放射性物質に汚染されたがれきやごみのの処理(1)
テーマ:ブログ
2011/10/05 10:49
放射性物質に汚染されたがれきやごみのの処理(1)
東京都、岩手、宮城両県のがれきをうけいれ
岩手県と東京都などは30日、東日本大震災で発生した岩手県内のがれきを東京都で受け入れる「災害廃棄物の処理基本協定」を締結した。
都は今後、宮城県とも同様の協定を結び、2013年度までに岩手、宮城両県のがれき約50万トンを処理する方針。
都によると、11月までに岩手県宮古市の仮置き場に置かれている千トンを先行して受け入れ、12月から来年3月にかけて新たに1万トンを処理する。対象は木くずやプラスチック、機械類のがれき。鉄道コンテナで輸送し、民間の中間処理施設を経て、不燃物や焼却灰は都の埋め立て処分場に持ち込む。
公害対策として、基本は生物に害のないようにすることなので、希釈する(薄くする)か、害になるものを集めて無害化処理する、のがほとんどです。今は後者が主流です。
そのため、排ガスに出ないように集塵装置でできるだけ集めて、環境に溶け出さないように処理しています。
水に溶け出さない安定した化合物にするとか、キレート剤(かにの爪という意味)で捕まえて逃げないようにするとか、高温で溶かしてガラス状にして閉じ込めるとか。
重金属やダイオキシンなどはこの方法で処理してきました。
しかし今回はこれが裏目に出ています。
がんばって集めているのだから濃くなるのは当然です。
でも、放射性物質から放射線を出さないようにするのはできないからです。防ぐしかありません。
もともと、家庭から出るごみや、下水に放射性物質が入ることなど想定していません。
あるわけがないものだったからです。周囲のものを集めてくるものですから、この値はいかに私たちの周りや雨が汚染されているかの証拠でしかありません。
なお、飛灰の扱いは、飛散しないように厳重な保管が義務付けられています。
運搬に関してもです。
そのため、いまの設備はかなり厳重です。
保管している灰の近くでは、当然ですが線量は高くなっているようです。作業のあり方、安全性も課題になっています。
ここで少々技術的・専門的な話となりますが、「焼却灰」による汚染と「焼却した際に排出される排ガス」の汚染の問題、と二つにわけて少々詳しく見て行きましょう。
(1)「焼却灰」の汚染の問題
都市の場合は、廃棄物(ゴミ)や汚水は基本的に処理施設で処理します。
大量に出るため、自然の力で自然に戻すというのが無理なのと、いろいろな化合物やプラスティックのような自然で分解しないものが増えているからです。
廃棄物の焼却(汚泥も基本的には同じ)の主目的は衛生的に処理し、カサを減らすということです。
◎臭いは摂氏600から650度程度で分解しますし、細菌も死にます。
◎かさは約20分の1になります。
◎ダイオキシンのような有機物も摂氏850度以上でほぼ分解します。
その残った焼却灰を主灰 (燃えがら)と言います。
新しい焼却炉は大体摂氏900度位で燃やすので、揮発しやすいものはほぼガス化して飛灰として排ガス・煙突方面に流れます。
このガスを冷やす (熱をとる) ため、大型の焼却炉はボイラを付けて蒸気を作って発電しています。
小型のものは水をかけて冷やします。
ちなみに融点の低い重金属はほぼ飛灰となって、ガスと一緒に流れていきます。セシウム(※1)も同じとみています。
(2)「焼却した際に排出される排ガス」の汚染の問題
燃やした後のガスをそのまま煙突から出すと、細かい灰(ばいじん)がそのまま出てしまうので、いろいろな公害対策設備を通してきれいにして出します。
現在大型焼却炉はダイオキシン対策のため、いろいろなテクニックを使います。
1.バグフィルター(ろ過式集じん機)に入る前に急激に温度を摂氏150度位に下げる(ゆっくり下げるとダイオキシンを再生成する心配がある)。
2.バグフィルターでちりを落とす(性能は99.5%以上)。落とした灰を集じん灰(飛灰)と言います。これは前出の主灰(燃えがら)と一緒にしてはいけないことになっています。
3.そのあと塩化水素や硫黄酸化物を取り除くために湿式除去設備を通します。
水をかけて温度を下げ、苛性ソーダ(水酸化ナトリウムNaOH)と反応させ中和させます。
ガス化で残った重金属にはキレート剤を吹き込んで捕まえます。
4.そのあと窒素酸化物を減少させるため、温度を上げてアンモニアを吹き込んで触媒脱硝装置に通します(ダイオキシンも分解する)。
5.そのあと勢いをつけて煙突から放出します。
鉛等、重金属は2.と3.の過程でほとんど取れています。今回問題となっているセシウムもここで取れています。
ちなみに23区では毎年バグフィルターの前後でばいじんを測り能力の確認をしています。
そのため、排ガスにはほとんど混入していないと考えています。
しかし、現在広い範囲に放射性物質がばらまかれています。
高濃度でなくても集めてくるのですから、そのために下水で沈殿させた汚泥や焼却灰、清掃工場の燃えがらや飛灰に濃縮してくるのは当然です。
もともと日常生活の快適さを守るための都市施設に放射性物質が入ってくるなど想定していません。これこそ「想定外」です。
でも原発が事故を起こせばこうなるのは当然の結果です。
