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低線量被曝の時代を生き抜く

テーマ:ブログ
肥田舜太郎(広島原爆被爆医師)氏の発言-低線量被曝の時代を生き抜く
低線量被曝の時代を生き抜く
◯1945年8月、私は広島陸軍病院に勤務していました。
6日朝は6キロ離れた村に深夜往診をして幸い原爆の直爆死を免れました。
 

それから65年間、私は多くの被爆者を診察してきました。直爆を受けた人々の死は壮絶でした。
火傷や外傷とともに、発熱、紫斑、目、鼻、口、陰部を含む体中からの出血の急性原爆症で死んでいったのです。
 

しかし、医師である私にさらに強烈なショックをもたらしたのは、あとから入市した人々が似たような症状を呈して死んでいった姿でした。
 

以来私は、生涯、不明の病気で苦しんだ、放射性物質を体内に取込んだ内部被曝者を数多く診察しており、彼らこそ核の時代の最大の被害者だと感じてきました。

◯ところがマッカーサー将軍が、原爆被害を米軍の軍事機密に指定し、被爆者には「喋るな、書き残すな」と命じ、医師、学者には被害の研究を禁止して、違反者は重罪に処すと宣言したため、占領下の7年間、被爆者は放置されたままにされました。
 さらに、1949年に廣島と長崎に設置されたABCC(後の放射線影響協会)が、「内部被曝は放射線が微量で、人体には全く無害」と強力に宣伝したため、「だるさ」を訴える内部被曝者の慢性症状「ブラブラ病」は神経症状とされ、中には仮病とまで言われて、被爆者の苦しみをさらに広げました。

◯私は原発労働者の中にも、ぶらぶら病の症状を呈した患者を診たことがあります。
電力会社は今までたびたび放射線の放出を伴った原発事故の直後に「健康に影響がない」と発表してきました。
医師でもないのに電力会社の責任者がなぜそのようなことが言えるのか。
真面目に言っているとしたら茶番です。
 

今回の福島原発事故でも、労働者三人が亡くなっていますが、電力会社は放射能との因果関係を否定しています。
どのような根拠で否定できるのでしょうか。
 
実際私の元には、数百人の相談者が既に来ており、鼻血、下痢、発熱、甲状腺の腫れ、紫斑の出ている子どもも出ています。
福島や東北地方はもちろん、東京を含む関東、遠くは山梨県や静岡県からの相談もあります。
 
子供さんに放射線被害の初期症状がでた福島や関東平野の母親は、これから、どう生きたらよいのか深刻に悩んでいます。
放射能は自分の家族だけの安全を許しません。
 
人類にとって唯一の生き延びる道は原爆、原発を全廃することだけです。
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