して破断した、なんてことさえ起こりえる。

 振動は「抑えるべきか発散させるべきか」なんていうのも単純では無い。むしろ振動や膨張、収縮を逃がすように設計した方が良い場合もたくさんある。しかし設計に失敗していたりすれば、思わぬ速度で劣化が進行し、材料強度からは考えられないほど早く破壊されてしまうかもしれない。



 こういう個別に起きる現象を「年数」で単純に割り出すことなど不可能で、結局は一つ一つが壊れていくまでは本当の強さは分からないのが現実だ。従って、それぞれの装置や配管などは、十分安全と見込まれる時期に、早々に交換ないし補修をしてしまうことで、結果的に全体の安全を確保するというのが「予防保全」の考え方だ。

 これに対して40年制限などを法定してしまうとどうなるか、容易に想像がつくのが、コストの上昇だ。福島第一原発の教訓は、古い原発なのにメンテナンスにお金をかけずに運転を強行していたことが、原発震災につながったことだが、今後40年以上動かせないとなれば、もっと早い時期、例えば30年を過ぎたらもうメンテナンスにお金をかけなくなるだろう。かえって原発の安全性は低下する恐れすらある。

 結局は「老朽原発は危険なのではないか」という懸念に対して、実に単純に回答をしてみたという程度に過ぎず、本質的に原発の安全性向上につながるとは到底言えない。
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