そして、現地近くは高濃度汚染です。 対策は全く違うものになります。
東京都、岩手、宮城両県のがれきをうけいれ
岩手県と東京都などは30日、東日本大震災で発生した岩手県内のがれきを東京都で受け入れる「災害廃棄物の処理基本協定」を締結した。
都は今後、宮城県とも同様の協定を結び、2013年度までに岩手、宮城両県のがれき約50万トンを処理する方針。
都によると、11月までに岩手県宮古市の仮置き場に置かれている千トンを先行して受け入れ、12月から来年3月にかけて新たに1万トンを処理する。対象は木くずやプラスチック、機械類のがれき。鉄道コンテナで輸送し、民間の中間処理施設を経て、不燃物や焼却灰は都の埋め立て処分場に持ち込む。
公害対策として、基本は生物に害のないようにすることなので、希釈する(薄くする)か、害になるものを集めて無害化処理する、のがほとんどです。今は後者が主流です。
そのため、排ガスに出ないように集塵装置でできるだけ集めて、環境に溶け出さないように処理しています。
水に溶け出さない安定した化合物にするとか、キレート剤(かにの爪という意味)で捕まえて逃げないようにするとか、高温で溶かしてガラス状にして閉じ込めるとか。
重金属やダイオキシンなどはこの方法で処理してきました。
しかし今回はこれが裏目に出ています。
がんばって集めているのだから濃くなるのは当然です。
でも、放射性物質から放射線を出さないようにするのはできないからです。防ぐしかありません。
もともと、家庭から出るごみや、下水に放射性物質が入ることなど想定していません。
あるわけがないものだったからです。周囲のものを集めてくるものですから、この値はいかに私たちの周りや雨が汚染されているかの証拠でしかありません。
なお、飛灰の扱いは、飛散しないように厳重な保管が義務付けられています。
運搬に関してもです。
そのため、いまの設備はかなり厳重です。
保管している灰の近くでは、当然ですが線量は高くなっているようです。作業のあり方、安全性も課題になっています。
ここで少々技術的・専門的な話となりますが、「焼却灰」による汚染と「焼却した際に排出される排ガス」の汚染の問題、と二つにわけて少々詳しく見て行きましょう。
(1)「焼却灰」の汚染の問題
都市の場合は、廃棄物(ゴミ)や汚水は基本的に処理施設で処理します。
大量に出るため、自然の力で自然に戻すというのが無理なのと、いろいろな化合物やプラスティックのような自然で分解しないものが増えているからです。
廃棄物の焼却(汚泥も基本的には同じ)の主目的は衛生的に処理し、カサを減らすということです。
◎臭いは摂氏600から650度程度で分解しますし、細菌も死にます。
◎かさは約20分の1になります。
◎ダイオキシンのような有機物も摂氏850度以上でほぼ分解します。
その残った焼却灰を主灰 (燃えがら)と言います。
新しい焼却炉は大体摂氏900度位で燃やすので、揮発しやすいものはほぼガス化して飛灰として排ガス・煙突方面に流れます。
このガスを冷やす (熱をとる) ため、大型の焼却炉はボイラを付けて蒸気を作って発電しています。
小型のものは水をかけて冷やします。
ちなみに融点の低い重金属はほぼ飛灰となって、ガスと一緒に流れていきます。セシウム(※1)も同じとみています。
(2)「焼却した際に排出される排ガス」の汚染の問題
燃やした後のガスをそのまま煙突から出すと、細かい灰(ばいじん)がそのまま出てしまうので、いろいろな公害対策設備を通してきれいにして出します。
現在大型焼却炉はダイオキシン対策のため、いろいろなテクニックを使います。
1.バグフィルター(ろ過式集じん機)に入る前に急激に温度を摂氏150度位に下げる(ゆっくり下げるとダイオキシンを再生成する心配がある)。
2.バグフィルターでちりを落とす(性能は99.5%以上)。落とした灰を集じん灰(飛灰)と言います。これは前出の主灰(燃えがら)と一緒にしてはいけないことになっています。
3.そのあと塩化水素や硫黄酸化物を取り除くために湿式除去設備を通します。
水をかけて温度を下げ、苛性ソーダ(水酸化ナトリウムNaOH)と反応させ中和させます。
ガス化で残った重金属にはキレート剤を吹き込んで捕まえます。
4.そのあと窒素酸化物を減少させるため、温度を上げてアンモニアを吹き込んで触媒脱硝装置に通します(ダイオキシンも分解する)。
5.そのあと勢いをつけて煙突から放出します。
鉛等、重金属は2.と3.の過程でほとんど取れています。今回問題となっているセシウムもここで取れています。
ちなみに23区では毎年バグフィルターの前後でばいじんを測り能力の確認をしています。
そのため、排ガスにはほとんど混入していないと考えています。
しかし、現在広い範囲に放射性物質がばらまかれています。
高濃度でなくても集めてくるのですから、そのために下水で沈殿させた汚泥や焼却灰、清掃工場の燃えがらや飛灰に濃縮してくるのは当然です。
もともと日常生活の快適さを守るための都市施設に放射性物質が入ってくるなど想定していません。これこそ「想定外」です。
でも原発が事故を起こせばこうなるのは当然の結果です。
そして、現地近くは高濃度汚染です。 対策は全く違うものになります。